ヒトラーに屈しなかった国王のレビュー・感想・評価
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ドイツ公使の描写が秀逸
前編ほぼ手持ちカメラのドキュメンタリータッチを意識した作りで、第二次大戦中のノルウェー国王、ホーコン7世の苦難の決断を描いている。
主人公はホーコン7世であるが、本作が出色なのは、ドイツ公使の苦悩と働きぶりを丹念に描写している点だろう。
ノルウェーの立場を十分に尊重し、ノルウェーで生まれた幼い娘も持つブロイアー公使は、強引な軍のやり方に反発心もあるが、孤立無援の中、なんとか戦火を最小限に留めようと骨を折るような、平和主義的な人物として描かれている。
平和裏な解決に向け妥協点を必死に探るブロイアーに対し、ホーコン7世は民主主義のため妥協せず、信念を貫く姿勢を取る。
国王の取った行動は、国王による内政への介入だ。だがその介入ことが民主主義の理念を守ることに繋がるという捻れも面白い部分だ。
しかし、邦題があまり良くない。ナチスやヒトラーの単語を入れさえすればいいと思っている節があるので、そういう短絡的なタイトルは映画の価値を損なってしまう。集客と映画の価値を高めること、両方を追いかけることを諦めないでほしい。
予備知識0からの視聴
【”全ては祖国のために・・”中立国だったノルウェー国王ホーコン7世のヒトラーからの降伏要求を拒否する4日間を緊迫感溢れる映像で描いた作品。】
ー 歴史は語るではないが、ドイツの傀儡政権の首相になったクヴィスリングが終戦後に処刑された事。一方、ホーコン7世と息子オラフ皇太子が戦後、ノルウェー国民から敬愛の念を持たれた事が良く分かる作品である。-
◆感想
・デンマークから来た、ホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)が、逡巡しながらもヒトラーの降伏勧告に”NO!"という毅然とした態度を取った姿には頭が下がる。
- 今作では、それをヒロイック的に描かずに、苦悩、逡巡の末に決断する姿をイェスパー・クリステンセンが見事に演じている。-
・駐ノルウェー・ドイツ公使を演じたカール・マルコヴィッチの、傀儡政権のクヴィスリングを批判しつつも、ノルウェーの未来を案じ、ホーコン7世に進言するシーンも良い。
- カール・マルコヴィッチ。ナチス映画には欠かせない人物である。-
・ホーコン7世の息子オラフ皇太子が、取った行動も今でも、ノルウェーで王国一族が愛されてる事を良く示している。
<今作はナチスがヨーロッパ諸国に進軍して行った1940年4月8日~の数日にフォーカスして描いたのが、奏功していると思われる。
傀儡政権のクヴィスリングも声だけの出演で、あくまでナチス進行に対し、苦渋の”全ては祖国のために・・”という思いで重大な決断をした(それは、自身及び家族の生命の危険があるにも関わらず・・。)ホーコン7世の姿が印象的な作品である。>
民主主義は国民主権と言う意味。
ずっと気になっていた映画だった。
王国と民主主義は違うだろう?
単純にそんな意味合いだけれど、国王は国民のために何ができるかを考え行動し、国民もまた同じなのだ。そこに政治が存在して国民のために是非を判断する機能が働く。ノルウェーは中立国として世界に宣言していたにも関わらずヒトラーの野望のために侵略する。ルールを無視した暴挙にどう立ち向かうのか。犠牲を払わずに・・・。
危機はいつの世も音を立てて忍び寄ってくる。猫のような嗅覚を持たぬ人間はある日突然、降ってわいたかのように戦争に直面し逃亡を頭に浮かべる。
信念あるものは未来を見つめ、信念を持ち合わせぬ者は対処療法にしがみつくばかりだ。
しかし、国王は、偉大な国王は信念に基づいて自らの考えを主張しなければならない。そして、ナチスと交渉する、交渉というほどのことではなく、自らの国の何たるかを言い放つだけだった。それが、国民の総意でなくとも信念を伝えるだけだった。
けして威厳にあふれた態度ではないし迷い苦悩の色さえも露わにする映像はリアルに観ている者の心を乱打する。
払われた兵士の犠牲に対してどう償うのかも含めて生き続ける。
それは、敵がヒトラーであるが故の話だ。
1940年代はシンプルだったのだろう。善と悪が猿でもわかる時の流れだった。
複雑さを知的能力で超えなければならない今。
でも、信念は誰しもが持たなければならない心の在り方なんだろう。
欧米の人が「日本で一番長い日」を鑑賞したらこんな評点になるような・・・
ナチス侵略時のノルウェー国王と内閣、ドイツ外交官の物語。
日本で言えば、「日本で一番長い日」のような作品でしょうか?
