マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白のレビュー・感想・評価
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人生の主導権
前半は、中国でブローカーとなり家族を養う彼女が、韓国へと向かう過酷な旅が描かれ、とてもドラマティックでしたが、
私は後半の韓国での生活の方に心を奪われました。
かつて北朝鮮で家族だった4人が一つ屋根の下に暮らしてはいるが、本当は中国の夫を呼び寄せて息子達と暮らしたいマダムベー。
彼女は中国の夫のことを「私の事を理解してくれる。」と言う。
監督が彼女から聞いた話だと、北朝鮮よりも彼女が売られた中国の家の方が貧しい暮らしだったそうだ。
血の繋がった息子はともかく、夫なんて赤の他人なんだから、貧しい生活でも自分を尊重してくれる男。存在意義が持てる男を愛するってことか……。
一日、一日、韓国での生活に不満が募る彼女。
ここからがサスペンスフルなのですが、監督は個別に男達にインタビューします。
おそらくは近い将来、彼女が口にするであろう希望。その選択に対するそれぞれの思い。
それを聞かされた観客は、その後の“日常”シーンに潜んでいる家族の危うさに戦慄が走ります。
それぞれの思いを秘めて、一つ屋根の下ですぐ手の届く距離で生活している“家族”
一日、一日、“日常”が過ぎて行く。
彼女が口を開くXデーまで。
トークショーでは、監督から現在のマダムベーの生活を聞くことができました。
彼女の選択にしごく納得。
生活は大変でも、完全に人生の主導権を握っている彼女の強さに憧れました。
あと、中国の家で、携帯電話やインターネット、テレビ電話まで普通に使っていて驚きました。
髪も染めてたみたいだし。
彼女の稼ぎのお陰??
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