ヒトラーに屈しなかった国王のレビュー・感想・評価
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でてこないあの人が一番重要人物
近代史のジンギスカンであっても、始皇帝のようにはヨーロッパをついに統一できなかったナポレオンとヒトラーですが、どちらもあまりに物語がありすぎて完全映画化は不可能でしょう。そのなかでひとつのケースを映画化したものですね。
途中、眠かったけど、、(笑)
フィンランドとドイツの関係?
まったくそのあたりの歴史のことも分からず見ましたが、国の為を思って行動する国王の背負う責任の重さ、家族のつながりなど、よく描かれていました。
ヒトラー、ほんとに恐ろしい!
でも、ヒトラーは映画には登場しません。
いい映画でしたよー。
ノルウェーの国王オーコン7世の実話
デンマークからノルウェーの国王となり、ナチスドイツの侵略から、ヒトラーに屈せず国民を大切に守るオーコン7世(と家族)の話。
前半は単調な流れで聞き慣れない言語と、少々うとうとしてしまいましたが、ラスト1時間は見どころ!
邦題は、話の内容そのままなので、もうひとひねり工夫が欲しかった。
オラフ皇太子はオリンピックのSKI選手だったと聞いて、ピンときた!
昨年末、「否定と肯定」と「ユダヤ人を救った動物園」を観ていたので、とどめとして、ヒトラーには悪魔的な非人間性を感じてしまった。
初めて観賞した、シネスイッチ銀座は、毎週金曜日レディスデー950円!古いが味のある映画館でした。
わかりやすい作りでよかった。
歴史にうといのでノルウェー国王のお話は知らなかったけれど全体的に小難しくなくわかりやすく王制と民主主義と家族愛が描かれてて見入ってしまいました。
外交官や軍部や国王家のそれぞれの立場があり意見があり中立国家の威厳あり。それぞれの立場があれどそれぞれのさが認め合えば戦争にはねらないのかもなー。
大いなる凡庸と総統の呪縛
原題の意味はもっとシンプルで作品にピタッとはまっていたんでしょうね。調べてないからわからないけれども。
ともかく、当時のノルウェーが国内外ともに微妙に揺れている感じが、デンマークから来た国王家族の視点で描かれるのは秀逸でした。そこに少しだけ皮肉めいた皇太子妃と公使婦人の対比や、翻弄される国民達から見える戦争など、差し迫ったリミットとともに緊迫感がありました。但し、それらを置いておいても個人的には皇太子。彼が素晴らしかった。
邦題のセンスのなさにがっかり
ノルウェーで、中高生向けに学校の歴史や道徳の時間に、常に流し続けるといいんじゃないかな~という出来栄え(いやあっちの教育プログラムは知らないんですけどね)。
いい作品なんですが、あまりノルウェーの歴史などを知らない日本人の一人として観ると…
本作は、国王がどんな決断をするのか? というのが、この映画の肝なわけだが、邦題は思い切りネタバレ。
決断をタイトルにしてどうする?と配給会社に文句を言いたくなった。
国王の背中を押したのは国民の声
1940年、当時は中立国だったノルウェーで、国を引き渡すように要求したヒトラーに対し、毅然とした態度で立ち向かった国王を描く
人間は力を持ってしまうと、つい過信してしまい、その地位に溺れ、失敗してしまいがちになる
それに、恐怖に追い込まれると、つい逃げ出したくなってしまう
この映画のノルウェー国王は、権力に溺れることもなく、恐怖に追い込まれて逃げ出すこともなかった
最後まで毅然とした態度でナチスに立ち向かう姿は、とても立派で感動的だった
なぜ、彼は最後まで毅然とした態度でいられたのか
それは、国民の声に耳を傾けたからだった
国民の意思を常に尊重すれば、自身の力を過信することもなく、意思を曲げる必要もない
それが一番シンプルで簡単なようでいて、とても難しいことだから、彼の行動が際立ち、人を感動させるのである
ナチスの横暴さが酷くなればなるほど、彼の立派さがより際立っていく
そんな作品だった
ちょっと「国王の決断」を持ち上げすぎ
