「平然と歪んだ人間模様」エル ELLE KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
平然と歪んだ人間模様
ちょっと狂った美人オバサンがレイプ犯を見つけてヤバイ復讐をする話かと思っていたらそんなことなく、登場人物全員ちょっと狂った人達の平然と歪んだヒューマンドラマだった。
出る人出る人まあ皆、普通の価値観やモラルからだいぶ外れて歪んでいるんだけど、余りにもシレーッと当たり前のようなテンションで描いていくので衝撃を受けるタイミングを逃してしまった。
暴力的に無理矢理襲わないと性的に興奮できない隣人パトリック、そんな彼と結婚生活を送る信心深い隣人の嫁、レイプ犯が隣人だと知りながら普通に接したり通じたりするミシェル
元妻と歳下の彼女を引き合わせる元旦那、元旦那の彼女の職場の人まで出向くミシェル
社長のミシェルに好意的な態度を取りながらCGエロ動画に彼女の顔を合成するケヴィン、そんな彼を性器を見ただけでクビにしないミシェル
猟奇的連続殺人犯でミシェルが面会にくる前夜に自殺する父、若い恋人を金で買いミシェルと父を最期まで会わせようとする母、
余りにも頼りなく頭の弱すぎる息子ヴァンサン、キレやすく肌の黒い赤ちゃんを堂々と抱くヴァンサンの嫁、
親友の旦那と関係を持つミシェル、それを知りながら最後にしばらく彼女と一緒に暮らしたいなんて言って笑うアンナ、
自分の頭を整理するためにもちょっと書き出してみたけどすごいな…
改めてみんなおかしい&やっぱエルは度を超えてなんか変で、そのままストーリーが進みそこを強調しすぎない演出がシュールで面白い。
あっけない場面でも、ふとゾゾッとする感覚が今までにないかんじだった。
ただ鑑賞中は正直何を観ているのか迷うほど掴み所とクライマックスが無かった。
身も凍るスリラーを期待しちゃっていたので拍子抜けしてしまったのかも、