パトリオット・デイのレビュー・感想・評価
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ピーター・バーグが無双状態。
現実に起きたテロ事件の顛末を、圧倒的に面白い群像劇として描き出したピーター・バーグの腕力に感服。本作でJ・K・シモンズが見せるまさかの無双状態を、まんま演出家としてのピーター・バーグと重ねてしまうくらいだ。
ただ、バーグについては気になっていることがある。この映画の「ボストン市民の団結がテロに打ち勝った」というメッセージは、「俺たち市民は武装してでも立ち向かうぞ!」と拡大解釈をすることができるのだ。いわゆる自警団的な考え方だ。
近年のバーグは「アメリカの英雄」に強い執着を抱いていて、報復の連鎖を描いた傑作『キングダム』が半愛国的と批判されて「俺は愛国者なのに!」と逆噴射した結果のようにも思える。いずれにせよ最近のバーグの映画には、持ち前のエンタメ力と無双状態の演出力に加えて無邪気なタカ派思想が見え隠れする。本音を言えば『ランダウン』や『バトルシップ』の続編なんかをやって欲しい監督なのだが。
複数の視点で事件を立体的に浮かび上がらせる語り口の巧さ
このところピーター・バーグは、アメリカ人の記憶に刻まれた象徴的な事件を圧倒的な熱量で語り継ぐことを自らに課しているかのようだ。いずれも現場の最前線に立つのはマーク・ウォルバーグであり、彼の生き様には等身大の人間が己の限界を超えて使命を全うしようとする姿が見て取れる。こと本作では、世界に衝撃を与えたテロ事件をいたずらにエンターテインメント寄りに描くこともなく、この惨劇の中で勇気を振り絞った市民一人一人をクローズアップ。そのバランス感覚や構成に関してバーグは非常に手堅く、作中に散りばめた人々がどこでどのように事件に関わっていくのか伏線を張りながらその糸を回収していく語り口も優れている。とはいえ、私が本作で最も惹きつけられたのは、謎の機関から派遣されてきた女性担当者による取り調べシーンだった。あの不気味さ。数分間、言葉を交わすだけの場面にあれほど緊張感を付与できるのもピーター・バーグならではのキャラ付けの巧さと言えるのだろう。
映画は世相に応じて異なる意味を持つこともある。
42.195キロを駆け抜けてきたマラソンランナーの脚が、ゴール間近で何かの衝撃を受けて折れるように倒れるニュース映像の、何と不気味で静かだったことか!?そのボストンマラソン爆破テロ事件の全貌を映像で再現する上で、監督のピーター・バーグは本物のニュース映像と、現場に転がっていたであろう肉片を配置する等の演出を絡め、また、事件に関わった人々を俳優に演じさせることで、これを実録パニック群像劇として再構築。さらに、 ボストンがテロを克服できたのは市民間の愛だった、と言い切る。これぞまさしく"パトリオット(愛国者)・デイ"。しかし、そのバーグも今のアメリカが愛とは真逆の憎悪によって分断されようとは思ってもみなかったに違いない。映画は世相に応じて異なる意味を持つこともあるということを、改めて実感させる作品だ。
GTA5みたい
途中から有名なゲームのGTA5みたいな展開になる。路上で銃撃がはじまり、車に火炎瓶みたいなのを投げてカーチェイス。路上でやってるのでおもしろい。こういうのシーンはおもしろいのでもっと長い時間でもいい。誰か2時間ぐらいかけてGTA5みたいな映画を作ってほしい。
ちなみにですが、このマーク・ウォルバーグはハリウッドスターになる前はとんでもないクズで、
「高校中退後、様々な職につくが身に付かず、ドラッグや暴力沙汰に明け暮れた。15歳の頃には、遠足中の黒人児童たちに投石して負傷させ、人種差別的な言葉を叫んだことがある[2]。16歳の時には、コカインとアルコールで酩酊した状態でベトナム人男性を襲撃し、人種差別的な言葉で罵りながら木の棒で殴りつけた[3][4]。このためウォールバーグは殺人未遂の容疑で起訴され、暴行の罪を認めてボストンの感化院に収容されたが、わずか45日後に出所している[3][5]。このほか、21歳の時には近所の住人に言いがかりをつけて暴力を振るい、顎の骨を砕く重傷を負わせたこともある[6]。当時、ボストン警察には25回も世話になったという[7]。」
のようなやつです。こんなクズでも改心したら有名人になり認められるアメリカの懐の深さを感じるために関西学院大学出身であり高潔な自分はマーク・ウォールバーグの作品を欠かさず見ています。
実話ベース
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ボストンマラソンを標的に、二人組がテロを起こす。
監視カメラから犯人らしき者を見つけ、マーク。
そして結局捕まえる。
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実話ベースの話ということで、そんなに面白いものではなかった。
しかし犯人は何故マラソンを標的にしたのだろう?