今日の3本目はナチスドイツに侵攻された1940年4月のノルウェーの政治・外交を描いたドラマ『ヒトラーに屈しなかった国王』。
ドイツ軍が陸戦でも北上を進めてからのラスト45分くらいは目が離せないけれど、その前まではところどころ眠くなる退屈なシーンも多い。
いくつか気になった点。
1) ドイツ公使との会談後の国王の決断について、作品ラストのキャプションでは「国政に介入してまでの国王の決断は、主権国家ノルウェーの民主主義の象徴として記憶される」みたいなことが書かれていたけど、「主権国家の象徴」ならわかるけど「民主主義の象徴」とは言えないんじゃないかと思う。
2) 当時のヨーロッパをめぐる情勢はよくわからないし、まだ米国も静観している頃のことでもあり、そしてこの作品で描かれている交渉劇はわずか3日間のことなんだけれど、それでもノルウェーはここで対独の2国間交渉というフレームのみでの検討になってしまってる時点で、良くなかったんじゃないかと思う(他に巻き込みうる他国がいるかどうかは調べないと)。
逆に言うと、ドイツは最初に衝撃を与えて電撃的に2国間で話を固めるというのが戦略だったってことなんだろうな。
準主役のドイツ公使の人間的葛藤というサブテーマもこの作品にはある。良心はありつつ、力関係では軍に劣り、ヒトラーに対しては隷従せざるを得ない小市民として、ブロイアー公使という人物はよく描けている。
祈りにも近い、尊く切実な主張、決断に感動しました
とても感慨深く難しい映画でした。
娯楽映画としておすすめはできませんが、こういう考えさせられる映画は個人的にはとても好きで、大事だと思うので。見られて本当によかったです。
国王という立場に実質の政治的権限はなく、それでもノルウェーを『祖国』とし、祖国のため、人々の誇り、権限のため決断を下した。
その苦悩・葛藤を丁寧に描き、暴力に屈せない心のありようを国民と世界に示したその勇気に感動しました。
その決断で奪われるものの大きさを重々承知したうえで、未来、祖国の民が民主主義という主義に権限を誇れるようにと。
祈りにも近い、尊く切実な主張に涙が出ました。
もしかしたら、日本でも昔、昭和天皇はこれに近い苦悩と葛藤の下決断を下さなければならなかったのかもと思うと、、、複雑な気分になりました。
守るという決断
原題は「The King's Choice」で、邦題よりもよくこの映画を
表していると思います。
ノールウェーは、世襲の君主が主権を持つ立憲君主制という
政治形態です。
政治家を信用せず、国王を民主的に選んだとノールウェー人と
ノールウェー人の信用に応えた国王の物語です。
誰もが、何かを守っているというところが印象的です。
日本も世襲の天皇が主権を持つ立憲君主制という政治形態です。
日本の天皇家は、世界一長く続いている王族ですが、政治家等の
言いなりで、戦争に利用されるだけの存在です。
第二次世界大戦は言うに及ばず、靖国神社という形を変えて
現代の日本でも天皇は政治家に利用されています。
ノールウェーと日本が同じような国には思えません。
ノールウェー人の7人に1人がこの映画を鑑賞し、2016年
の興行成績第一位を獲得し、社会現象的大ヒットしました。
2016年の日本では、「君の名は。」や「シン・ゴジラ」が
社会現象的大ヒットしました。
私は、「君の名は。」も「シン・ゴジラ」も鑑賞していませんが、
根本的に、ノールウェー人と日本人には違いがあるように感じます。
心に残る名セリフもたくさんあるので、期待を裏切ることのない映画です。
「他国の侵略に屈する国家は存在する価値がない」
日本という国に価値はあるのでしょうか?
「君たちは国民に選ばれた。どんな状況下でも国を率いる責務がある」
日本の国民に選ばれた政治家には、国を率いる責務は果たせるのでしょうか?
「この国の行く末は密談によって決まるのではない。
国民の総意で決まるのだ」
高級料亭という中の密談で、国の行く末を決められている日本という
国に行く末はあるのでしょうか?
