「対照的な音色を紡ぎ出す姉妹の連弾シーン」羊と鋼の森 かがみさんの映画レビュー(感想・評価)
対照的な音色を紡ぎ出す姉妹の連弾シーン
クリックして本文を読む
新米調律師の青年とピアニストの姉妹がお互いの交流を通じ、それぞれの自己を確立していく話。全体を流れる静かで穏やかな空気感が心地良い。そしてピアノの音色が本当に美しい。対照的な音色を紡ぎ出す姉妹の連弾シーンだけでも観る価値があると思います。
由仁が急にコンクールで弾けなくなった件については劇中特に説明はされてはいない。ただ、あれは精神分析的観点からはいわゆるヒステリーの病理で説明が出来そうな気がします。ラカンの「無意識は言語によって構造化されている」というテーゼの通り、妹が姉に対して「退きたくない」という情動が抑圧された結果「弾きたくない」という症状が回帰した、そういう風にも理解できる気がします。
そう考えるとなかなか奥深い主題を含む作品のように思えてきますね。
コメントする