「こう感じるの私だけ?」グレイテスト・ショーマン キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
こう感じるの私だけ?
楽曲は良い。
あえてだと思うけど、ちょっと古臭い感じのアレンジで、でもバリエーションもあって。
音楽でずっとワクワクさせられたのは久しぶり。
ただ、このお話はこの結末でいいの?
登場する、社会で不当な扱いを受けているフリークス(彼らの描写もどうなの?というレベル)などのマイノリティが、自ら集まって居場所を求め「ここが私たちの家(ホーム)だ!」と宣言する。
一見、アメリカ人の大好きな「それも素敵な君の個性さ」に見える。行き場を失った人々が自分の居場所を見つけた様にも見える。だが、見世物小屋でサーカス団として客を喜ばせるために集められた彼ら団員は、果たして観客や興行師たる主人公バーナムと「同じ人間」として描かれているだろうか。
白人などマジョリティからの『憐れみ』という非常に高い所から見下ろした感情しか感じ取れないのは私だけなんだろうか。とても対等な立場の人達へのメッセージには思えなかった。
作中、明らかに差別が描かれているし、バーナムも差別する側に加担しているのに、そこを突きつけるシーンはなく、彼の身勝手を迷惑を受けた登場人物全員がかばい合っている。
同じ人間として、本来彼らマイノリティも他のアメリカ人と平等な社会生活が送れなきゃいけないんじゃないの?
ビジネスパートナーとして後から加わるフィリップも団員と恋に落ちるが、その女性は他の団員と比べて有色人種とはいえ明らかにルックスが良い。それを見せられても「結局見た目じゃん!」としか思えない。
依然として社会から隔離されている彼らが自ら集合体を作って街から離れた空き地にテントを立て、「ここが私達の家だ」「これが私なんだ」「これが幸せなんだ」と団員自身がそれを選んだ様に言わせるのは、私は卑怯だと思うのだ。
結果、バーナムはそのサーカスをフィリップに任せ、自ら幸せな家族の元へと帰っていく。それは社会で虐げられていた彼ら、そしてその関係や責任を放棄することではないのか。
あくまでこの映画は「バーナムの話」だし、あくまで「娯楽作品」だし、実在の人物がベースにあるとは言え、この時代にこういう物語を描くなら、もう少し配慮があるべきだと思うのだが。
(それでもう少し作品が長くなったってこの本編の時間なら問題はないでしょ?)
まったく同感です。
公開初期に、このレビューをアップして下さっていた事に感謝します。
製作者側の偽善と「こういう作りにすれば喜ぶだろ、感動するだろ」のような観客を舐めた姿勢が垣間見えるような印象を抱いてしまいました。
コメント頂くことで高評価作品に多少なりケチをつけた事も報われる気がします。
実際に作品を観て楽しんだ方を否定するつもりはまったくありません。ただ、これだけ世界的にヘイトが問題視されている中で、この映画が満場一致で賞賛されたとすれば、それは恐ろしい事だという思いが、このくだらないレビューを読んだ方に届いたら幸いです。
コメントありがとうございました。
賛同してくれる方がいて私も安心しています。
「人生最高の映画をありがとう」なんてコメントを見ると、私が悪い事をしてる気がして…
全くの同感です。評価が軒並み高いので自分だけが違和感を感じているのかなと思っていました。この映画が差別の本質的な解決を取り上げていないことは理解できるけど‥そこはもう少し丁寧に扱ってもらいたいと思いました。レビューを書いて下さりありがとうございました。