劇場公開日 2017年6月9日

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「現代人に向けたおとぎ話」怪物はささやく R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0現代人に向けたおとぎ話

2024年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

状況は変えられない。
「辛い真実には嘘が必要だ」
でも「大切なのはそんな考え方ではなく、行動だ」
行動とは「真実を話すことだ」
この作品が最も伝えたい唯一のこと。
確かに人は、自分の都合のいいように出来事を解釈する。
それはそれで仕方ないが、自分に嘘をついてはならない。
そして、
一つ目の物語のように、誰かが悪く誰かが良いのではないということ。
さて、
母親の死に向き合うということは、コナー少年にとってどれほど苦しいことなのか。
孤独
毎晩見るナイトメア
その中にコナーの真実が隠されている。
「もう終わらせたかった。死ぬと分かっているのが辛かった。だから手を離した。ボクがママを死なせた。ボクは治らないと最初から知っていた。もっと頑張れるのに手を離した」
それは、決して口にできないこと
誰もそうしているし、そう思っている。
「そう考えるのは悪いことだ」
いじめ
本当は殴ってやりたいけど、怖くてできない。
リビングの破壊
「何も触らないで」
どこにも居場所はない
誰もボクの孤独をわかってない。
心の怒りをぶつけたい。
心を、開放したい。
何もかも思い通りにならないイライラ
感情
感情というコントラスト 喜怒哀楽
それを押し殺すことで起きるイライラ
「本当はどうしたい?」
「お前の真実を話せ」 お前の意見を言え
心の真実は真の願い
人間とは本当に面白いもので、社会性という枠の中で押し殺してしまっている自分自身の感情にさえ気づかないことがある。
ここに諸悪の根源があると作者は考えたのだろう。
状況を変えることはできない。
「自分自身も、変わる必要などない」
ただ、「自分は本当はどう思ったのかを明確にすることが必要」なのだろう。
「あとはお前が心から素直に真実を話すことだけだ」
人に合わせる
自分の意見を言わない
その他大勢に紛れてしまって「私」が「存在しない」ようになっている。
つい人が陥ってしまっていること
それに気づけとこの作品は言う。
それをコナー少年と怪物に託した物語
さて、
最後に祖母がコナーの部屋を用意してくれる。
机の上に置いてある母のデッサン帳
そこに描いてあった絵と怪物の話した3つの物語
そして最後に小さな少女の絵
それは少女時代の母 または彼女の魂
そしてあの怪物
おそらく4つ目の物語、つまり母の真実とはいつか怪物の背に乗り、コナーに「心の真実を語る」大切さを教えたいと強く願ったのではないだろうか?
そしてその「タイミング」がやってきたのだ。
母が最後にコナーに伝えたかったこと
「心の真実を話すこと」
当たり前のことが、当たり前にできなくなった人間たちへ向けられたメッセージ
素晴らしかった。

R41
琥珀糖さんのコメント
2024年7月28日

おはようございます。

奥深い名作ですね。
確かファンタジーホラーの児童文学が原作かと思いますが、
迫るものがあり胸が締め付けられました。

琥珀糖