資本主義の金満ブタどもを成敗する的な意味合いなら、
もっと繁華街とかを狙えば良かったのに。
印象に残ったのはメリッサの無表情
期待したのは、時間を追って危機的状況がエスカレートしていき、それを追う主人公が犯人たちを追い詰めていく執念の攻防みたいなもの。だったのですが、そこはスカされました。いい意味で裏切られたというか、別の人間ドラマに重点を置いてあったので、そちらに引きこまれた感じです。
事件が起きる前の、主要な登場人物の動きを時系列で追っかけているのがなんともじれったくて、すこしだるい印象を受けます。だから、テロが起きる前の前半部分はバッサリ、カットしても良かったんじゃないかと思いました。見終わって、「ああ、そういう意味ね」みたいな納得は、一応あるにはあるのですが、そのためにあの長い前半部分を見せられるのは、たいした苦痛だと思います。
特に印象に残ったのが、メリッサ・ブノア演じる、テロ犯の妻の内面の葛藤を奥深く秘めて、表面は仮面をかぶったように何事にも動じない、強いメンタルを持った女性で、その背景にはシリア難民の悲劇的な生きざまを見て育った人間の、諦念や家族愛、理不尽を受け入れざるを得ない悲しさがあり、それが彼女の無表情に宿っているようでした。どこか無垢な子供を思わせる彼女が、まさかメリッサとは。テレビシリーズで忙しい時間を縫って、こんな印象的な役を演じていたのですね。
反対に、ちょっとがっかりしたのがマーク・ウォールバーグで、彼が主人公として存在する意味あったんでしょうか。もともと、架空の人物像をくみ上げて、物語仕立てにしたようですが、だったら、もう少し話を面白くできただろうに、テロリストの無軌道ぶりに、翻弄される警察機関を象徴する人間のようで、見ていて何の共感も感じませんでした。プロデューサーも兼ねているのなら、自分を客観視できることも大事な要素でしょう。まだ「バーニング・オーシャン」の方が共感できる主人公だったと思います。
犯罪計画を立て、爆弾を作り、ボストンマラソンを標的にテロを実行。次の標的にニューヨークを狙い、無軌道で衝動的な犯行を重ね、追い詰められていく犯人たちが、何を考え、何を勝ち取ろうとしたのか、もっと深く考察してほしかった。良くできたドキュメンタリーフィルムの域にはまって、出られない、映画だという自覚が足りない。すごく残念な映画でした。同じ時期に製作された、クリント・イーストウッド作品に比べて、ずいぶん満足度が低いと思います。
愛国者ーみんながヒーロー
こういうテーマの作品が心を打たない訳がない。
中国人の青年を除けば、犯人たちと接した人はいなくて、たくさんの関係者の中から彼らを選択したわけだけど、それぞれドラマと感動が。そのリサーチ力が秀でている。彼らが事件にどう関わっていくのかという野次馬的な動機にも十分応えてくれる。
ただね、意外に犯人の描写が雑だったのが気になるな。彼らの理屈や思いは全く無視していいのか? それではテロは収まらないのではないか? 実は、犯人妻の言動が一番辛辣で、解決の難しさを強く感じた。
理不尽な悲劇に立向うアメリカの強さ
本作は、2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の全貌をドキュメンタリー仕立てで描いた社会派ドラマである。脇目を振らず、只管、事件発生から事件解決までにフォーカスすることで、シンプルではあるが、作品全体が引き締まって迫力ある見応え十分な作品になっている。
主人公は、ボストン警察の警察官トミー(マーク・ウォールバーグ)。彼は、ボストンマラソンで群衆の多いゴール付近の警備を担当するが、突然、数か所で爆発が起き、華やかな祭典は、一転して多くの死傷者が横たわる地獄と化す。FBIは事件をテロと断定する。主人公達はFBIとの確執に苦悩しながらも、仲間達と協力して、執念の捜査で犯人を追い詰めていく・・・。
冒頭、事件のカウントダウンになっている時刻表示とともに、事件に遭遇する人々の細やかな日常が丁寧に描かれるので、テロ発生時の目を覆いたくなるような惨状が際立っている。市井の人々が突然の悲劇に見舞われる描写は、臨場感が半端なく、彼らの理不尽で残酷な運命に涙が溢れてくる。
本作は事件を早期解決した捜査本部の活躍を美化せず、FBIとボストン警察の確執を生々しく描いている。リアリティに徹している。事件解決よりも自分たちの立場、面子を優先するFBI特別捜査官(ケビン・ベーコン)、ボストン市民に寄り添い泥臭く捜査をしていくボストン警察。両者の違いは、警視庁と所轄の確執を描いた“踊る大捜査線シリーズ”を彷彿とさせる。
本作では、ボストンを守るという表現が頻繁に使われる。ボストンへの愛が強調されている。ボストンは、アメリカ建国の地であり、フロンティア精神の起点である。本作を観て、そのフロンティア精神が脈々と受け継がれていると感じた。アメリカの強さを感じた。
