ぼくと魔法の言葉たちのレビュー・感想・評価
全17件を表示
映画が持つ可能性について教えてくれるドキュメンタリー
自閉症を患い言葉を失った少年オーウェンが、大好きなディズニー・アニメやそれを通じて培った経験に助けられながら、人生のステージを一つずつゆっくりと歩んでいくドキュメンタリー。本作を観ながら驚いたことが幾つもある。まずは膨大なディズニー映画のフッテージを盛り込むことに成功している点。少年が成長し、成人を迎え、両親の手を離れて独り立ちしていく過程で、アニメーションがどれほど彼に影響を与えたのか、今彼がどの場面を反芻しているのかが手に取るようにわかったことは非常に貴重な体験だった。そして映画から人生を学んだり、くじけそうになった時に後押ししてもらう意味では、私たちもまさに同じだ。映画の力を借りて心身ともに成長していくオーウェンに大きく共感している自分がいた。ディズニー・アニメを題材にした映画ではあるが、本作は「なぜ我々は映画を見続けるのか」という命題への答えすら内在している気がした。
現実は台本とは違うのだ
現実世界を、映画の台本で理解しようとしている。 自分の力で、現実を把握しなければならない。現実は台本とは違うのだ。
ほぼ引用だが、この映像の主旨じゃないかと思った。
映画ばかり見ていると、その映像の中に埋もれてしまい、現実逃避に繋がるのかなぁ。等と。
迷子の脇役達の国
僕もムーミンが好きだが、本当に好きなのはサロメちゃん ニンニ フィリフヨンカ そして、有名なところでは、リトルミー 彼の気持ちがなんとなくわかるのは、僕も昔そんなだったからかなぁ。
みんな観るべき、知るべき事実
思い当たることがあって、観てみました。
ドキュメンタリーにありがちな、追いかけるカメラの揺れる画像、或いは、定点の長い画像、そういうのに偏らないように、アニメーションなどを入れて、見やすい作品に仕上げられていて、退屈することなく観られました。
そして、大きなふたつの発見があったので、本当に観て良かったです。
ひとつは、自閉症は、生まれつきの脳の構造だと思っていたのですが、そうでない場合がある、と知ることができたこと。
2才位までは、定型発達していて、3才くらいから、逆に、発達が後退した、という事実。
原因については言及されていなかったですが、自然とこうなったのか、頭部の打撲などの外傷があったのか、または、高熱、けいれん、などがあったのか、それとも、なにか、薬や何かの摂取が原因か。。。 まぁもし、原因が考えられても、その証明も、また根本治療もできないのが、脳の障害ではありますが。。
もうひとつは、ディズニー映画の効能。
実は、私はディズニー映画、ディズニーランドなどが、好きではありません。私の母は、戦時中大変だったので、戦後の夢のようなハリウッドやディズニーが大好きで、私は、ディズニー映画を観て、ディズニーの絵本に囲まれて育ちました。にもかかわらず、自分が育児をする時にディズニーは排除してきました。あの極端な表情や表現や、主役が世界一幸せになって祝福されるという、現実離れした短絡的な物語が好きになれなかったので。。。
しかし、コミュニケーションに問題を抱える人にとっては、これほどわかりやすい表現はないのかもしれないということに気づきました。
たしかに、いつまでたっても上達しない私の英語力も、ディズニー映画を丸暗記すれば、会話できるようになるかもしれないな!! これは大きな発見。
それに、社会での疎外感を感じ、生きづらさを抱える人にも、「君が主役だ。悩んでも誰かが関わってくれる、そして、きっとハッピーになるんだ!」という物語は希望になるのかも。
ただ、わき役のいろんなキャラが好きだというオーウェン。 ちょっとくせのあるいろんなキャラクターからの言葉を借りて、生きることへの理解を得たり、自分自身を応援したりしているのでしょう。
自己表現しにくい人が演劇を体験し、何かの役になりきることで、別の人格としてだと、すんなり言葉が出たり、思い切った表現も可能になることがある、というのは知っていたので、実際、声優も驚くセリフ回しの場面は、納得。
いろんな役の言葉が、コーチング的な役割と思えば、ディズニーアニメは、役に立つ映画なのかもしれません。
それにしても、日本の支援学校では、どういうことが行われているのか、大人になって一人暮らしを支援する体制があるのかどうなのか。。。
アメリカでさえ、お兄さんが覚悟をしないといけないというのが現実なのか。。。
いろんなことを考えさせられます。
みんなが観るべき、事実への、優しいアプローチの作品だと思いました。
自閉症とは
私の身近にも自閉症なのかな?と思われる人がいる。
彼は突然の出来事に弱くて、でも心が本当に純粋で、約束は守るしまさに永遠のピーターパンという感じ。
自閉症の特徴というものを未だよく理解出来ていなかったが、色んなパターンがあるんだなとこの映画を見て思った。
そして人と関わりたくないのではなく、関わりたいけど関わり方が分からない、というのもしっくり来た。
オーウェンと初めて会話ができた時のお父さんの気持ちはそれはもう嬉しかったんだろう。
イメージしていたものとは少し違ったが、いいドキュメンタリーだった。
『自閉症を知る映画』ではないけども。