映画の余韻に浸りたいという人にはパンフレットの購入をお勧めします。
権限は無いが、責任はある国王の苦悩
事実を下にした作品。
第二次大戦初期、ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻。戦力に勝るナチス・ドイツは、ノルウェー政府及びノルウェー国王に、ナチス・ドイツの要求に従うように求められるも拒否し、後にノルウェー国王はイギリスに亡命すると言うのは史実な訳ですが、この作品は、そのナチス・ドイツによるノルウェー侵攻のごく初期の3日間を描いた作品です。
この作品を見て、改めて思ったのは、“ノルウェーの歴史って、意外に短い”と言う事。スウェーデンとの同君連合を解消して、ノルウェーが独立国家として成立したのは1905年なんですよねぇ。実は、アメリカよりも、ずっと短い。それ以前にも、同君連合ではありますが、国家としては存在していましたけど、独立の国家では無かったわけですよねぇ。それ以前には、デンマークの支配を受けていたと言う時代もありますし。それらも史実な訳で、そう言う事があった事は認識していましたが、第二次大戦と言う大きな出来事を前にして改めて振り返ると、意外に最近なんだなぁと認識を新たにしました。今の国王陛下(映画の中では、ハーラル王子として登場)で、まだ3代目ですからねぇ。
劇中で、国王と衝突する事もある王太子のオーラヴは、国王に即位後、自らに護衛を付けないことについて「私には400万人のボディガードがいたからね」と述べた人物としても知られています。当時のノルウェーの人口は約400万人であったので、オーラヴ国王は、ノルウェー国民全員が護衛であると言ったことになります。
また、こちらも劇中で、デンマークが早々にナチス・ドイツに降伏してしまっていることが描かれていますが、本作のホーコン7世の兄である、デンマーク国王のクリスチャン10世は、デンマーク降伏後もデンマーク国内にとどまり、ナチス・ドイツに対して有形無形の抵抗をした事で知られています。
いやぁ、それにしても、立憲君主制で実権は無いとはいえ、非常事態には、なぜだか国民国家は、こう言う高貴な方に頼る訳で、そのプレッシャーたるや如何ばかりか。劇中でも、ドイツ公使の要求をはねつけるに際して、その苦しい思いを吐露していますね。この物語は、あくまでも映画で、ドキュメンタリーではありませんが、実際の国王もそのように思ったのでは無いでしょうかね?この国王が居たので、今のノルウェーが築かれたんだなと言う気がしました。
ノルウェー人の為の映画
自分の歴史認識の浅はかさを感じてしまうが、ノルウェーが建国たった110年程だと言う事をこの映画で知った。しかも国王はデンマークからやってきた人だと言う。そんなびっくりな事に驚きながら耳をすますと、なんてまぁ、聞きなれない言語。
ヒトラーに屈しなかった国王、とは、ちょっと大仰なタイトルにつられた感がある。国王と言うよりドイツ大使が戦争を回避する為に骨折った映画とも言える。ドイツ人にもあの当時、まともな人も居ましたって、今のドイツに、今後の関係性も含めて恩売ってるなと、思った私はひねくれてるか‥。
国王を演じた人のたたずまいは、さすがと、思うが、所詮、ノルウェー人のための映画だな。
観て良かった作品
原題:『The King's Choice』と比較すると、その解が邦題に出ている作品。しかしながら、その結論に至るまでの心の動きが丁寧に描写されていて、そこが大変見ごたえある作品でした。
余所の国のお家事情
第二次世界大戦時ドイツ軍による侵攻が進む中で、降伏しない政府にかわりノルウェー国王にドイツ公使が謁見し交渉をするまでの3日間の話。
戦闘シーンも少しはあるけれど、小さな場面をみせられても全体の戦況に繫がらず説明台詞が多過ぎるし、謁見した後も結局字幕で結果や状況を説明って。
正にあらすじに書かれている通りのストーリー展開でテンポも悪くて冗長だし、この作品としての見所となるような場面もこれといってなく、ふ~んという感情しか残らなかった。
