三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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主人公とその娘のエピソードから思うこと
観終わった後に引っかかった点は主人公(重盛)とその娘のエピソードでした。
万引きをした娘を引き取りに行く描写を入れて仕事が忙しい上にプライベートでも問題を抱えている重盛の人物描写をしているのだと思いました。
それで娘の出番は終了だと思っていたのです。
ところが、裁判も大詰めを迎えている最中に娘が重盛に何か問題を起こしそうなことを予感させる電話をかけて来たのです。
それを観ながら「ああ、ここでその話を入れると本筋じゃないしブレるな。いやだな」と思ったのです。
娘の話はどう決着付けるのかを気にしながら観ざるを得なくなったのですが、それ以降娘の出番はなく映画が終わってしまったので、あれ?と思ったのです。
なぜ、終盤の大事なところで回収しないエピソードを挟み込んだのか?あの描写は無駄じゃなかったのか?と。
映画自体は犯人(三隅)は本当に殺人を犯したのか?とか、裁判とは真実をはっきりさせる場ではないという、結論を観る側に委ねるモヤモヤした結末になっています。
でも自分的には一番残ったモヤモヤは前述の描写だったので初めから整理をすることにしました。
映画の題名は「三度目の殺人」なので3回人が殺されています。(1回目は北海道の金融業者、2回目は工場の社長、3回目は三隅自身)
そして三隅を示すものとして「器」と「人の気持ちが読める」ことがキーワードとして出ており、三隅は他人の気持ちが読めすぎ且つ、感情の器であるため犯罪を重ねていたのではないかと思いました。
1回目の殺人は金融業者の被害者の恨みに影響された結果であり、2回目は社長の娘(咲江)の虐待を恨んだ気持ちに影響された結果。
では、3回目は誰の影響を受けたのか?
三隅は裁判の途中で犯行理由を再三変えています。
当初は強盗殺人ではなく恨みを持っていたことによる犯行と弁護士の意見に沿った供述をしていました。
次は社長の妻の保険金殺人のために指示されたとする雑誌記者の意見に近くなり、最後は咲江の虐待被害を理由にすれば、裁判に勝てると考えた重盛の意見。
いずれにしてもそれらの理由であれば裁判は死刑ではなく無期懲役が勝ち取れるはず。
なのに土壇場で三隅が犯行そのものを否定したことで死刑判決が下されます。
つまり3回目の殺人は三隅自身の考えで自分を殺したという結論になるのか?
と、ここまで来て引っかかっていた重盛と娘のエピソードを思い出しました。
娘は重盛と三隅の接見の直前に電話をかけてきていました。三隅が重盛に問いかけます「あなたの本当の気持ちは何か?」何度も何度も。
その時、重盛は高校生くらいの女の子がつらい思いをしてほしくないという気持ちになっていて、その気持ちが三隅に影響を与えたとしたら?ガラス反射で2人の顔が重なり合う描写はそれを表していたのでは?
裁判では情状酌量を求めるためには、咲江が裁判の場で虐待被害を自分で説明する必要がありました。
重盛の「咲江につらい思いをさせたくない」という気持ちに影響されたことで三隅は、それを回避する行動に出たのでは?
そう考えれば重盛と娘のエピソードは無駄な描写ではなかった、むしろ非常に重要なものだったと思えました。
映画の中で殺人現場やカナリアの墓に十字架が印象的に使われていました。
他者の命を奪うことへの贖罪か後悔という「十字架を背負う」という暗喩でしょう。
最後のシーンは重盛が空を見上げたカットで終わりますが、その立っている場所は十字路の真ん中でした。
3回目の殺人は重盛自身も十字架を背負っていると言っているように思えました。
数学と国語
何が嘘で何が真実か
真実
三度目の被害者は
観客を置き去りに
う~~んッ
他人の意見が気になってしょうがない
是枝監督の最高傑作
映画IQが必要な作品
やるせない
群盲象を評してたわー
うーん、そんなに。。。
すごく練られた作品、深い、第三の殺人の意味、など評価高いようだが、理解能力の低い自分にはそこまで響かなかった。
伏線の回収もちゃんとできていないし。
・食品偽装の真相
・足を引きずっているのは生まれつきか上から落ちたのか
・供述がころころ変わるのはなぜ
・メールの真相
・十字架の意味
・アパートで会っていた意味
そのあたりの伏線を回収してから、第三の殺人の意味を描いてほしい。
あと、法廷で勝つことしか考えていないのであれば、もう少し勝ちにこだわる雰囲気を出して、そこから変化していく様子を描いてほしかった。
雪の上のシーン、最後あたりの十字路のシーン、の意味が伝わらないし、カメラアングルがちょいちょいわざとらしく見えて目障りだった。
見た瞬間、これじゃ映画祭で賞は取れないよね、と思ってしまった。
タイトルの意味がわかれば、どっぷりハマる。
役所広司にこういう役をさせると右に出るものはいない。
重苦しい、間接的にものを言う演技はさすがとしか言いようがない。
物語は全体的にくらい作りだが、やはり光の使い方が非常に上手いと感じた。
とくに、終盤になるにつれて明るくなるスクリーンには、福山の、どのようにしても勝ちたいという意識が変わっていく、そんな感情が感じられた。
ストーリーもまた、言うことなし。
題名の意味が分からない方はもう1度見るべき。
結局、どのような真実なのか。
それは実際に法廷に立つ弁護士や検事、裁判官も同じなのではないか。
ストーリーでは、円滑に進めるために様々な話が飛び交うが、それも今の法廷事情や、福山の考えを変えていくストーリーの伏線になっており、非常に練られていて飽きることはない。
実際の弁護士や検事も、同じように真実を知ることなく決断する裁判は多いだろう。
映画を見終わったあと、同じような気持ちになった。
スカッとする映画ではないが、映画を見る前よりも10倍深い内容に、さすが是枝映画と感嘆する限りである。
にしても、広瀬すずの演技はまた更に上手くなったと感じた。怒りでもそうだったが、今回も特に難しい役どころ。ただ単に悲しみを演技するわけではなく、目で感情を訴えてくる彼女の演技には脱帽。
個人的には、イチオシの蒔田彩珠が出ていて嬉しかった。笑
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