ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
全33件中、1~20件目を表示
夜行性動物って実はあのことじゃね?おっさんはシンプルにこう思った。
トム・フォード
庶民のオレには、メガネかパルファムぐらいしか、縁がないわけだが、映画ファンにとってはダニエル007やリアーナ、ジャスティン・ティンバーレイクやコリン・ファースが晴れやかな舞台で身にまとう、といったところでなじみはある。
そのデビュー作「シングルマン」はとても面白かった。意外と素直なつくりなのだな、と思った記憶がある。一生懸命撮った感のある、ほほえましさとキラッと光るアイテム。そしてなにより、彼自身にある心の中のイメージをそのまま映像化することが出来る才能がとても分かる作品だった。
そんな彼の最新作。
「ノクターナル・アニマルズ」
・
・
・
ここでは主人公の元夫の書いた本のタイトルでもあるわけなのだが、「夜行性動物」という意味からすると、「『夜』に生きる動物、獣」というより、素直に本のタイトルなわけだから、「本を読むことで眠れない、本の虫」ととっていいのではないか。
つまり、アダムスはかつて、元夫から「ノクターナル・アニマル」と呼ばれたわけだが、彼にしてみれば、彼の本は、アダムスを「眠らせないほど夢中になる」ことは分かっていたはずなのである。中身はある夫婦とその娘に訪れた悲劇の話なのだから。
ただし、ただしだ。
この劇中劇がもうつまんないの。元夫の自信作であるこの本が他人からは全然面白くない。非当事者からは、「この程度」のストーリーと登場人物で、どこにそんなに夢中になるのかがさっぱりわからない。
映画の構成として、やろうとしていることは、オープニングからして、明確に初めからデビッド・リンチの世界だ。だがそれを構築する劇中劇がこれほど退屈で、既視感のあるお話だと、オハナシにならない。
リンチなら、もっと劇中劇の登場人物であるシャノンも、ジョンソンも、ギレンホールも、イカレて撮れる(というか、きっと意味不明に撮る)
衣装についても、今回はなんら響くものはない。「シングルマン」は、当時の時代のファッションに、彼独自のスーツスタイルをなじませることで、独特の雰囲気がでていたのに、今回はあまりにストレートで退屈だ。
また、本作も彼の「パーソナル」な部分を投影した作品にはなっているのだが、前作は、ゲイである彼の分身である主人公の、明らかに他者でも分かる苦悩。
一方、本作は、ファッションデザイナーとして成功してきたが、一方での彼の「捨ててきた過去」の分身である、本作の主人公の現在の苦悩。ここでの主人公の苦悩については、心理的には分からなくはないし、どんな人間だって、自業自得とはいえ、過去を後悔することは大いにある。
結末についても、結末の解釈にいろいろ議論があるようだが、早々にフォードが自身でバラしているように、復讐ではなく、諦観。結局アダムスはギレンホールを捨て、忌み嫌っていた母親のような生き方を継承しただけだ。
だが、やっぱりものすごく社会的に成功していて、多少現在の夫婦生活が冷めてても、20年前に捨てたダンナからの面白くない本に揺さぶられることはまあ、ないな。
一方、そもそもの話、そんな20年前に別れた女に本を贈るギレンホールの神経もさっぱりわからないけどな。
そんなに面白くない話なのだから、どうせなら、この二人の「とっても繊細な」部分をもう少し掘り下げたり、その心情をフォードの最大の武器である、心理の映像表現で見せてくれればずいぶん違ったのだが。
そう、オープニングのアレは、そのまま、見たまんまの通り、主人公の人生そのもの。これこそが、フォードの心理の映像表現。
あの二人にまったく違った結末はありえたか?
