しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのレビュー・感想・評価
全74件中、21~40件目を表示
生きる価値とは?
めぐり会いにより良き人生を送る事ができるのですねー、
そこにたどり着く人もいれば、そうでない人もいる。
モード・ルイスがたどり着いた所にいたエべレットは、はたして良い伴侶だったのでしょうか?
疑いながら観ていましたが、彼もまた不幸な生い立ちの人物でした。
私の様な凡人には解らない苦しみを抱えた同志だからこそ、通じ合えるとモードは察していたのでしょう。
辛抱できる強さ、自分のできる事を精一杯行う直向きな誠実さ、
最初はエべレットに従うだけだったけれど、彼を上手に操る術も身につけて来る。
鶏をしめたら怒鳴られるのでは思ったけれど、スープが美味しかったからか怒られなくて拍子抜け!
掃除だけはやってやるとか、リアカーに乗り押しているのはエべレット、
後半になるとコーヒーを2人分作って持ってきたら「まずい」とモードが言う。
家の中での順位も上がって来ましたね。
彼女が絵を描くことは人生の一部、幸せな時間だったのですよ。
これを辞めさせようとしなかったのは、エべレットの優しさかしら?
いえいえ、彼女の絵が観る者に優しい穏やかな感情を思い起こさせてくれるからよね。
たくさんの富が無くても、何処へも行けなくても、障害があっても、足りる幸せを教えて貰いました。
はみ出し者同士の純粋な愛
実話をドキュメンタリーではなく、ドラマとして描く本作の魅力はどこだ?
この物語はモード・ルイスと言う画家の生涯を描いた実話だと言うが・・・
先ずこの作品のヒロインモードを演じているサリー・ホーキンスに本作での魅力が感じられなかったのが残念だった。
しかし、私にはサリーの以前の作品で唯一記憶に残る物と言えば「ブルージャスミン」だ。
それでも、あの作品でも強烈な見栄張りキャラを余す事無く描いていたジャスミンの存在が大き過ぎて、演じていたケイトの見栄張り振りのゴージャスさに釘付けになり、全く正反対の妹を演じているジンジャーの魅力ももっと目立っても良い筈だが、特別今では印象に残っていないのだ。
ヒロインを演じる女優として華の無いと言うか、印象が薄目のサリーは逆に本作では、モード・ルイスと言う控え目キャラが生きて良いと言う事での配役起用なのだろうか?
その方がこの薄幸の画家のヒロイン性にはピタリと嵌り役なのだろうか?
モードが画を描いていた時代は、まだまだ女性の社会進出が困難で、しかも健常者ではないと言うハンディを背負った彼女の生きた時代を考えれば、ああした生き方しか出来なかったのだろうか?
だが、少なくとも貧しい環境で育った彼女は特別絵画の基礎を習った訳ではなく、独学の自己流の筆使いで、粗野で、素朴だけれども、彼女の描いている作品の色彩はとても綺麗で明るいし、生命の躍動感を持つ作品であるように感じられるのだ。
この彼女が描いた作品から想像すると、私が思うには、モード・ルイスと言うヒロインは決してこの映画に描かれているような暗い印象の女性では無かったのだろうと思う。
もっともっと心は広く、自由で力強さを秘めていた女性だと思うのだ。
本作はA・ウオルシュと言う女性監督らしいけれど、もしも、本作を別の男性監督が描いていたとしたら、きっともっともっとモードは人間的に面白い、魅力溢れるチャーミングなキャラとして描かれていたに違いないと想像するのだ。
本来人が描き出す作品には、絶対に隠す事が出来ない、作者の人柄の本質が露わになるものだと思う。
それだけに、本作がモードの心の内の深い広がりと自由や、豊かさと力強さを描けなかった事が残念でならないのだ。
画を描く世界を手にした自由な女性。そして少しずつでは有るが、彼女の生き様を理解し、愛した夫との生活を得た、一女性としての喜び心の内をもっと、明るく見守る作品であって欲しかったと思う。
あくまでもこれは、私の想像だけの世界の事なのかも知れないが・・・
このモード・ルイスの物語あなたはどう思うのだろうか?
なぜこんなにいい映画をもっと宣伝しないんだ!
夫婦の物語
これはもしかして夫が主人公の映画なのでは。
二人の生活
モードがエベレットの家に「転がり込む」ところから物語はスタートする。生まれつき障害のあるモードと性格的に偏りのあるエベレットが、出会ってから死別するまでの物語。モードに絵の才能があったことから巻き起こる騒動は副次的なことに過ぎない。
夫婦はずっと小さな小屋で暮らした。電気もガスもない生活を、たぶん二人は不幸だとは感じていなかったのではないか。
トラブルのない人生などない。その過程の中でどれだけ幸せを感じることができるか、幸福だと思える瞬間がどれだけあるかが、その人にとっての人生の価値を決めるのではないか。
モードにとって絵を描く行為そのものが喜びであったこと、エベレットがそんな彼女を受け入れたこと。そこに、凡庸なわれわれでも幸福な人生を送れるヒントがある。
可愛い絵画も見れて★★★★★です!
虐げられた生活を照らす華やかな絵
カナダで人気の画家 モード・ルイスが夫のエベレットと過ごした日々を描く
私としては、あの「昭和の頑固おやじ」的な夫エベレットの男尊女卑な態度に腹を立てながら観ていた
特に「お前はチキン以下だ」なんていうセリフの精神的虐待度の高さはかなりのものだった
しかし、彼女のそんな悲惨な生活はエベレットと暮らしてから始まったものではなく、幼い頃から、兄の虐待があり、両親が亡くなって預けられた叔母からも虐げられるという不幸の連続が続いていた末のことである
その生活の中で、彼女の描く、この世のものとは思えないカラフルな絵の世界は、モード自身が辛い現実から逃避し、頭の中で思い描いた空想の夢の世界である
辛いことがあるたびに、彼女の手が絵の具や、絵筆を求めていたことがその証である
ということは、モードが幼い頃から虐げられた生活を送り、その裏で空想の世界を膨らませ、それを絵に表現してきたからこそ、彼女は人気画家になったのである
つまり、兄のチャールズや、夫のエベレットの虐待も、意地悪な叔母も、モードにとっては、画家になるために必要な存在だったのだ
それは何とも皮肉な話だと思った
それでも、自由に絵を描かせてくれたエベレットに対し「愛してくれた」とモードが言うのは、彼女があまりにも純粋過ぎて心が痛む
しかし、エベレットがいなければ、モードの絵がこの世に出ることもなかったかもしれないというのも、また事実だろう
多くの人を感動させる素晴らしい絵というのは、時には、誰かの人生の犠牲の元に生まれるものなんだなと思った
幸せは築くもの
暖かい。
全74件中、21~40件目を表示