「十字路に立たされたまま」三度目の殺人 haruさんの映画レビュー(感想・評価)
十字路に立たされたまま
レイトで1人でじっくり考えながら見るのにいい作品だった。
連休最後のレイトだったから、人も少なくて、音響がよく機能してた。
この作品は、別にドンパチがあるわけでも、爆音で聞いた方がいいSEがあるわけでもないけど、あえて映画館で見るべき作品だとお思う。
セリフの言葉尻とか、登場人物の呼吸とか、一つ一つの衣擦れの音とか、全部の音ひっくるめて引き込んでくれる。
役所広司さんの演技がほんとに素晴らしかった。
目で、顔のシワで、手で演技する。
善良なのか、サイコパスなのか、愛があるのか、ないのか。
広瀬すずちゃんも、凛とした佇まいが作中で際立つ。
言葉数が少ないけど、意思があるし、誰よりも生気があった。
「ここではみんなが嘘をつく」
このセリフが、すべての登場人物の発言をグレーにしたと思う。
誰が裁いて、誰が裁かれるべきなのか。
誰がほんとで、誰が嘘なのか。
何一つ真実が明かされないまま、
誰も幸せにならない(のか分からないけど)、そんな結末だった。
ラストに十字路に立たされた福山雅治演じる重盛弁護士と、観客の心境が一体になる。
ラストは「うまいな、」と思った。
考察すれば、いくらでも可能性が見えて来る終わりかただった。
誰かと議論するよりは、1人で見てじっくり吟味してみたほうがいい作品でした。
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