グレイテスト・ショーマンのレビュー・感想・評価
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畸形、見世物、ポリコレ
変わった人たちをあつめてショーをやった──とは、現代のポリティカルコレクトネスをふまえた言い方であり、これをバーナムの時代に即して、ダイレクトに言えば、畸形をあつめて見世物をやった、のであって、トッドブラウニングのフリークス(1932)とグレイテストショーマンは表裏である。と思う。
いつからか、その境目にはっきりした記憶はないが、世の中のさまざまなものの呼称が、変わった。
スチュワーデスがキャビンアテンダントになった。
看護婦が看護しになった。
孤児院という言い方があったが、養護施設になった。
いま、おもいつくものが、あまりなくて適切な羅列ができないが、いつの間にか、昔の呼び名ができなくなったモノは、たくさんある──と思う。
老齢の父を病院につれて行くと、父は大声で「おおい、かんごふさん、ちょっと」などと、呼びかけたりすることがある。
わたしは、一応「かんごしだよ、か・ん・ご・し」と訂正を入れるが、高齢者のことばづかいを、ほんきで是正したい、と思っているわけではない。
イーストウッドの運び屋にこんなシーンがあった。
Earlがあるとき路上でパンクして立ち往生している車輌をみつける。
黒人の若いカップルだった。旦那はスマホを高くかかげて、タイヤ交換の方法をネットで調べよう──としていた。Earlは「negroのタイヤを交換するなんてね」と言うのだが、女性がちょっとだけ怪訝になって「いまニグロは使わないよ」とやんわり忠言する。
Earlには蔑称の意図はなかった。女性も差別されたと思わなかったから「おじいさん、その言葉はいまは使わないんだよ」と訂正したわけである。
わたしたちがポリティカルコレクトネスに与するのは、その古い呼称によって、個人もしくは団体が、怒ったり、悲しんだりする──と予測されるからだ。
たとえば、昭和初期の求人には、ふつうに容姿端麗・委細面談と書かれていた。
いまは、たとえ容姿端麗なひとしか採用しなくても、容姿端麗という言葉で、それを条件化することはできない。
ポリティカルコレクトネスはひとを平等に呼ぶようになったが、むかしと比べて、ひとは博愛になったわけではない。すこしズルくなったのである。
バーナムが「畸形をあつめて見世物をやった」と言ってしまえば、現代の放送コードを超えてしまう。
映画は、社会からつまはじきにされていた人たちを、現代的なダイバーシティの俎上へ乗せている。
よって、かなり脚色されているはずである。黒人が奴隷売買されている時代であり、バーナムは、もっと山っ気な興行師だったであろうし、差別を打開しようと企図していたわけでもないだろう。
とはいえエンターテインメントにするための単純化/モダン化であり、バーナムの来歴/人物にせまろうとしている話ではない。
これを美化と見てしまうのは醒めすぎであろうと思う。
興行のあいだに、演者との間に絆が生まれたのは、真実だったにちがいない。
映画は、たんに人と身体的な違いを持っていること──だけでなく、人が抱えているなんらかの負い目にたいして、広汎に作用する。
人がなんらかの抑圧/差別をこうむっているとき、それに拮抗したい気持ちと、わたしなんか死んでしまえばいいという気持ちが、葛藤しているもの──ではなかろうか。
その琴線へ触れる良心がグレイテストショーマンには、あった。
だけど、それはアメリカなリベラルだと思う。
日本の学校では、人と違うことをおそれるな──とは教えない。
その意味で、閉塞した日本での大ヒットは頷けた。
さいしょに感じたのは、いささかとうが立っていること。
ジャックマンもウィリアムズも壮年である。
中堅というより、かんぜんにベテランで、冒頭の少年少女が、青年期を飛ばして、いきなり壮年になる。
この装丁のミュージカルなら、20代がやっていい。
むしろふたりでよかったが、ちょっとした違和はあった。
人生の山と谷が、ジェットコースター的に展開する。
ものすごい省略をする映画だと思う。
そのことが退屈させない躍動を与えているが、スピードを落とさず、ドラマ部が空虚化しない人材を配置する必要があった。──ゆえのベテラン起用だと思った。
ところで、世のなかには、This is meこれが私です、とか、私はそれを気にしない、と言って出るだけでは、解決しない差別がある。