ノルウェーがナチスとの戦争判断を行った経緯を、ドキュメンタリー的に映しています。
ノルウェー国民なら楽しめる作品なんでしょうが、遠い異国の日本にいる私としては、地味過ぎてまったく興味がわきません。
国王は、丁々発止の駆け引きをしたわけでも、銃を突きつけられるような恐怖にに屈しなかったわけでもありません。
国としての矜持を示したとはいえ、結局「戦争⇒敗戦⇒国外逃亡」では決して崇めるような判断ではなかったようにも思えます。
映画としても面白みに欠けるストーリーで、評価は厳しくなりました。
歴史の傍観者としてみれば学ぶべき点は少なくない
スエーデンからドイツへの鉄鉱石の輸入ルートを封じようとしたチャーチルのとばっちりでノルウェー侵攻の口実をヒットラーに与えてしまった、弱小国の中立宣言などはいとも簡単に踏みにじられるものだ。痛めつけられ失うばかりだったノルウェー国民にとってはヒットラーに王室が屈しなかったことだけがせめてもの誇りと言っては言い過ぎだろうか。
だからと言って侵攻6時間で抗う間もなく即座に白旗を上げたデンマーク王室に気概を問うても意味はない、むしろ緩い占領政策となった点では名を捨てて実を取ったとも言えよう、ヒットラーの悪行は論をまたないが、およそ善し悪しの判定などというものは周囲の観察や歴史の進行でどちらにも転ぶものだろう。それにしても古今東西、国盗り物語が人類の歴史の大半を占めているのだから情けない。面白味のある映画ではないが歴史の傍観者としてみれば学ぶべき点は少なくない映画だった。
教養に満ちている。
どうですか、これ。教養に満ちている。
ただ、どえらい退屈。なにも、世界史の勉強をしたくて映画を観ているわけではないので、個人的にはハズレ。興味がない場合はさけたほうがよい。
もちろん、戦争ドラマとして見どころがないわけではないが、そもそもそこを重視して作ってないような感じではあるので、のっぺりとしている。
あと、物事とらえ方次第みたいなところがあって、屈しなかった、と採れる反面序盤の展開見ると、どうも、聞く耳を持たなかった、と云えなくもない。すべては歴史(ナチス絶対悪、ドイツの敗戦)により審判は下されたわけだが。
それほど美談ではないよなあ、ていう。(失礼)
英国亡命後も描くべき
ホーコン7世が亡命時代熱心に読んでいた本
ホーコン7世は国民を愛し国民に愛された立派な君主だとは思うが、
ちょっと引っかかるのは亡命したという事実だ。
昭和天皇が亡命するだろうか。
あり得ない。
国民と運命を共にされるだろう。
昭和天皇は立憲君主なので
戦争には反対だったが政府の決めたことには従わざるを得ない。
にも拘らず戦争責任を一身に引き受けられた。
マッカーサーのもとに出向き、自分はどうなっても構わないから
国民を助けてくれと願い出たのである。
てっきり命乞いに来たと思っていたマッカーサーはこの言葉に感動する。
こんな君主がいるのかと。
さて、ホーコン7世が亡命時代熱心に読んでいた本。
何だと思いますか?
答えは「我が闘争」です。
この本で忘れられない一行があるという。
『自らの国を自らの手で守ろうとしない国民は、
世界の中で生存する価値を持たないのである』
今の日本人には耳の痛いお言葉ですね。
日本人が失ってしまった祖国という愛国心
ノルウェーの一番長い日
1940年、ナチスドイツが鉱物資源を狙ってノルウェーに侵攻する。
国王は王子と王女をスウェーデンに逃がし、皇太子と二人で対処しようとする。
ノルウェー政府は話し合いを求めるが、ナチスドイツはクーデターを起こし傀儡政権を作る。
ドイツ公使は戦争を回避しようとするが、ヒトラーは国王との話し合いで降伏させようとする。
ノルウェー王家の成り立ち、立憲君主の在り方など、誠実な作りになっている。
全く知識がなくても分かりやすい内容
立ち上がれ!日本国民!
また例によっての反ナチス映画だが、本作は日本の置かれた現状を考えるとなかなか示唆に富んでいる。
父王に対して王太子が何度も「なぜわかっていたのに早くから国防軍を総動員しなかったのか!」と詰め寄る。
たしかに王は屈しなかった。
ただ侵略への備えを怠ったスウェーデン自体は開戦からわずか1週間足らずでドイツに降伏している。
結局国を守りきれていないじゃないか!
