「明日は最高裁裁判官の国民審査もあるね。」三度目の殺人 じょんそんさんの映画レビュー(感想・評価)
明日は最高裁裁判官の国民審査もあるね。
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殺人の前科があり、2度目の殺人容疑で拘留中の被疑者は、供述を二転三転させて弁護人も映画を観ている観客をも混乱させる。
真相がわからないまま迎えた結審の後、拘置所の接見室で受刑者と弁護人を透明な仕切り板1枚が隔てる。
そこに映り込む受刑者の鏡像が弁護人の顔と重なり合い、2人が語り合っているようにも見え、1人が自問自答しているようにも見えるシーンが秀逸。
真実よりも法廷戦略やシステムが優先される司法の実態に一石を投じつつ、『海街diary』や『そして父になる』などイレギュラーを抱えた家族を描いてきた是枝監督らしく、犯人にも弁護人にも家族の背景が描かれていて、両者の深度が増していく心象が探れる。
最後まで事件の真相は判然としないけれど、それでも刑は確定し人は裁かれていく。
作品タイトルは『三度目の殺人』
2度の殺人の罪で死刑が確定した犯人の、3度目の殺人が誰を指すのかようやくわかった。
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