「薄い作品」メアリと魔女の花 ajさんの映画レビュー(感想・評価)
薄い作品
米林監督がスタジオポノックを立ち上げ、満を持して世に送り出す渾身の第一作目が、このメアリと魔女の花です。
だけど・・・大人の鑑賞に堪えるだけのお話の面白さも感じられなければ、キャラクター同士の葛藤を楽しめる作品でもありませんでした。
まず主人公のメアリと相手役であるピーターのからみが薄い。ほとんど二人に感情移入できないままクライマックスを迎え、ほとんど出会ったばかりの二人がなぜか命をかけて助け合う・・・不可解です。
魔法大学の設定も弱いです。何百人も生徒がいそうな大学なのに、出てくる先生は二人。しかもそのうち一人は校長。
キャラクター付けがしてある生徒なんて一人もでてきません。大学の設定いるかな?
そして、メアリと魔女の花に込められたであろうメッセージ「反核」。
タイトルにもある「魔女の花」とは核であると私は理解しました。
「電気も魔法のうちよ」みたいなセリフからもわかるように、この作品には「核」を臭わせる描写が多々出てくるからです。
その核である魔女の花を作中で大暴走させたりすることで、人間には手に負えないテクノロジーなのだ!と監督は言いたかったのでしょう。
極めつけはラストシーンでメアリが「魔法なんていらない!」といって魔女の花を捨て去るシーンです。
本来作品にどんなメッセージを込めてもいいはずです。自由です。受け取る側がどう料理するか。それが問題です。
しかし、ここまで露骨にやられるとゲンナリします。反核はいいですけど、それに気をとられて肝心の本編が薄っぺらすぎる。これでは、せっかく伝えたいメッセージが説教臭くなってしまいます。
ここで核の是非を核つもりはありませんが、核について描きたいならもっともっと考えさせる内容にしてほしかったです。