たしかにヒトラーは害悪だったが、ヒトラーを誕生させ、育てたのは誰か?
そもそも第一次大戦後の講和会議で英経済学者のケインズが批判するほどの莫大な戦後賠償金をヨーロッパはドイツに課した。
その上フランスはドイツ最大の工業地帯であるルール地方をどさくさに紛れて占領したりしている。
加熱するインフレに悲鳴を上げていたドイツ国民は当然のごとくヒトラーという劇薬を選んだ。
そしてイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国は自分たちに直接被害が及ばないうちは弱腰外交に終始して他国の被害に無関心を装いヒトラーの増長を招いた。
弱腰外交は独裁者に間違ったシグナルを贈るのは既に歴史が証明している。
因みにドイツが一次大戦の戦後賠償金を払い終えたのは、途中延期の期間もあったものの利子分も含めて2010年である。
翻って我が国の周辺はどうか?
憲法を改正して終身主席の道を開いたチャイナの習近平、そして北朝鮮のキム・ジョンウン、ヒトラーに似たような難儀な独裁者が近距離に2人もいるのだ。
しかも両者ともに日本を憎んでいる。
永世中立国のスイスは、二次大戦中に領空侵犯する敵を攻撃してほぼ壊滅状態に近いくらい空軍の大半を失った。
ただしこの敵にはドイツだけではなく、連合国軍であるアメリカも含まれている。
そして2013年に国民投票にて73%の多数をもって徴兵制度の維持を決定した。
戦後に賠償金を日本に要求したクズな面もあるが、この2つの話に永世中立国としての気概を感じざるを得ない。
一方我が国の防衛は誰が担っているのか?
戦後70年間何の疑問も抱かないままアメリカを頼っている。
いや本当に日本のために血を流すかは定かではないので、正しくは単に占領されているだけではないのか?
東京をはじめとする大都市を空襲してほとんど焼け野原にし、広島・長崎に原発を落とし、占領期間中も年平均350人を殺し、1000人以上の婦女を暴行したアメリカをどうして信用できるのか?
20〜21世紀を通じて間違った戦争を起こして最も他国民を殺しているのは疑いなくアメリカである。
冷静かつ客観的に見ればやはり彼らは「鬼畜」である。
国防をアメリカに握られているために、交換条件のように戦後ずっと国民経済を破壊するような無理な条件を飲まされ続けている。
また現在、北朝鮮に対して我が国は何ら有効な手を打てない。
交渉は重要だが、武力の裏付けのない交渉は足下を見られるのがオチだ。
その上、北朝鮮やチャイナへの融和派が野党はもちろん与党である自民党にもゴロゴロといる。
そして経済だけを取れば、制裁をして追いつめようとしている時点で我が国は北朝鮮と既に戦争状態にあるし、日本を経済的にも軍事的にも圧迫するためあらゆる手を打っているチャイナは既に敵国である。
北京にまで留学した筆者がまさかチャイナを公然と敵国と言う日がくるとは思わなかったが、事実の前には仕方がない。
先日多摩川で入水自殺した保守思想家の西部邁が現在の日本の状況を
「踏んづけてくれ、だが命は助けてくれ」と評した。
スイスほどの覚悟を我々日本国民が持つのは現時点では太陽が西から昇るのに等しいだろうが、日本を取り巻く情勢は我々に現状維持を許してはくれない。
筆者は本作を日本がこのような未来を迎えてはいけないと身につまされて観ていた。
核武装も含めてあらゆる分野で真剣に国防を考えるべきなのではないだろうか?
もう時間は待ってくれない。
なお「アメリカが許してくれない」と言う人がいるが、そう発想する時点で既に心理的にもポチになってしまっている。
さらに最悪のシナリオはアメリカのポチな上にチャイナの属国になることである。
そうなっては我々は誇りもなくただ生かされていくだけになるかもしれない。
いや、無事に生きているかも怪しい。
目覚めよ!そして立ち上がれ!日本国民!
筆者も新たな段階を模索しようと思う。
最初は国王がリーダーシップを発揮して危機的状況を打破する映画だと思...
でてこないあの人が一番重要人物
途中、眠かったけど、、(笑)
フィンランドとドイツの関係?
まったくそのあたりの歴史のことも分からず見ましたが、国の為を思って行動する国王の背負う責任の重さ、家族のつながりなど、よく描かれていました。
ヒトラー、ほんとに恐ろしい!
でも、ヒトラーは映画には登場しません。
いい映画でしたよー。
ノルウェーの国王オーコン7世の実話
わかりやすい作りでよかった。
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