たとえば、ふとっているひとが、私は肥満を気にしないわ──と主張して、放胆にふるまってみたりする──なんてことが、業界ではよくある。
個人的には「なんだかなあ」と思ったりする。
わたしは肥満を中傷も差別もしないが、肥満にたいする中傷や差別にあらがってみることが、みずからの存在証明だと矜持するのは、些末すぎる。
芸能人でなければ、そんなことには、なんの価値もない。
おそらく、ほんとの差別とは、芸能人のSNSのコメントにならぶようなものではない。と思う。
15歳のDorothy CountsがHarry Harding High Schoolに登校する写真をご覧になったことがあるだろうか。「私はあなたのニグロではない」(2016)で、それを見た。一連の写真はこの世でもっともおそろしいイメージだ。
憎悪と罵倒の群衆のなかで、かのじょは文字通りの孤立無援、文字通りの四面楚歌だった。
Dorothy Countsは、これが私、私は気にしない──と言って、それを打開することはできなかった。
人と違うことはいい。
だけど芸能人がやるような自己肯定を、一般人がやると、たんに無秩序なだけになる、ことがある。
グレイテストショーマンを見て勇気づけられるのは素晴らしい。が、健常な現代人が、抑圧を感じるとき、なんらかの差別をこうむっているのか、自分が勝手だからなのか、慎重に振り返ってみても手遅れにはならない。
おとなになるとたいくつな冷静さがそなわってしまうが、これを受け取れないほどひねくれていはいない。大衆に寄り添う、高揚する、いい映画だった。
最高傑作。
成功と挫折と…
実在した興行師の半生を描いたミュージカル映画。
貧しい少年時代を送り最愛の人と出会い
ハングリー精神でアイデアと挑戦を重ねてショーを作り上げ成り上がっていく。
しかし家族の為に頑張ってきたはずの興行が
いつしか現状に満足出来ず更なる成功を目指していき、
結果的に家族や仲間を置いてきぼりにしてしまう。
失ってから何が大切なのか気付き、
見つめ直し再起していく。
といった内容。
105分という映画の時間としてはそこまで長くないけど
ボリューム満点で全く短く感じさせない。
内容も分かりやすい。
何しろ劇中の曲が全て良くて見応えがある。
特に劇中とエンドロールで流れるThis Is Meは感動した。
とても満足のいく作品だった。
P.S. アンチとファンは紙一重
グレイテスト・ショーマン
わくわくする
CD買いました
まさしくグレイテスト
私はミュージカルは元々見ない人なのだが周りの人に勧められて内容も分からぬまま見に行った。
きっと歌って踊って終わりなんだろうな、、そんな気持ちだった。
ストーリーが始まり急に歌が始まった!
私の鼓動は高鳴った!
なんだこの良い曲は、、引き込まれる!
そしてどんどんストーリーは面白いくらい早く進んでいった。
あっという間に2時間がたちEND
もう頭から曲が離れない。
速攻全曲ダウンロード。
ミュージカル映画でもしかしたら1番好きな映画になったかもしれない!
なんと言ってもダンスと歌がほんと飽きない!全部良すぎた!ストーリーも前向きで最高だった!
見たあと幸せな気分になれた!
これは是非テレビではなく映画館で見て欲しい!
ありがとう!素敵なペテン師!
This is meの曲が好き
誰かと思えば、レミゼラブルの主演俳優と、ハイスクールミュージカル、ヘアスプレーの男の子!
グレイテストショーマンって実在した方の半生を描いたミュージカル映画なんですね。
どちらかというとサーカスに出演してる方達の視点で見てみたいなっておもいました。
This is meの楽曲使われていたところが、一番好きです。自分は自分でいいっていう肯定って難しいと思うんですけどこの曲を聞くと勇気が湧いてきました。
言ってしまうとそこ以外は面白くなく私の心に響きませんでした。
なんか変だなって思って見直したら、序盤には本人達が歌いながら表現しているんじゃなくて、バックで歌が流れているだけの部分があり、ミュージカルっぽくないなって感じました。
私の中のミュージカル映画は、心の声も全て俳優達が歌いながらお芝居していることだったので、そこの部分に違和感がありました。
リアルな夫婦、家族の姿が参考になる。締まりもしっかりしていて満足でした!観て損はなさそう!
