劇場公開日 2017年4月8日

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「真性ジュネストにはたまらない」作家、本当のJ.T.リロイ ちな姉さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真性ジュネストにはたまらない

2017年5月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2017/05/02、渋谷のアップリンクで鑑賞。トートバッグ付き前売券を、インターネットで購入していたので、それを使いました。

文壇に彗星のように現れたJ.T.リロイ。
誘拐され、性的虐待を受け、男娼となり、クスリにも手を出した、という経歴の金髪の美少年と、その「自伝的小説」に、世間はーーセレブたちもーー熱狂した。
だが、実際には、J.T.リロイという少年は実在せず、その正体は、ローラ・アルバートという、40歳の女性だった……。

とにかく、最初から最後まで、何もかも面白かったです。
でも、これは、響かない人にはまったく響かないだろうなあとも思います。
でもでも、わたしみたいなJUNEスト(ジュネスト、わからない人はスルーしてください)には、めちゃめちゃ響くのです。

太って醜い自分では愛されないと思ってしまう自己卑下も、男性に欲情されるような美少年でありたいという願望も、最後に明かされるローラが太った理由も、わたしには何もかも腑に落ちます。
本編終了後に流れたローラの舞台挨拶の映像で、ローラが、日本では理解されていると感じると話していましたが、ええ、わたしもあなたを理解します、と心の中で呟きました。

この映画の予告編を観て初めてJ.T.リロイを知ったわたしですが、リアルタイムで知ってその翻訳本を読んでいたら、やっぱり熱狂しただろうと思います。
そして、正体を暴露する記事が出たときには、やっぱりね、と納得しこそすれ、ローラに対して腹を立てたりはしなかっただろうと思います。

ローラに共感しない人にとっては、これは長い長いローラの言い訳でしかないでしょうが、わたしには、最高のエンターテインメントでした。

いやー、こんなにハマるんだったら、公開初日のローラの舞台挨拶、無理してでも行けばよかった、と悔やまれます。
ハマる予感がしたからこそ、1997年の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』以来、なんと20年ぶりに、映画の前売券を買ったというのに。
行こうと思えば行けたのに行かなかった自分に、ちょっと腹を立てていますが、映画は本当に、1秒たりとも退屈することなく面白かったです。もう一回ぐらい観たいなぁ。

ちな姉