三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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今更かもしれないけど
気疲れするけど、一見の価値はある
-「被疑者側のシナリオ」は減刑を勝ち取るための戦術であって、真実である必要はない。だいたい、真実なんて誰にも分からない-
そんな風にうそぶいていた福山雅治演じる弁護士が、少しずつ役所広司ワールドにひきずりこまれ、「いったい何が『ほんとう』なのか」という迷路にハマって行く様が良かったです。普通の映画だと、越えては行けない一線を越えて狂人の側へ踏み込んでしまう瞬間が分かりますが、この映画は自然に、本当にいつの間にか、役所さん演じる三隅のペースに因われていく感じが見事でした。関ヶ原でも好演されていた役所さんですが、個人的には本作の方が怖さと凄みを感じました。
本来映画というのは、解釈の余地を残し、視聴者の判断に委ねる作り方をするものですが、そういった意味ではこの映画は極北にあるかもしれません。いわゆる法廷ものとも、真相を暴く刑事ものとも趣が違うので、そっち方面を期待していると肩透かしを食うかも。
映画は留置所での被疑者と弁護士の接見シーンが多くの時間を占めます。絵的に圧迫感があるので、ストレスのはけ口とするためか、食事のシーンが結構あります。シリアスな映画なのに途中お腹がすいて微妙な気分になるかも知れないので、ご注意を。
新しい「羅生門」。
この映画が「羅生門」の影響下にあることは誰も否定しないでしょう。福山、役所、広瀬、のアンサンブルは三船敏郎、森雅之、京マチ子のアンサンブルにも引けを取りませんでした。唯、斉藤由貴だけはミスキャストのような気がしました。
この映画の骨格が「羅生門」のコンセプトに似ているからといって、この映画を貶す気にはなれません。なぜなら、現在は映画の脚本が払底している時代だからです。もうあらかたの筋書きは書き尽くされてしまったのです。シリーズものの前日譚や後日譚、漫画を原作とした作品が跋扈しているのが、その証左なのではないのでしょうか。
現代という時代は創作者にとっては受難の時代なのでしょう。
最後の場面、福山雅治が十字路で佇む姿が印象的でした。
結末はこれで良かったと思う
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