「遺体に残った破片は手ががりだから動かせない」パトリオット・デイ shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
遺体に残った破片は手ががりだから動かせない
クリックして本文を読む
映画「パトリオット・デイ」(ピーター・バーグ監督)から。
2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件を題材に、
どこまで実話に基づいているのか、気になって仕方なかった。
特に考えさせられたのは、爆弾の犠牲になった子供の遺体について
「遺体に残った破片は手ががりだから動かせない」とばかり、
冷静沈着な指示を出すFBIらしい対応と、
「『路上に放置する』と親に言うのか?」とやや感情的な、
地元警察の対応が、大きなギャップとなって緊迫感を醸しだし、
「ドキュメンタリー」と言っても過言ではない場面展開に、
思わず引きこまれてしまった。
しかし2時間の作品の中で一番印象に残ったシーンは、
その爆弾で死亡したその子どもの遺体の側に、長い時間付き添い、
指示・命令とは言え、何もできない無念さを心に秘め、
唇を噛みながら、ず~っと、ず~っと「敬礼」していた、
地元警官の表情が忘れられない。
単なる一場面のはずなのに、こんなに印象的なのは珍しい。
いや、このシーンを通じて、監督は何かを伝えたかったに違いない。
そう思わずにはいられないほどの場面設定だった。お見事。
コメントする