「アナ雪にも出てくるオラフ」ヒトラーに屈しなかった国王 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
アナ雪にも出てくるオラフ
立憲君主制とは何かという点で興味深く自宅鑑賞。1940年4月9日から11日までの3日間をスリリングに描いていました。「イギリスから守ってやるから、国を引き渡せ」というのがナチスドイツの要求で、議会は混乱、あっという間に首相が辞任し内閣は解散するかとも思われたが、ドイツのクヴィスリングの傀儡によってクーデターが起こる。
とは言っても、映像では一切見せない手法のため、誰もがラジオに耳を傾け、有事の際の情報の無さの恐怖を感じる演出だった。今の発達した情報社会では考えられないのかもしれませんが、侵略戦争を起こす国の恐ろしさを見事に描いてました。
政府が実権を握っているはずなのに、混乱し、機能しなくなれば、最終的決断は国王にゆだねられる立憲君主制。戦争の犠牲者を出さないためにも早く国を引き渡してほしいドイツ側の公使ブロイアーの焦る姿も見事に描いていました。結構ぐずぐずしてたのに、ヒトラーからの直通電話を受け取り、心酔してしまったようにも見て取れた。いざ国王に謁見すると、陽の陰になった国王ホーコン7世の神々しさに圧倒されたのか、思うように説得できない。密室での条約なんて公使ごときじゃ相手にならん!と言われたらどうしようと、おどおどしているようにも見えるのだ。
そんな国王が取った選択は「すべては祖国のために」。ノルウェー史上初の国民に選ばれた王様であるため、民意を尊重し、ここで決定してしまったら民主主義ではなくなると言い放ったのだ。気持ちいいお言葉。戦争の犠牲者は出るだろうけど、ナチスに服従したところで戦争に駆り出され犠牲者は出るはず。選択が間違っていたら、即王位を退くと断言するのだ。
神格化されてるわけでもない国王の立場。あくまでも民意の代表であるという立場なのがユニークなシステムだった。どちらかというと、戦後日本の天皇制と似ているのがわかり、ちょっと勉強になった。