「秀作なれど要忍耐」セールスマン SHさんの映画レビュー(感想・評価)
秀作なれど要忍耐
静止画の見せ方、明暗、カメラワーク、決して読めはしないけれど美しく魅せるペルシャ語、構図、構成、演出、そして音楽とどれをとっても洗練されたものを感じる質の高い作品。
個人的には、冒頭、光と影そして読めない文字で画面を占め機械的な音が鳴り響きながら静かに始まり、それに続く長回しの緊迫感あふれる導入部分で相当に感服してしまった。
舞台とシンクロさせながら物語がうまい具合に進行していくけれど、その絡み合いはあくまで表層的なものだという認識─もっとも「セールスマンの死」自体あまり知らないのだけれど・・・。それゆえに、この作品のタイトルが果たしてセールスマンというものでよいのかどうか、少しだけ疑問に思ったけれど、あくまで記号的なものとすれば、まぁこのタイトルも納得できるかな…
内容もサスペンス要素が盛り込まれていると感じたし、終始興味を失わなかったけれど、あまりに辛く楽しくない事柄が積み重なっていくので、相当の忍耐を要すると感じた。しかも考えさせられるところも大いにあって、見終わってどっと疲労感を催した。
いろんな意味で凄い作品だと思う。
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