ごはんのレビュー・感想・評価
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主演:田んぼ
小学校の時、近所の田んぼで米作りの実習みたいなのがあったのをおぼろげながらに覚えている。と言っても、自分たち児童がやったのは田植えと稲刈りだけで、田んぼを学校に貸してくれてた農家の方が、その間の多くの手順を代わりにやってくれていたのだなとこの映画を見て気がついた。特に、丈夫で美味しいお米を作るために、田んぼに張る水の量の細やかな調整に大きなノウハウがあるということを初めて知った。たとえ広大な農地に日本のお米と同じDNAの種籾を持ち込んだとしても、この手間をかけずして、美味しいお米を他国で作るのはまず無理だろう。日本のお米の価値を再認識できてよかった。
侍タイムスリッパーがたいへん面白かったので、同じ監督の別の作品が都内のミニシアターでリバイバル上映されていると聞いて見に行った。米農家と兼業しているという安田監督の思いが十分に込められ、米作りと同様にていねいに作られた映画だと感じた。稲作の最初から最後までを(劇中での順番は前後するが)追って撮影するのは長期戦でたいへんだっただろう。そのようにして撮られたその時どきの田んぼの姿は確かに美しかった。ただ、ストーリーが湿っぽすぎて、自分にはちょっと合わなかった。劇伴が大げさで、たとえば、故障したコンバインが運ばれていくシーンはあまりにも音楽が悲しすぎて、逆に笑ってしまった(でも、田んぼにゴミを捨てるやつは極刑に処すべきと思いました)。侍タイムスリッパーはやはり別次元でバランスのとれた面白い映画だったのだな。
上映開始が11:40だったので、昼飯は映画の後で食べるつもりだったのだけど、ちょうど主人公が新米のご飯を炊いて亡き父を思いながら一人で食べるいいシーンのときに、他の観客に迷惑なんじゃないかと思うぐらいの勢いでお腹がグーグー鳴って困った。ご飯を食べてから見た方がいいです。
お米ができるまで
御多分に漏れず「侍タイムスリッパー」から遡ってこちらを鑑賞。さすがにかの作品ほどのものを期待してはいけません。あんな傑作にはそうそうお目にかかれるわけありませんから。
普通に良い映画です。昔、小学校の体育館で見せられた教育映画のような。本作鑑賞後、おそらく製作配給の未来映画社の人が意見を聞かせてほしいというアンケートを取ってたので、そのまま感じた通り小学校で見せたらいいのではと言ってしまった。いい意味で言ったつもりだったけど商業映画としては弱いという本音がつい出てしまった。
確かに親が子供に見せたいような映画。逆に子供はコナンとかドラえもんがいいのにと拗ねてしまうだろうけど。それくらい地味な作品であり、エンタメ性は低い。毒っけもないので娯楽作品としては物足りなさも感じるかも。
ただ安心してみていられるし、やはりこの監督は人間を描くことには長けていると思う。描くべきところはちゃんと描いてる。だからこそ今回の「侍」の成功があるんだろう。信頼できる監督だと思う。
昔、親からご飯は米の一粒一粒にお百姓さんの汗と涙が詰まってるから一粒も残さず食べなさいとしつけられた。だから今でも米粒を残してる人を見ると気になってしまう。
本作はお米が取れるまでどれだけの手間と労力がかかっているのか子供に教えることができるし、大人にとっても代々お百姓さんたちに受け継がれてきた知恵を知ることが出来て勉強になる。本当にご飯のありがたみを感じられるいい映画だ。
ちなみに主人公のひかり(コシヒカリからつけたんだろうか)が西山老人からお父さんの言葉を聞かされて東京に帰らず農作業やる決心したんだけど、その言葉が後半明らかにされると思ってみてたけど結局は明かされずじまい。あと、げんちゃんがギプスをしていながらどうやってズボンはいたのかも謎のままだった。さては監督は続編まで明かさないつもりか。んなわけないか。
最近令和のコメ騒動があったばかりだけど、日本人のコメ消費量はここ60年で半減してるのだという。食の欧米化でパン食が増えたりしたせいだが、コメの消費量に合わせて減反政策なんてのも過去に行われていたっけ。
今回のコメ不足では新米の季節とかぶってたから新米の値を下げないように備蓄米の放出もなされなかった。
日本の食料自給率は30%台と相変わらず低く多くを輸入に頼ってるので戦争や災害などの世界情勢に影響を受けやすい。カナダやアメリカなんかは200%を軽く超えているのでいざとなれば輸出を止めて自国の消費に回せるが日本はそうはいかない。
コメの生産もやはり農家の跡取り問題や高齢化でその担い手が不足していて本作のお父さんのように他人の田んぼを一人で請け負い負担が大きくなってる現状がある。そんな事態を打開しようとスマート農業がいま注目されている。ドローンを使った害虫駆除や本作でも苦労していた田んぼの水位を監視するのをコンピューターで制御したり、広大な範囲を少人数でもカバーできるという。
国も無駄な兵器買う金あるならこういう事業にもっと補助金増やしてやればいいと思う。食料自給率低い国が戦争やるなんて自殺行為だからね。
やさしすぎるぅ
侍タイスリを観なかったら、きっとこの映画も観なかったと思う。
僕の知っている米作りは、幼少の頃の祖父がやっていたもの。コンバイン登場以前の村落総出で各戸の田圃の田植えや稲刈りを手伝っていた。重労働ではあるけれど、和気藹々とした雰囲気は子供心に楽しいものだった。
その後機械化が進み、今の米作りはさぞ味気ないのだろうなと勝手に思い込んでいたが、さにあらんや、なるほどと感じ入った次第。
星4以上!?まじ?と半信半疑で観たが、納得。ラストの伏線回収は泣けてきた。
観終わって、なんともやさしい気持ちにさせられる作品だった。
刃物のことは任せておけ!
