「映像美の限界」オリエント急行殺人事件 lotis1040さんの映画レビュー(感想・評価)
映像美の限界
オリエント急行は色々見てストーリーは知ってましたし、ポワロも好きで色々見ました。
オリエント急行はコレを含めると3回目の映像作品鑑賞。
監督兼主演のケネス・ブラナーさんはさすが全話読んだというだけの事はある完璧なポワロ像だったと思います。
65ミリフィルムで撮ったという映像美はたしかに圧巻でした。
だいたい凄い役者ばっかりだし、正月映画として完璧。
でもなんだろう、このモヤモヤは。
と思ったときにこの映画に欠けていて74年版にはあったものは、夢を見ているようなあの感覚です。
それを補うように作られた映像的演出は様々にありましたし、そのどれも素晴らしいとは思いましたが、映画的じゃないんです。
なんか、この映像この前テレビで見たよ。
そんな感じ。
もちろん、それが細部までこだわり作られた映像という事もわかってますけど、これはオリエント急行そのものであってオリエント急行の映画じゃないよなというのが映像としての印象。
作り込み過ぎているというかリアル過ぎる。
だからリアルにはできない部分との整合性が取れなくなってる気がします。
まあほかにも細かい事を言えば、冒頭にポワロが普通の人じゃない事を示すあるギャグ的シーンがありますが、あれ必要?
そこからだいたい10分くらいの映像って必要?
この映画はコメディ的要素がありますよ、ポワロはちょっと変人ですよ。
ポワロは世界的な探偵ですよ。
この3つしか説明してない。
原作にあったとしても不要じゃないかなぁと思っちゃうんですよね。
この映画の肝って、多数決で決まる正義ってそれでいいのか?って事でしょ?
客観的に感じる正義と多数決の「セカイ」の中の正義と違うって事でポワロは悩む。
でも悩んでる姿は見たくないんですよ。
世界一の探偵だと言い張るセンセならば、余計に。
あれ?もしかして悩んでる?
くらいの感じがちょうどいい。
あれって説明過多じゃないかなとも思ってしまいました。
まあ、現代にこのテーマをもってきたのはとてもよかったです。
これってトランプ以降のアメリカの表現ですよね?
でも結論は?
みんなで考えて!
まあ、この事を最大限に評価していいと思います。
だから、惜しい。
悪い映画じゃないだけに惜しいと思いました。