「ステイサムという説得力。」MEG ザ・モンスター ゼリグさんの映画レビュー(感想・評価)
ステイサムという説得力。
ステイサム主演の中国映画という感じ。
それぐらいアジア色が強いです。
何のてらいもなく中国資本という事を押し出してくるので、中には合わない人もいるんでしょうね。
まあ個人的には、映画は面白ければ人種なんてのは関係ないので、アジア人だろうがインド人だろうがブラジル人だろうが宇宙人だろうが、サメ映画を盛り上げてくれれば問題ないです。
そんな事はどうでもいい。
サメ!!ステイサムとサメだよ!?
何この組み合わせ!
ハンバーグとステーキだよ!!
胃もたれするわ!
でもわかる。人間相手じゃ張り合いないもんな。
陸の悪役は大体倒したから、もう海しかないよね。
そんな、海の幸のステイサムが十二分に楽しめるこの作品なんですが、海洋映画のオマージュが色々ありましたね。
まずは「海底二万マイル」のような、巨大イカの襲撃。
あれは要するにただの外し演出なんですが、それでどんだけ巨大な奴が潜んでいるのかという布石になり、なかなか良かったです。
そして何より、全編通しての「ジョーズ」リスペクト。
これ無くしてサメ映画は語れない。
ジョーズを始め、サメ映画に外せない「サメ主観視点」は当然の事として、捕獲のシークエンスですよ。
どこか心もとない水中ケージ、外れるクレーン、サメに引きずられて逆走する船。
署長が居たら船の小ささを指摘されるぞ。
ショボい獲物捕まえて浮かれる人々。
サメですから、吊り上げ方ももちろん同じ。
フーパーが居たら解剖されるぞ。
どうみてもジョーズです。ありがとうございました。
この身も蓋もなさ、最高です。
ただ物足りなかったのは、えげつない死に方をするキャラがいなかった事。
もちろん興収のため、より大衆向けにレイティングを下げたというのもわかりますよ。
でもやっぱ、サメ映画ですから。
どれだけ金掛けようが、基本Bですから。
もっと遊ぼうぜ。あのでっかい口で。
監督のコメディエンヌ的な作風からか、ユーモアは良いんですけど、ホラー(サスペンス)方面の演出は弱い気がしました。
それがレイティングのためなのか、監督の作風、嗜好のためなのかは知らないですが。
今の時代に、さすがに子どもは殺せないよね。
スピルバーグとはいかないです。
もちろん、わかりますよ?
ビーチでサメがクジラの声で引き返すシーンも、外し演出のためなんでしょう。
けど、ただ監督が批判にビビってるとしか思えないです。
何なら、サメがヒヨッたようにしか見えないです。
あんな目の前に来たならもう食えよ!
おりこうさんかよ!
外し演出も、外しすぎるとただのいらないシークエンスですからね。
主要キャラならまだしも、ポッと出の子どものピンチとか、ハリウッド映画で一番いらないシーンですから。
みんな大好きだね、ああいう演出。
何アイス食ってんだ。
いや、贅沢は言いませんよ?
個人的にはサメとタイマン張るステイサムが見れただけでも満足なんですよ。そりゃあね。
最後なんて、ジャッキーチェンの「レッドブロンクス」みたいだったもんね。
あのホバークラフト切り裂くやつね。
そこからの「白鯨」ね。
もうエイハブ船長みたいだったもんね。
グレゴリー・ペックだったもんね。
ステイサムだったら白鯨倒せそうだけどね。
例えがアレですいません。
要するに楽しめたんです。
けれど、印象としては無難な映画だったんです。
ただ最近のA級サメ映画に見られる「リアル」さとは掛け離れた、映画ならではのケレン味に溢れたA級サメ映画が久々に見られて、その点に関しては満足でした。
CGはやっぱりB級じゃ太刀打ち出来ないですから。
それに何といっても、ジェイソン・ステイサムというスターだからこそ出せる「ステイサムなら出来てもおかしくない感」ですよ。
どんなにありえないシーンでも、彼だったらやれそうだと。
これが何よりもこの映画に説得力を持たせている部分であり、今作の魅力なのではないでしょうか。
ただ、ジョーズにオマージュ捧げてるのが災いしてか、ジョーズとの演出力の差を見せつけられてしまった感じです。
びっくり演出だけしてればいいってもんじゃないでしょう。
なんで水中でお化け屋敷みたいな体験しないといけないんだっていうね。
怖がらせるなら、ゾッとさせてくれ。
けれど、最後に「fin」と出したのは良いですね。
モンスター映画ならではの外し演出です。
続編は絶対作んなよ!「復讐篇」とかやんなよ!
余談。
マシ・オカの自己犠牲には泣いた。
相変わらずHEROでした。
ステイサムの飛び込みフォームが美しい。
さすが元プロ選手。
登場キャラ多いわりに、意外とみんな生きてた。
水中から見る犬かき、可愛いすぎだろ。