侍タイムスリッパーの流れから
運良く近くの映画館で「タイムリー」に上映があって観ました
優子殿こと沙倉ゆうのさん演じるヒロインが名前のとおり光ってました
主人公「寺田ヒカリ」どこかで見たと思ったら
TV時代劇「心配無用ノ介」のエンドクレジットにあった「寺田ひかり」ですね
映像が美しい、見ているだけで癒されます
序盤ですが、伸びた緑の苗の林の中に緑のカマキリ?を見つけた時は何故かワクワク
福本清三さん演じる西山老人の鎌による稲刈りは見事な逆袈裟斬り?
確かに「刃物のことは任せておけ」でした
ヒカリさんの新米と漬物だけの食事(漬物は食べないけど)のシーンは高坂殿が「塩むすび」を食べるシーンに繋がりました
(オマケ:米作りについての個人的所感)
農家の出の方は何となく分かると思いますがあらためて厳しさとやるせなさを感じます
何でもかんでも効率化という農業政策、経済政策の結果は?
田園。
お米。容易に手に入ることが当たり前過ぎて、その生産過程に想いを馳せることは殆どない。ましてや都心が生活の場であると、田畑に遭遇することも稀である。そんな都心のど真ん中から、父の逝去で京都の郊外、実家の農家に里帰りしたひかり。田植えの終わった田んぼの管理を引き継ぐ人物が見つからず、自ら管理することに。
地味な作業を朝から晩まで、雨の日も風の日も、日々繰り返していく。何も分からない状態から手探りで、コツコツと。
周囲の人々の手を借りながら、失敗を重ねながら、思い通りにはならない自然界と向き合いながら。
出穂(しゅっすい)を経て、美しく実った穂が織りなす風景はとても美しい。そして、手間暇かけたお米がどれほど美味しいものか、ひかりのその舌の感覚が嫌でも伝わる。
昔、私は田園風景が身近な場所で生活していて、パートナーが農家だったこともある。あの人と一緒になっていたら、私も日々米と向き合って過ごしていたのかもしれない。そんなことが頭の中でリフレインした。
農家の方々がいなければ、我々の生活は成り立たない。他の職業も、その多くはそうなんだけど。飽食の時代、スポットライトを浴びることがないヒーロー達を忘れずに。日々感謝して生きたいものだ。
黄金色の輝き
わずかな人数でも時間を掛けて良い映画を作りたいと言う作り手の思いが、温かく愛ある作品を作り出しました。
亡き父への思い、米作りにひたむきに取り組むながらも直面する苦しみや喜びを美しい田園風景の元に鮮やかに描き出しています。
また水がとても印象的に映し出されていて、農家の方々の実際にご苦労されている描写として見事だと感じました。
また話しの進め方が実に巧で、現在のシーンと回想シーンを上手に織り交ぜて、そこに至るまでの過程を見事に描いています。
娘ひかりの沙倉ゆうのさんは米作りに向き合う姿の強さと弱さを演じチャーミングでした。父の井上肇さんも家族、仕事、土地への思いを見事に表現していました。
そしてまだご存命だった福本清三さんが素晴らしかった。その存在感は出ているだけでそのシーンのみならず、この作品に深みを与えていたように思います。
それにしても稲穂の実った時のあの黄金色の輝きは何と美しいのでしょう。その輝きはお米と言う大切な物の輝きなのだと思います。
僕の父親の実家も関西の農家で米作りもしてましたので、作中映し出されるそれぞれの農家の家を見ていると何か郷愁を感じます。通夜や葬儀の後もあんな親戚の叔父叔母確かにいたなぁと懐かしい思い出が甦りました。
このような作品がもっともっと多くの人の目に届けばいいなと願います。
いい映画を見ました
米の作り方はこうだったんだ
侍タイムスリッパー繋がりで鑑賞。
この監督の作品に悪い人は出てこない。
しかし、ちゃんと魅せてくれる。そこがこの監督のすごいところ。
日頃お世話になっておきながらどの様に作っているかよく知らない米。この映画を観てから感謝して食べるようになった。田ね風景が丁寧に描かれていて、米作りが頭に刻まれる。
しかし、侍タイムスリッパーを観た後では、ひかりさんがゆうこ殿に変換されてしまう。
稲と共に、役者も育つ
上映館が菊川というので、静岡じゃ無理だと思っていたら墨田区(笑)
「侍タイムスリッパー」の安田監督の一つ前の作品。侍タイの助監督役、沙倉ゆうの主演。侍タイ関係だとお寺の住職と奥さん、撮影所長が出ています。
メインの2人が、稲が育つのと共に、演技力も成長して自然になっていきます。
監督はこの映画の後に、親から米作りを引き継いだそうで、引き継いだのがこの映画がキッカケなのかと思ったり。こんな映画を作っておきながら、継がない訳にはいかないとか?
