劇場公開日 2017年9月29日

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「差別と偏見を無くすための戦い方とは」ドリーム あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0差別と偏見を無くすための戦い方とは

2019年3月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

黒人であること、そして女性であること
二重に差別され文字通り地下室に押し込められた存在
宇宙計画の裏側を描きつつ、黒人の公民権運動が盛り上がろうとする60年代始めの黒人社会も活写する
音楽は全てR&Bだ

もちろん本作は映画「ライトスタッフ」と対をなす
それを観ていれば本作をより一層楽しめるのは間違いない
しかし本当に対になっているのは映画「マルコムX」では無いだろうか?

差別に対して不当であると主張することは正しい
しかし、正しいことを正しいと声高に怒鳴り回るだけで差別は解消されるのか?
暴力で差別や偏見をなくす事ができるのか?

そんなわけはない
暴力は暴力の連鎖を生み、攻撃的な言説は反発を生み差別と偏見を見えないように隠して陰湿にするだけだ

本作の三人の黒人女性は差別と偏見を無くす為に戦う
それは暴力でも攻撃的な言論でもなく、仕事の能力によって戦い正しい評価を勝ち取るのだ
数字には差別や偏見は無いのだ
宇宙開発もジムの仕事である軍も実力だけがものをいう世界なのだ
それゆえにジムは自分の過ちにすぐに気がつくことができたのだ
仕事を前に進める事のできる推進力という指導力は差別や偏見などに価値を認めない度量を求めるのだ

漫然と被差別者であると嘆き、他者を批判するだけでは何も解決はしない
差別と偏見に勝つには努力して能力で圧倒し尊敬を勝ち取ることが必要なのだ
これが本作のテーマなのだ

AIによってホワイトカラーは、本作の計算係のように解雇される時代がまもなく訪れようとしている
本作の黒人女性達のように勝ち残るために今何をすべきなのかも考えさせられた

素晴らしい映画だ

あき240