事件解決のための主人公達の命懸けの行動、事件解決後にレッドソックスの選手が叫ぶ台詞、エンディングでの実際に被害に遭った人々のその後の再生描写から、本作のメッセージは明確である。“生きる自由、権利は与えられるものではなく、強く守り抜くもの。そして、どんな理不尽な運命に遭っても、それでもなお人は強く生きていける”である。
本作は不条理な悲劇を描いているが、力強いメッセージで、我々に生きる勇気を与えてくれる作品である。
まあ、よかったけど、
ストーリーもわかったし緊迫した状況も伝わったけど、実話そのものなのか、そうだとしたら実際にこんなことがこんなふうに起こったのか、と引き込まれて見てた。
しかし、一方で、こういうテロをやる連中は、こんなことで世界をどう変えようとしてるのか、これまでのそんな愚行で実際に世界が変わったか、いったい何をどうしたくて命をかけてまでこんなことをやってるんだろう、とそんな連中にハラただしくもなり哀れにもなった。
凶悪なテロに立ち向かった人々の群像劇
以前他の映画をレンタルDVDにて鑑賞していた時に、映画本編の前に流れていた予告編が面白そうだったので鑑賞しました。「2013年に実際に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件を基にした映画」という程度の事前知識です。事件についても、ニュースで流れていたのを見た程度で詳細は知らない状態でした。
結論ですが、非常に面白かったです。
こういう実話を基にした映画は多くありますが、実話ゆえの脚色不足で盛り上がりに欠けてしまったり必要以上に悪人を悪人として描きすぎている作品が多い印象があって、脚色や演出の仕方によって作品の評価が大きく変わってしまうことが多いです。しかし本作は(不謹慎ですが)映画的な盛り上がりもあり、尚且つ実話に忠実に描かれているように感じます。「ラストのインタビューシーンは不要だ」という否定的なレビューも多いようですが、私は肯定派です。あのシーンは絶対必要です。
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2013年4月に開催されたアメリカ三大市民マラソン大会であるボストンマラソンで事件は起こった。大会の最中にゴール付近で2度に渡る爆発が起こり多くの死傷者が出る爆破テロ事件が発生したのだ。警備業務で現場に居合わせたボストン警察のトミー・サンダース(マーク・ウォールバーグ)は懸命な救命活動で負傷者を救い、その後の捜査にも加わることになる。
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この事件についてWikipediaで調べてみると、映画の描写が「映画内の演出かなと思ってたら実際に起こったことだった」って箇所が多くて驚きます。犯人兄弟の弟が、逃走のためにベンツSUVを運転したら兄を轢いてしまって亡くなったのも事実でした。
不謹慎な表現になってしまいますが、そもそも実際に起こった出来事が創作のような話なので、実話ベースで作っていても「映画的」なストーリーに感じられるんじゃないかと思います。
ただ、大きな部分でフィクション(脚色)が混じっています。登場人物のほとんどは実在の人物ですが、主人公のトミーだけは架空の人物なんです。捜査に参加したボストン警察の大勢の警察官を体現するキャラクターとして登場している印象ですね。これは本作の一番大きなフィクション部分であり、そして実在するボストンマラソン爆弾テロを映画化するにあたって一番良かった脚色だったと思います。
捜査現場の緊張、犯人への憎しみ、被害者の感情、普段は犬猿の仲である警察とFBIの共闘など、観ていて感情が高ぶるシーンがいくつもありますし、これが「実際に起こった出来事」だと考えると何とも言えない気持ちになります。
批判的なレビューをしている方の中には「ラストの被害者のインタビューが長い(不要)」と言っている方が結構見受けられました。しかし私はラストのインタビューは絶対入れるべきシーンだったと思っています。
これがもしエンタメを重視した映画であるならばラストのインタビューシーンに対して「興ざめだ」と感じるかもしれません。しかし本作はラストの展開を観てもエンタメ映画というよりは過去の悲劇を忘れないため、犠牲者の追悼をするため、そしてアメリカという国に住む人々の可能性を描くための映画であるように感じました。あんまりエンタメ性は高くない作品ですので、ラストのインタビューシーンも「これはフィクションではない」とまざまざと見せつけてくれるような演出になっていて私は好感を持ちました。
凶悪なテロに屈せず戦い続けた人々の映画です。本当に素晴らしい映画でした。
オススメです!!
