「私の2020年最高の映画です。 始まって数分で「これは絶対に好きな...」しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス DECO-TEさんの映画レビュー(感想・評価)
私の2020年最高の映画です。 始まって数分で「これは絶対に好きな...
私の2020年最高の映画です。
始まって数分で「これは絶対に好きなやつ!」とわかり、それからは「終わらないで」と願いながら観て、最後にしゃくりあげるほど涙が止まらなくなりました。
これは「人を愛すること」についての映画です。
孤児院を出て、友人も作らず魚や薪を売りながら寡黙に暮らす男性と、手足が不自由な上に借金まみれの兄のおかげで実家もなくし、叔母の家で肩身狭く暮らす女性。そんな二人が出会うことで始まる物語。
全然器用じゃない、いろんなことができない、持たない二人が出会って、唯一の伴侶を大切にしたからこそ、得がたい幸せを手に入れたんです。モードを追い出した叔母が、晩年に「家族の中で、あなただけが幸せを手に入れた」と話すのには考えさせられます。
インテリアは、もうスタイルとかではなく、本物のシャビーです(笑)。
シャビーは古ぼけた、とか、着古した、という意味ですが、モードが初めて入ったエベレットの家は全体的にグレーで、埃っぽくて、オンボロです。
でもそれが味になってる、といいましょうか、いくらボロボロでもインテリア好きにはそれで十分。色あせた壁の飾り棚のブルーとか、カントリースタイルのプレスバックキッチンチェアとか、三角屋根のお家とか、もう宝の宝庫に見えます。
でも家の中で見つけたグリーンのペンキで、モードは色あせたブルーの飾り棚を最初に塗り替えます。エベレットに怒られて、壁に木を描きます。目を背けながらしめた鶏の絵を壁に描きます。そんなふうに家が少しずつカラフルに、やさしいモチーフにあふれていく中で、二人の関係もカラフルになっていくんです。
二人の対象的な演技がすばらしい。何度でも観たい、けど何度でも泣いてしまうな。本当はこんなに愛せる人が見つかって幸せな人生だったね、と喜ぶ話なんだけど、最後はやはり泣いてしまう。すばらしい映画でした。amazon prime やってて、よかった。