福本清三さんのセリフのある演技は「太秦ライムライト」を始め、「科捜研の女」のアメリカのテリヤキソース王とか、いくつか見ていますが、この作品が一番自然だったような感じでしたね(偉そうですけど)。あまり力んでいない場面が多かったからでしょうか。その昔「探偵!ナイトスクープ」で、福本さんのことを調査した時の、オフの時の福本さんの雰囲気に近かったように思います。ちょっと斬られ役を連想させるセリフもあったり。この映画も東映京都撮影所が協力したようですが、福本さんの関係でしょうかね。特に撮影所で撮影した感じはないです。
自主制作っぽい感じは侍タイよりは強いですけど、監督や演者の思いは伝わってくる作品です。
50000回斬られた男の助太刀
令和米騒動の最中に鑑賞することになってしまった。
余計におまんまの有難みを感じることに😥
侍タイムスリッパーを観て、京都で実際に稲作をしている監督の作品を観たくなって菊川詣。
初めての菊川ストレンジャー。
この界隈は居酒屋の誘惑が多過ぎる😅
親の背中を追いかけて生きていける人の幸せ。
ゲンちゃんとヒカリの異なる立場からそれをじっくりとみせられた。
自分の父親をゲンちゃんに取られたような気持ちになって、嫉妬のあまり、明日から来なくていいとゲンちゃんに向かって言ってしまうヒカリ。
東京で派遣切りされた元バスガイドのOLが下請けのそのまた下請けの労働者切り?
そりゃないぜ。
しかし、互いを思い遣り、歩み寄り、すぐ仲直りする二人。
出穂(しゅっすい)
勉強になった。
実るほど頭を垂れる稲穂かな。
稲の海の上を渡る風。
金色の稲穂を照らす夕焼け。
ゴッホの絵みたいだった。
アカガエルもいた。
タニシもいた。カマキリも。
YANMARの赤いコンバイン🤩
つい、小林旭のあの歌が····
亡くなった父親が苗を植え、自分が初めて収穫したお米を一人で食べることになったヒカリ。
ゲンちゃんの九州弁から訛りが消えた。
ゲンちゃんの思い遣りは柄にもないやせ我慢😄
武士は食わねどやせ我慢。
心の中で自分を戒め、
「今日はまだその時ではない」
とつぶやいたに違いない😎
ゲンちゃんには幸せになってほしい。
🎶 風に逆らう
俺の気持ちを
知っているのか
赤いコンバイン〜
🎶
燃える男の赤いコンバイン
それがお前だぜ
いつも仲間だぜ〜🎵
刃物はまかせろ❗
50000回斬られた男の助太刀!
