劇場公開日 2017年12月8日

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「自家製なのか?口髭マスク」オリエント急行殺人事件 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自家製なのか?口髭マスク

2020年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 とにかく豪華なオリエント急行。王族、貴族が利用していたというのだから、食堂車もフランス料理を中心に一流シェフによるメニューを堪能できる。物語は1934年のことで、第二次大戦後は航空機との競合で撤退しているということだ。ちなみに今でも観光列車としてイスタンブールからパリまでは運行しているらしく、1人で乗車した場合、3泊で200万円ほどかかる・・・

 そんな豪華なオリエンタル急行もセルビアのベオグラードを過ぎた山沿いで、雪崩に巻き込まれて脱線してしまう。アメリカ人富豪ラチェット氏(ジョニー・デップ)が何者かに殺害される。12ヵ所もナイフで刺されていた遺体の横には壊れて止まった時計、手紙の燃えカス、車掌の制服のボタン、Hの頭文字のハンカチ、パイプの掃除棒などが見つかる。これだけ証拠品があるのなら、簡単に解決できると、自称“世界一の探偵”が捜査に乗り出す。

 乗客全てが容疑者!という状況にあったも、皆アリバイがあるという困った状態。しかも一つを追うと、謎が残る。そんな時、手紙にあった“デイジー”という名前からポアロ(ケネス・ブラナー)が思い出したのは“アームストロング家の誘拐殺人事件”だった。デイジーという娘が殺害されたことが発端となり、関係者が全て死亡するという悲惨な事件。そのデイジーを殺したのがラチェットだと考えたのだった・・・

 旧作(1974)ではポアロを演じたアルバート・フィニーがいかにも天才的探偵であることを鼻にかけていたのが嫌味っぽくて好きになれなかったのですが、今回のブラナーは好感持てるポアロだ。「ハーキュリー」を「エルキュール」と言い改めるところがベルギー人のプライドなのか、よくわからないものの、乗客一人一人に対して上から目線じゃないところがいい。

 また、オチはわかってはいるのに、なぜか感動的。劇場内では鼻をすする人が何人もいたし、ポアロの最後の裁断にも心打たれます。乗客にも豪華な俳優陣、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチなどがゴージャスさに華を添えてます。もっとも良かったのはミシェル・ファイファーでした。

【2017年12月映画館にて】

kossy