「悪趣味がいっぱい」キングスマン ゴールデン・サークル うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
悪趣味がいっぱい
基本的には、純然たる続編なので、キングスマンとは何か?ハリーが生きていた経緯などは、最低限の説明しかなされない。「見てない人にはあえて教えないよ」というスタンスが貫かれている。それでいて、前作でウケた要素である、荒唐無稽さと、エレガントさの交差点に生まれるユーモアは健在。
世界を破滅に追い込む巨悪に立ち向かう、エージェントのミッションはぶっ飛んでいて、秘密道具を駆使して戦ったり、ド派手なアクション、ジュリアン・ムーアの悪役ぶりも板についてて、見どころ満載の超豪華なシリーズ第二弾です。
ただし、ここから先は、辛口のコメントが続きますので、見たくない人は飛ばしてください。
・エルトン・ジョンが本人役で出演。は、まあいいとして、ちょっと出番が多すぎだろう。それどころか、かなり重要な対決シーンに絡んでくるなど、もはやキャストの一部と言っていい活躍?ぶりなので、かなり興ざめがする。(ジュリアン・ムーアを一喝するギャグは笑ったが)
・前作では、エージェント養成部分のストーリーがかなりていねいに描いてあったので、後半のぶっ飛んだ展開もついて行けた。ところが今回組織があっさりと崩壊するところから始まるので、新組織「ステイツマン」と、敵の麻薬組織、アメリカ政府のそれぞれの思惑が絡んできたあたりで、ごっこ遊びの臭いが強くなり、興ざめにつながった。
・前述の通り、前作の続きを描いてあるので未見の人にはおそらく通じない。
・それなのに、前作で活躍したロキシーや愛犬JBがあっさり姿を消す。
・秘密兵器のガジェットは、あくまでも一般の生活に溶け込める道具に隠した秘密道具(靴先からナイフのような)を発展させたものであって、敵の装備はもはやお約束をはずして、何でもありになってしまい、リアルさがない。それなのにこちらは地雷を踏んで大きなダメージをくらうほどの弱々しさ。アクションで敵を倒す爽快感がとぼしい。
・かなりきわどい暴力表現、SEX表現があり、もし女性と一緒に見に行っていたら気まずいだろうな、と思わせる。ティーンエイジャー以下は覚悟して見るように。
・ロボット犬、ローラースケートを履いたロボットウエイトレスは、悪趣味すぎる。犬を倒すと残酷だという愛護団体の抗議対策か?
・良く言えばテンポよく、次々に場面が展開していくので、一つ一つのエピソードに重みがない。
・続編をにおわす終わり方だったが、公開初日に最後まで見終えることなく席を立つ人がいたので、公開を遅らせてでも、この映画の完成度を高めるべきだったろう。
以上、前作はとてもおいしくいただけたのですが、今回はかなりがっかりしたと言うのが正直な気持ちです。
2018.1.5