「田園。」ごはん Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
田園。
お米。容易に手に入ることが当たり前過ぎて、その生産過程に想いを馳せることは殆どない。ましてや都心が生活の場であると、田畑に遭遇することも稀である。そんな都心のど真ん中から、父の逝去で京都の郊外、実家の農家に里帰りしたひかり。田植えの終わった田んぼの管理を引き継ぐ人物が見つからず、自ら管理することに。
地味な作業を朝から晩まで、雨の日も風の日も、日々繰り返していく。何も分からない状態から手探りで、コツコツと。
周囲の人々の手を借りながら、失敗を重ねながら、思い通りにはならない自然界と向き合いながら。
出穂(しゅっすい)を経て、美しく実った穂が織りなす風景はとても美しい。そして、手間暇かけたお米がどれほど美味しいものか、ひかりのその舌の感覚が嫌でも伝わる。
昔、私は田園風景が身近な場所で生活していて、パートナーが農家だったこともある。あの人と一緒になっていたら、私も日々米と向き合って過ごしていたのかもしれない。そんなことが頭の中でリフレインした。
農家の方々がいなければ、我々の生活は成り立たない。他の職業も、その多くはそうなんだけど。飽食の時代、スポットライトを浴びることがないヒーロー達を忘れずに。日々感謝して生きたいものだ。
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