事件後も衝撃的
事件になるまでは平和そのもの。「愛してる」「私も」とキスして出かけるマッタリな展開。その後25分辺りから効果音に釣られて怪しさが伝わってきます。近年の「リチャード・ジュエル」でも思いましたが、セキュリティやテクノロジーが発達してるのに、どうしてこんなこと起きるんだよ...と悲しくなります。気に食わない人、利用して何かを企んでる人...そういう人が必ずいるんでしょうね。
『どう対処しようが、(マスコミ等に)どうせ責められる』(Kベーコン総監)
→ 気持ちわかる。大変だな、自分とは責任・規模が違い過ぎる。
時間を遡って、路上に録画してある監視映像を振り返るシーンは「日本ももっと増やせよ」という気になりました。
車から上手く逃げた中国人に拍手!
これ実話なんですよね...90分前後の警察と犯人の銃撃戦は恐ろしいものがあります。忠実に再現してるとして、映像的にド派手ではないのだけど緊張感が半端なく伝わります。場面が変わって、街を封鎖したりしてたけど、それでも銃撃戦の余韻が残ったまま鑑賞してました。
ラスト10分程の話は、映像特典として収録することが多いですが、敢えて本編に入れることで事件の重みが伝わります。こういった演出は初めてでした。
交通事故の経験がある私は、負傷した人がその道を走る気持ちがよくわかります。自分にとっても有難いインタビューでした。
最後まで目が離せない
実際に起きたボストンマラソンでの爆発事件をもとにした映画。
ます驚いたのが、とてつもなく広い倉庫の様な場所に捜査基地を作った事。
勿論FBIが指揮をとるが、そこには警察も市長も州知事もいて、情報を共有し捜査方針を決定する。
日本の様な頭の固い縦割りではとても真似できない。
最初は様々な家族が出てくるが、◯◯家何時何分と表示が出る為、この爆発に何らかの形で関わった人達であることが分かる。
時折実写映像もある。
とにかく最初から最後まで目がな離せない。
最後の実写は本当に感動的だ。
犠牲になった方々のご冥福を心からお祈りする。
追跡モノとしても秀逸
日本での報道は断片的だったけど、これが実話ベースなんですよね…実際の映像を挟んだり、ドキュメンタリーの様に進行していく緊迫感も感じるし、追跡モノとしても楽しめるところが素晴らしい。
エンディングがTheアメリカ過ぎて個人的には・・・だった。
チョイ役で、最近鑑賞した『好きだった君へ』シリーズのラナ・コンドルが出演していて、映像止めて二度見した。
ボストンマラソン爆破テロ。この卑劣な事件を詳細に描く。実際の映像も...
ボストンマラソン爆破テロ。この卑劣な事件を詳細に描く。実際の映像も多く、緊張感が半端ない。犯人割り出しの手法や銃撃戦での失態に衝撃、本作を見れば事件が全て分かると言っても過言ではない。
しかしどうしてこんなことをするのだろう。
日本ではまだまだ他人事のような感がありますが、無理矢理開催されるであろう東京五輪や何の対策もとられていない原発への攻撃がないことを祈るばかりです。
吹替版鑑賞。字幕ノーカットで再見の価値あり。
人々を繋ぐ力
唐突に起こる爆発による現場の激変ぶり、被害の生々しさがとても印象的だった。その分終盤、家族と笑顔で再会する姿や警察を称える人々の姿から、事件前後で変わらず人々を繋いでいる愛というものが強く感じられてよかった。
ただ序盤で様々な家族の姿を見せられたせいか、犯行を経てバラバラになってしまう犯人家族、特に残された子どものことがなんというか悲劇的に感じてしまい、犯人逮捕時の歓喜にいまいち乗れなかった。複雑。
GYAO!
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