福本清三さん。
実にお見事でした🙏
沙倉ゆうのさんのバスガール姿がみたかった❗
発車〜 オーライ🎵
あかるくあかるく走るのよ〜🎶
おわり。
米作りエンタテイメントムービー、だそうだ。
「侍タイムスリッパー」の私のレビューに共感を頂いた方のレビューを読んでいたら隣に安田監督の前作「ごはん」(2017)のレビューが。はて?なんと現在都内で上映中ではないか。
9月24日(火)
都内東部にある唯一のミニシアター、客席数49の菊川のストレンジャーで「ごはん」を。
[粗筋]
父親の急な訃報に東京で働いていたヒカリは故郷の京都に戻る。幼い時に母を亡くし、東京に就職したヒカリは正月にもわだかまりのある父のいる実家に帰っていなかった。
亡くなった父は年老いた農家に頼まれ30人分の田んぼの耕作をしていた。ヒカリは米作りは素人だったが、父が残した田んぼの稲を、頼まれた農家のためにもなんとか収穫までこぎつけようと引き継ぎ、父に弟子入りし米作りを学んでいた源ちゃんと協力して米作りに精を出す。東京の派遣会社からは解雇されてしまう。ゲリラ豪雨で駄目になる田んぼが出たり、熱中症で倒れたり、収穫中にコンバインが壊れたりと、様々な苦労の中、やっと収穫にこぎつけるのだった。
自分で収穫した米を精米して炊いて食べた「ごはん」の美味しかった事。
父に感謝した時にヒカリは初めて気付く。父が亡くなるまで被っていたボロの麦藁帽子にマジックで書かれた文字に。それは小学生のヒカリが父に贈った麦藁帽子に書いたものだった。
安田淳一監督がどんな映画を撮っていたのか観てみたくて菊川まで足を運んでみたが、素晴らしい米作りエンタテイメントムービーだった。
日本の米農家の就労年齢が65歳を超えていること(新潟の私の親族も高齢で田んぼを若い人に任せている)
米作りには過去の経験則が活かされていること
稲の鮮やかな緑と田んぼを渡る風の美しい風景
黄金色に実った稲穂の頭を垂れる姿
水が出入りする田んぼの姿の変化
これらを見せ、米作りの大変さと喜びを見事に表していた。
一度押し入れにしまい込んだ父の麦藁帽子を、美味しいご飯を食べてもう一度引っ張り出して飾ろうとする時に自分が書いた文字に気がつく所も良かった。
先週「侍タイムスリッパー」を観たばかりなので、ヒカリは助監督の優子ちゃん、父親は撮影所長、おばさんはお寺の奥さん、葬儀の客には住職もいる。安田組なんですね。
そして、いちじくやトマトを作っている農家の西山さんとして登場するのが、福本清三さんだった。
鎌での稲刈りを手伝う時に「刃物の事にはうるさいぞ」なんて台詞があったりして。
結局、殺陣師の役をやってもらいたくて「侍タイムスリッパー」の脚本を監督が福本清三さんに送っていた事が、後に東映撮影所を使える事に繋がったようなので「侍タイムスリッパー」のクレジットに福本清三さんが登場するのだろう。
今日、菊川でやっと入手した「侍タイムスリッパー」のフライヤーに安田淳一監督の言葉が載っていた。「お米も映画も丁寧に作っています。」
安田監督、「ごはん」を観てもそれは判りましたよ。
監督がつくる米を食べてみたい
侍タイムスリッパーを観て、他の作品も観たくなり、菊川で鑑賞。
こちらも暖かい、くすっと笑えてじんわりくる良い作品だった。
農家は大変だと、それは自分の親戚とかを見聞きしても思う。
就業平均年齢が60歳超とか、将来的にも厳しい環境に、自分自身が入っていく気概もないけれど、できることはあるように感じた。
ごはんを味わいたい。
いまの米作り農家を知るに最適な映画
米作り農家の大変さを
明るくエンターテイメントに
仕上げられた
良き映画でした。
米作り農家の現状を
重く苦しく描こうと思えば
いくらでもできたと思いますが、
そこを明るくライトに
描いてあることに好感がもてます。
また舞台が関西なので、
広さを表す尺度は
「甲子園○個分」なのは
good!!
お米作りに込められた想い
田園が広がる京都の久御山で撮影され、リアルなお米作りを描いた作品。お米作りの成功も失敗も、ありのままに観ることができる。
草原のように広がる緑の稲。金色の稲穂。自然をそのまま撮影しているだけあり、一つ一つの風景が綺麗だった。少し大げさな音楽にもこだわりを感じる。そこがまた物語を引き立てていて良い。登場人物では個性溢れる源さんが良いテンポを作っている。
お米は簡単にできるものではなく、多くの先人の知恵や度重なる失敗、苦労が積み重ねられて作られているのがよく分かる。食べ物が食卓に並ぶことに感謝したい。
400万円の低予算でここまでできちゃうの??
安田淳一監督の前作「拳銃と目玉焼」を観て、上映を楽しみにしていた映画。
低予算の自主制作でここまで仕上がったらもう凄いの一言。
広大な田んぼのキラキラした映像とあたたかくほろっとくるストーリーに心が洗われ、
見終わった後は爽快な気分に。
極々当たり前に食べている「ごはん」の裏側で
こんなストーリーもあるのかと一粒一粒感謝して食べたくなりました。
お米一粒の中に7人の神様がいるとはよく言ったものですね。
もちろん、家に帰ってご飯炊いて食べました!
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