ディズニー映画を通して言葉を取り戻し、ディズニー映画の脚本を通じて文章を学び、ディズニーキャラクターを通して心の成長を学んだ自閉症オーウェンの成長の記録。ドキュメンタリだから盛り上がりとかドラマチックなシーンこそないけれど、じっと日常に寄り添っていて、悲しみも喜びも孤独も凄く身近に思えて感情移入した。思ったよりディズニーの出番?は少ないように見えた。
彼を取り巻く環境が最良だと思う。アメリカって自閉症のセラピーや保護が確か凄く厚いんだよな、と。日本でこうはいくまい…。
兄のウォルトが優しくて強くて、そして彼自身も家族を守らねばという重圧に悩むシーンにはジワっと泣いてしまった。そして低音ボイスかっこいい…。
オーウェンのラストのスピーチ、自閉症の人も皆と同じ事を望み 人との繋がりを欲しがって生きてる!という言葉がリアルで重くて心に残った。
ディズニー・アニメの世界
自閉症により言葉を失った少年のドキュメンタリーで、何回も見ているディズニー・アニメの世界に入り込んでいることを見出して、コミュニケーションをとることに成功する。
ガールフレンドとの別れが切なく、乗り越えたときには思わず拍手してしまう。
ラストの両親の言葉が重い、本当に重い。
ぼくと魔法の言葉たち
主人公が3歳までは普通に会話ができたのに、ある日、突然言葉を話さなくなり、周囲がそれを「失った」のではないと気付くのに6年もかかった。それが前半のポイントなのかな。
医師が「ディズニー映画の中のセリフをしゃべったのはただのオウム返し」と切り捨てる場面があります。「うちの子供よりも軽い人を描いている」と思う人はもう一度見直してください。周囲の人が常識や専門知識に囚われることで対応が遅れること、それがを自閉症スペクトラム「重症化」の原因なのではないでしょうか。
家族の苦労はこの映画の主要テーマではないので、慰めてくれるかと期待した人にとっては少しがっかりするでしょう。
また、後半では「障害者の恋愛」についても正面から描かれます。日本では目をつぶって避けようとしがちなテーマなので、オーウェンの活躍と成長をぜひ見てください。
成長の記録
自閉症の家族がいるので観に行きました。
実話というか、実録の映像とアニメーションを組み合わせたもので、比較的軽度の方が主人公です。
実録を基に作られているので、変に飾ったり誇張したりもせず、
嬉しいことも悲しいことも淡々と綴られていて、ありのままの日常を見ることができます。
綺麗事ばかりではない現実をきちんと描いている映画ですが、
アメリカの福祉はやっぱり進んでいるなという面も含めて、理想的な環境がベースなので、
当事者側の立場で観れば、現実とのギャップがもどかしい点もあると思います。
それをふまえても、主人公が少しずつ成長していく様子をそのまま切り取ったスタイルは良いですね。
私は立場的に主人公のお兄さんにすごく感情移入してしまって、
自分の過去とも重なる部分があり、ずっとボロボロ泣いていました。
普通の人が観るとイマイチピンとこないかもしれないけど、
知的障害者の家族、福祉従事者には観てほしい映画ですね。
Nスペ風ドキュメント
ディズニーという圧倒的に分かりやすいフィルターを通しても、やはり自閉症がどういうものなのかよく分からなかった。
なんでだろう?ディズニーのフィルム使うのにはやっぱり色々あるのかな?
だって、ご家族や本人のご苦労がほとんど描かれていないんだもん、違和感あるよ。
日常
息子もディズニーを見せればよかったのかな。時代劇フリークだったので二語文止まり。娘は教育テレビで滝沢カレンくらいにはなっただろうか。家の手伝いをする働き者になった。
どちらも成人した今、障害のある子供との日々は日常。おそらく障害の有無にかかわらず、子供が成長していく過程は人生の幸福の詰まった日々だろう。
これから自分も子供も人生の下り坂。自分が力を失ったときどうなるのか頭に描けない。これも障害があってもなくてもやはり同じなのだろうか。
背負わされるであろう同胞も以前からテーマに挙がることで、この映画でも言及されていたが、それを家族に持たないものがどうなるのか。
映画にならないかも知れないが見てみたい。
本人達の言葉に耳を傾けよう
「私達(自閉症の人)は、誰もが望んでいることを望んでいる。他人と接することが苦手だと思われているが、ミスリードによって壁の中に閉じこもってしまうのだ。」主人公が、フランスでの講演の中で語りかける言葉である。
今、現に自閉症の人と接している人にとって、救いの言葉になるか厳しい言葉になるかはわからないが、噛みしめたい言葉である。
支援に関わる人はぜひ見てほしい
自閉症(自閉スペクトラム症)というのは、大雑把に言うと対人関係・コミュニケーションスキルに難しさがあったり、特定の“モノ”へのこだわりが強くなってしまう障害だとわたしは理解しています。
この映画の主人公を取り巻く家族を中心とする周囲の人々がじつに優しい。
ドキュメンタリーとして描くために必要な回想シーンをあたたかなタッチのアニメーションで描いている部分もよくできているとわたしは感じました。
支援のこと、自閉症当事者の恋愛や性のこと、教育のこと、障害者を持つ親が〈親なきあと〉をどうイメージするのかということ、自閉症(障害者)を取り巻く社会のことなどを考えるきっかけになりそうな映画です。
アメリカの映画ですが、状況は日本もほぼ同じだ、と支援に携わるわたしは思いました。
全17件を表示