「揺らぎと論理」三度目の殺人 mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
揺らぎと論理
正直言って全く意味するところも、意図するところも理解できず、ストーリーの展開も結末も分からなかった。この点が監督の意図するところだとすると、この映画の評価はもっと高くしなければいけないし、そうしても良いだけの説得力と画面の緊張感があった。それはひとえに役者たちの演技力と演出、そして何よりもそのシナリオにあるのではないか?シナリオに混沌のを付加する時は通常精密に構築した論理を一度解体し組み立て直す。この手法だと論理性は失わぬまま監督だけだ理解できるロジックで物事が進み、最後の結論で観客がそのパーツを組み立て直したり、与えられた事実で一気に時制に整合性が出たりする。しかしこの手法は初見の観客は最後まで手掛かりなく、ゲームの進行のように進みストレスが倍増する。最後まで付いてこれない観客が生ずる。しかし本作は時系列は極めて明確だが起こっている事象が揺らぐのである。その為観客は最後まで飽きることなくエンディングまで緊張感を維持して連れて来られる。そして最後にモヤモヤだけが残り置き去りにされる。勿論その最後には何処に何がテーマとして眠っているかは薄々気が着いてはいるのだが、どうもその姿が見えぬまま放置される!そして考え込む。そしてこの考え込むモヤモヤ感がひとえに監督の狙いだとしたらこの映画は監督の美事の勝利で、その事実、その内容は二次的なお楽しみに過ぎないのである。
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