「ホラー版スタンドバイミー」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー版スタンドバイミー
子供たちの恐怖=ITとはメタファーだと思う。
弟を失った、親に虐待された、いじめられたなど、子供時代に体験した逆境が、恐怖を形成している。
夏休み、子供達はITをやっつけて=克服して、ひとまわり成長する。
恐怖=ITは、子供から見た禍々しい世の中そのもの、でもある。
無理解な親、いじめっ子の暴力、良心の呵責、吃音/肥満/瓶底眼鏡/ユダヤ/肌の色などのコンプレックス。それが恐怖となり、ピエロの姿で実体化する。その恐怖に対峙し、一致団結してやっつける冒険譚。瑞々しいジュブナイル。
ひと夏の体験。
かけがえのない友情。
換骨したら、スタンドバイミーと全く同じ構造を持っていることに気付くに違いない。
心優しいビル少年(Jaeden Lieberher)に、易々とリバーフェニックスの面影を重ね合わせることができる。
大人になったとき、その体験が、あの誓いが、きっと支えや扶けになって、良心を育む。寓話を借りながら、根底には、悪い大人にはなるんじゃないぞ──というSキングのねがいが込められている気がした。
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