「新宿武蔵野館にて観賞」ありがとう、トニ・エルドマン shallowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)
新宿武蔵野館にて観賞
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父はイタズラに自覚があり、すぐネタバレする分、意外と常識人。
娘は表情は硬いけど、仕事にやたら同行させており、どう見ても父が好きで気に掛けている。(女優のツンデレ匙加減が上手い。)
よって、イメージと相違して微細な父娘の錯誤をリアルな感情を描いた物語だった。公園で毛玉を抱くシーンはちょっと感動する。
しかし、観た後のこの作品の印象は非常に悪い。
裸パーティー、発想がぶっ飛んでおり、我ら観客ももてあそぶ秀逸なイタズラ(この父にして娘あり)だった。……ここまでは良かった。
ところが、娘はあっさり会社を辞めていることが分かる。
裸になった上司と秘書を放置して、娘はあっさりと服を着た男性を部屋に入れていた。父のことで頭いっぱいだったのだろうが、裸の2人はどうなったのか。
この2人は娘への気遣いで裸になったのだが、彼らへのフォローも情もなく自分は会社辞めちゃうなんて、娘は自分の事だけ大事で人情味が欠片も無い人物だと感じてしまう。
厳しい東欧の状況を描くシーンもあるが、娘も非情な企業と同じであり、これでは同意したり感情移入するのは無理。
なので、最後の入れ歯シーンも「勝手にしてろ」という気になった。
人情コメディとして作られているならズレてるし、スノッブなコメディならお高く止まってんなぁ、という感想。
突発力のある笑いは魅力的なんだけど。
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