日本とノルウェー
史実に基づいたフィクションではあるが、この映画を観る前と観た後で、ノルウェーに対するイメージががらりと変わった。
同時に、(個人的に右寄りでも左寄りでもないが)同じ立憲君主制を敷く日本という国、天皇陛下という存在について、深く考えるきっかけになった。
時系列に話が進むので歴史モノを観ているという印象を受けつつも、ハンドカメラで撮られた臨場感溢れる映像や、全編に渡る国の危機という緊迫感により、最後まで目を離すことができなかった。特に、ドイツ軍の艦船が突如霧の中から現れたシーン、ドイツ軍を待ち伏せして銃撃戦になるシーンは手に汗握った。
一方で、一番印象に残ったシーンは、祖父であるホーコン7世が孫たち家族と離ればなれになるところだった。国の一大事に翻弄される王族一家の心理描写も非常に丁寧になされており、もし自分が同じ状況に置かれたら、愛する人のために、祖国のために、家族と離ればなれになることができるだろうかと考えた。
ホーコン7世は、最後まで「祖国のため」という姿勢を貫いていた。自分だけでなく、家族や国民を犠牲にしようとも、祖国のことを第一に考えた。この映画で描かれた3日間の後も、戦争が終わるまで、ナチスドイツに抵抗を続けた。
ノルウェーでは2016年に公開され、社会現象になるほど大ヒットしたというが、ノルウェー国民にも、きっと王の想いが引き継がれているのだろう。自分を犠牲にしてでも、祖国を守ろうとする姿勢。もしこの時代に家族同士、国民同士で分裂していたら、国は滅びてしまっていたかも知れない。
日本も同じく国のトップ?がいるわけだが、ノルウェーとは何かが違うと感じる。もし日本が同じ状況に置かれたら、その時の天皇陛下はどう決断を下されるだろうか、と想像する。同じように国民のために動いてくださると思うが、今は政治への介入が厳しく制限されているから、結果日本が応戦するか、降伏するか、わからない。
また、最近話題の内容だが、例えば、周りの国から軍事的圧力を受けてどうしようもなくなったとき、日本の政治家たちは天皇陛下に助けを求めるだろうか。何だかアメリカに助けを求めそうに思うのは気のせいか。やはり日本は、ノルウェーとは似て非なる存在なのだろうか…。
余談だが、アナ雪はノルウェーがモデルらしいので、皇太子の「オラフ」という名前は絶対忘れなそうだ笑。彼は、父とはまた別に国民の目線で庶民的に生きた、すばらしい王だったとどこかで読んだ。ホーコン7世と彼と、どちらの主張が正しいとかはないと思う。ホーコン7世の兄が王だったデンマークはナチスに降伏したが、それも間違いではないと考える。
そして、全体を通してホーコン7世は無言を貫くシーンが多いのだが、自分はまだ年老いていないし子供もいないので、国王が何を考えてるのかよくわからない部分が多かった。どちらかというと、子供という観点、守られる立場から観てしまっていたように思う。
早く逃げなきゃいけないのにもう一度家に戻る国王を「また帰ってこれるよ」と優しく諭す皇太子…自分はそうできないかもと思った。「早く来て!」と少しイライラしてしまった。子を持ったり歳をとったりすると変わるんだろうか。
映画の題名からは、どんなことにも折れない屈強な人物かと思ったが、がんこで腰も悪いしよろよろしているおじいちゃんで、最初は「思っていた雰囲気と違うな」と思ったが、移動ばかりで疲れていても、ここぞというときには声を張り胸を張り堂々とする場面を観て、ここ数年話題となった天皇陛下の退位についておもいをはせた。年老いたとしても、ホーコン7世は芯はものすごく強い人だったのだろうと想像した。
心残りは、交渉人が報われずとても不憫だったこと。フィクションなのかも知れないが…。
最後が字幕で片付けられていて驚いたが、決断の3日間にフォーカスを当てているということで、納得して会場を後にした。
非常に良い経験をさせていただいた。
道義を曲げず信念を貫いた国王の決断、この冬お勧めの一本に推薦!
