「内も外も大荒れ」ガザの美容室 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
内も外も大荒れ
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予告やあらすじから、荒れる外に対し美容室の中は平和に振る舞う女性達の世界になっているような印象を受けていたけど、実際は内も外も大荒れの模様。
ワンシチュエーションのスリラーのような展開だった。
情緒不安定な若物に怒りっぽい人・妊婦や茶化し役など、それぞれのキャラもホラー映画にありそうな役柄で。
ガラッと大きく状況が変わるまでが長く正直退屈、でも個性の強すぎる登場人物たちの延々と続く会話の攻防戦が妙に笑えたりしてなかなか面白い。
噂話と下品な発言の多い女と、信仰心の強すぎる女の二人組みが結構好き。
特に信仰心女が空気を読まずに祈り始め、ひれ伏したり立ったりしてカメラのフレームインとアウトを繰り返すシーンはだいぶシュールでコミカルだった。
終盤はヒステリックな喧嘩と激しい銃声が重なってかなりスリリングで怖い。
従業員と喧嘩中の恋人が傷を負って流れ込み、その恋人を男たちが連れ去るところで映画は終わってしまう。
パレスチナの情勢に全く明るくないので困惑のラストだった。
ただ、日常のすぐ側に戦争があり、いつ何処で身近な人や自分が巻き込まれ狙われるのかわからない状態の恐ろしさは伝わってきた。
下品発言女の背中にキズがあったくだりでは、初めて弱みを見せる彼女と、普段は適当にあしらいつつも何だかんだ彼女を抱きしめてあげる信仰心女の姿に胸が掴まれた。
ほぼ全編、美容室内での会話劇なので演劇にしても面白そう。
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