旦那を信じ、図にのり不倫。愛想をつかす、、夫改心。リアルな部分もあり、未婚女性としては妻の女の強さ、健気さに憧れた。お金がなくても明るく元気な家庭、お金を持つと人は変わる。紆余曲折がリアルでよかった。最後はハッピーエンド。リアルでは、難しいかもしれないが、映画としては美談でhappyな気持ちで終われた🌼
最高のサーカスミュージカル映画。 この映画で気持ち動かされたぐらい...
人の感性の違いにびっくり!
主題歌「This is me」が最高。感動。大好き!
醜さ、コンプレックス、障害、差別、マイノリティな孤独、
様々な苦しみを抱えて、それでもみな必死で生きて、自分の居場所をさがしてる。
主人公は「いい人」じゃない。金儲けのために人を利用するし、プライドを守るために平気で人を差別する。利己的なヤツだ。
でも、世間のみなが「醜い」と見下したものたちの中に、「唯一無二の美しさ」を見いだした時の気持ちは、本当だったのだと信じたい。
傷つけたり傷つけられたりしながら、それでも、居場所の無いはみだしものたちは、よりそって生きてきた。仲間になった。
どんなことがあっても、私は負けない、顔を上げて生きていく、
決意のこもった歌声「This is me」を、ずっと心に焼きつけて、
私もこの歌を歌いつづけて、生きていきたい。
誰にでも当てはまる要点がある
配信版でも観よう観ようと思っていたところに
IMAX版が公開ということで観てきました
初見ですがいやこれはカッコよかった
歌のシーンの入りがすごく自然に耳に入ってくる
うまく言えんが「またか」感がないんですよね
時代感に縛られない曲調も良い
偽善という批評もいくらか見るようだが
自分は全然そうは思わなかったです
むしろそういう批評こそ偽善ではと
この作品の言いたいことは
今まで身体的特徴を虐げられてきた人々が
それを才能として報酬を得ることで生きる糧を得る
よう昇華を果たす事だと思います
バーナムはなんだかんだきっかけだけで
フィリップに任せてツアーに出たのも
フィリップとメンバーで務まると思ってたのかなと
思いました
だけどフィリップはその時まだ自信が無かったんだと
思いますがブランコのアンとの関係が深まるごとに
ショーマンの素養を見出していったんだと思います
そして50%の出資者になった事もありバーナムも
フィリップ一人で大丈夫と確信して
家庭へ戻ったのかなと思います
バーナムがたまに様子を見に来る
マネージメント専任で回る現場が理想じゃないでしょうか
コロナ禍でシルク・ドゥ・ソレイユが破綻してしまった
などショッキングなニュースが流れてきますが
ショービズが人間に不必要なわけがありません
今は我慢ですが再起を図って欲しいと思います
人から見下される悔しさを知っている人なら、誰もが楽しめる傑作。
貧乏な仕立屋の息子として生まれ、上流階級のお嬢様と身分違いの恋をした男。そしてこの男の人といっしょに生き抜こうと決意した素晴らしいお嬢様。
この二人がこの映画の主人公です。
あふれんばかりのアイディアを持ち、成功への階段を駆け上るバーナム。
しかしその成功とは裏腹に、たとえ大金持ちになっても、たとえ英国国王に謁見できる身分までになっても、スノップな人たちからの蔑(さげす)みの視線から片時も逃れることができない、その哀しみ、苦しみこそが、陰のテーマです。
力のあるミュージカル仕立てで、音楽も素晴らしく、ヒュー・ジャックマンのカッコ良い踊りやしぐさにシビレっぱなし。
ストーリーも極貧からの成功物語ではあるのですが、「人から見下されること」とは何かというテーマが幾重にも折り重なり、おそらく真の上流階級以外の人なら誰もが心の中に抱えているはずの心の古傷の痛みを、そっと、そっと、しかし絶え間なく刺激し続けて、それがストーリー上の絶妙なスパイスとなり、数々のセリフがなおさら輝きを放っている、そんな一品でした。
約束は守ったよ。25年間待たせたけど……というセリフには、思わずグッと来るものがありました。
恋人や親しい友達と観に行く価値がある作品だと思います。
全1243件中、121~140件目を表示