昨日、東洋経済新報社主催の試写会が、ノルウェー大使館内の素敵なホールで行われ、幸運にも参加する機会を得た。上映に先立ち、エリック・ポッペ監督から制作にまつわる裏話が紹介された。監督のきれいな英語とまた、プロの通訳者さんの完璧なまでに美しい日本語訳で、開演前の助走がうまく整った。
ホッペ監督は、本作品の制作に4年の歳月を費やし、そのうち脚本に3年をかけて、現存する膨大な文献を調査し当時の史実に基づき忠実に再現することに努めたという。本国ノルウェーでは3週連続1位を獲得し、国民の7人に1人が鑑賞するという社会現象的大ヒットを記録したというのだが、映画を観終えて、なるほどその反響が容易に想像できた。
ポッペ監督は、ノルウェー国民のためにこの作品を制作し、その共感を得ることが出来たところまでは期待どおりであったが、海外での上映は当初から想定していなかったものの、今回、アメリカや日本、南アフリカなど海外でも反響を得ているのは全くの予想外だったという。
監督は、撮影を振り返り、当時をより忠実に再現するためには、王宮での撮影が欠かせないと考えたのだが、「通常どの国でも、いち映画の撮影で、王宮での撮影が認められることはそう多くないと思う」と述べ、自分もダメ元で申請したところ、幸運にも許可が下り、実際に使われている王宮での撮影が実現したという。
また、主役のホーコン国王の孫で、現国王であるハーラル国王が実際に執務を行っている隣の部屋を使った撮影では、最少人員での遂行を条件に撮影が許可されたため、監督自身がカメラを担いで撮影したという。そして、ホーコン国王が登場する王宮内のシーンを正に撮影している自分の後ろで、その孫である今のハーラル国王が、「今隣の部屋で撮影をしているから、大きな声で話せないんだ!」と声を潜めて電話口で囁いている、なんともシュールな場面を体験をしたんですよ!」とやや興奮気味に撮影当時のシーンを回想していた。
監督は、この作品でホーコン国王役をイェスパー・クリステンセン氏に演じてもらうことが大前提に考えたいたが、クリステンセン氏がミスター・ホワイト役で出演している『007/スペクター』の撮影時期と重なってしまったため、そのクランクアウトまで本作品の撮影を一年延ばしたという。監督がクリステンセン氏の起用にこだわったのは、単に素晴らしい役者であるからだけでなく、ホーコン国王にそっくりだからという。そのことを象徴するエピソードとして、王宮での撮影時に、国王の衣装をまとったクリステンセン氏が、王宮の廊下を奥のキッチンの方に向かって歩いていたところ、キッチンから王宮のスタッフが不意に出てきて、歩いてくるクリステンセン氏を一目見て、「亡くなったホーコン国王の亡霊が出た!」と驚き、抱え持っていたグラスを全部、床に落としてしまったというエピソードが紹介された。
正直、私は歴史に強い方でもないし、北欧についても、なんとなく憧れはあっても実際に行ったこともなければ、元首の名前も出てこない程度の知識レベルで、この作品に挑んだ。誠にお恥ずかしながら、どうしてノルウェーの国王がデンマークからやってきたのか等、北欧諸国の歴史については何も知らなかったことに気付かされた。ノルウェーが1905年にスウェーデンから独立したこと、デンマーク王家の王子が国王としてノルウェー国民に迎えられたこと、ノルウェーは14~18世紀までデンマークの支配下に、18~20世紀までスウェーデンとの同君連合を組んでいたことなど、この映画を機会に、北欧の歴史を遡って調べる興味が湧いてきた。
最後に、この作品の主題部分について少し触れておきたい。この作品は終盤でやや展開が駆け足になった感が私には少し残ったのだが、総じて大変素晴らしいノンフィクション作品だと思う。肝になるのはやはり終盤で、ポッペ監督が一番思いを込めたと思われるホーコン国王とドイツ公使役の直接交渉のシーンであろう。国王の道義を貫く苦渋の決断、あくなき民主主語へのこだわり、国民主権の考え方、「王のためでなく祖国のために」という言葉があらわす国を思う一貫した信念が見事に表現されている。
また、必死に最後の最後まで全面衝突を避けようとした、ドイツの外交官の存在と、相反して突き進むナチス軍部の描写から、当時の戦争というものがどのように始まり、進行してゆくのか、その実際の展開の一例がリアルに描かれた作品であると思う。この作品の主役はもちろんホーコン国王であるが、私はそれに次いで、このカール・マルコヴィクス氏が演じるドイツ公使が強く印象に残った。
この作品はナチス・ドイツを糾弾する単純な反戦映画ではなく、あくまでも忠実に、史実に基づいたフェアーな描写で、監督が伝えたいメッセージの重心がどこにあるかを鑑みれば、ドイツ人の観客でも極端な思想の偏りがある人でなければ、大方、受け入れ可能な作品ではないかと想像する。この作品は、歴史を学ぶ映画としてだけでなく、危機対応のリーダーシップも学べる作品ではないかと思う。
この冬の必見の一本に推薦したい。
全37件中、21~37件目を表示