元夫の意図がどこにあったのか、観る人の人生観によって多種多様な解釈があるに違いない。自分は入り組んだ暗い復讐劇だと思っているが、もしかして元夫がスーザンに最後のチャンスを与えていた可能性はないだろうか。
エドワードにとってあの小説は、自分がスーザンにどれほど傷つけられたかという告白であり、同時に彼女への執着を捨てられない裏返しでもある。決して許せないが愛することもやめられない女は、かつて2人で抱いた夢とは真逆の、物質主義に取り込まれたアートの世界に生きている。
小説に打ちのめされ、魅了され、再び元夫に気持ちを向けたスーザンが再会の場所に選んだのは、ハリウッドのスノッブなお高め和食レストラン“ヤマシロ”。着ているのは勝負服みたいに煽情的なセクシードレス。あの姿をエドワードはどこからか隠れて見ていたのではないか。もしスーザンが、身の丈の自分でエドワードに向き合うような場所と服装を選んでいたら、もかしてエドワードはスーザンの前に現れはしなかっただろうか。
回りくどいやり方で下らない嫌味な復讐劇はいただけない
グロテスクなジャンク文化を売り物にして稼いだ金で使用人を何人も雇い、豪華な暮らしを送るヒロインの中年女性は、倒産寸前の事業を営む夫に裏切られ、心休まる時もなく夜もろくに眠れない夜行性の動物まがいの荒んだ生き方をしている。
学生時代には彼女も愛を信じ、ブルジョア生活をエンジョイする母親に反旗を翻して、貧乏な作家志望の男性と結婚した。ところが成功の当てもない貧乏な作家生活が続くと、彼を捨て、身ごもった子も中絶して、ハンサムで強い男性と再婚してしまったのだ。
その男性に今度は裏切られ、それに気づきながら強い態度に出られないまま臍を噛む彼女に、元の旦那から新作が送られてくる。それは「夜行性動物」という彼女の綽名をタイトルにして、彼女への献辞まで付された皮肉とも当てつけともつかない作品だった。
その内容を読み始める彼女。内容は、夫と妻、娘3人が自家用車で走っていると、ごろつきの車に因縁をつけられて、さんざん侮辱された後、妻と娘はごろつきにレイプされた後、惨殺されゴミ捨て場に捨てられてしまうという話である。夫も車から放り出され、ほうほうのていで何とかモテルに辿り着くと、保安官補に被害を訴える。
保安官補はやがて犯人を逮捕するが、証拠が弱いために検事は彼らを釈放する。保安官補は末期がんで余命は長くないからと、夫とともに犯人に私的制裁を加えることにする。そしてごろつきの主犯2人を監禁の上、彼らを殺害するが、夫も反撃に遭い死んでいく。
観客はふと、この劇中劇はひょっとしたらヒロインと元夫との生活の実話ではないかと思わされるものの、彼女の娘はちゃんと生きているし、彼女自身も元夫との胎児は中絶してしまったから、小説はあくまでフィクションであるらしい。では、何故、このようなややこしい内容の本を送り付けてきたのか。
読了したヒロインは、内容に感心して元夫に連絡し、面会の約束をする。彼女の夫が別の金持ちそうな女性と浮気している夜、彼女も元夫と会うためにレストランの席に就き、彼を待つ。ところが…彼はいつまで経っても現れず、そのまま映画は終わる。
観客はその時、いったい元夫の小説=劇中劇の意味するものは何か、再度考えさせられる。そして、元夫が自分は彼女に裏切られ、中絶で娘を失った苦しみに死にかけたのだと、そしてその恨みを晴らしたかったのだということを悟るのである。劇中劇の復讐相手はごろつきたちのように見えるが、実は復讐相手はヒロインとその夫だったということだ。
そのように思い至ると、元夫の小説はあまりにも回りくどすぎるし、下らなすぎる。ちょっとこれではブルジョア生活好きのヒロインでなくても捨てるかなw…と思わされもし、何とも言葉に困る。ま、推理小説によくあるパターンといえばその通りではあるが、小生はこういう人物群はいただけない。
レビューを書きたいが書けない。 美しい哀愁を帯びた音楽をバックにし...
レビューを書きたいが書けない。
美しい哀愁を帯びた音楽をバックにして。
アベル・コジェニオウスキと言うポーランド クラクフ出身の作曲家の
『Table for Two』という曲だ。
矛盾だらけの言わずもがなの映画に見えた。無理やり作った不幸じゃんって思った。でも、元々、小説の中の話と思うと最初の場面からデフォルメで、狩野永徳調(?)の屏風の前で彼女の瞳は。指輪は外したが、その時、彼女は事の真相を知る。まぁ、鑑賞者の印象だ。
僕は『◯◯◯』だと思う。
もう一回見よう♥
『LA テキサス』さ
『ラ・ラ・ランド』は彼女にも訪れなかった?
傑作だ。
一気観
豪華キャストの不思議な作品。
一気に引き込まれて、エンディングまで。
エドワード目線の残酷極まりない事件の始まりから結末まで。
不眠症?のスーザンが小説を受け取り読むところからの回想シーン。
どちらもずっと重苦しい空気しか流れないので、気持ちもどよ〜んと落ち込む。
どこからがフィクションでノンフィクションなのか。
回想シーンもそう。
2人を置き去りにした(あの場面では仕方ないと思うが)エドワードの、自分の弱さに対する強い後悔の念なのか。
現在のエドワードが出てこない分、妄想が広がる。
弱虫呼ばわりされたことを根に持つエドワード。
そんなこと言ってないじゃない。
内心そう思うスーザンだが、スーザンの尻に敷かれてるのは周囲の目にも明らか。
ようやく訪れた復讐の機会すら逃してしまう。
1人でへっぴり腰でトレーラーハウスに入っていくエドワードを応援するのは自分だけではなかったはず。
余談。
アーミー・ハマーがまたまたイケメン枠で出てたが、やはりこの人は全米一のイケメンなのか(笑)
エイミー・アダムスは人形のようで、ある意味怖い。
感想
最初びっくり。
ふくよかな女性の裸でダンスはなんだったんだ。
主人公がアートディーラーということで、仕事ぶりのただの描写か?ハァハァ聞こえたけど…。
先鋭的な芸術はよくわからなかった。
元旦那が送ってきた本は、三人の男に絡まれるところすごく怖かった。
その後の展開も最悪で、本の話だけで十分一つの映画で、彼女が読んでいる現実とどういう関係があるのか疑問に思いながら見る。
ジェイク・ギレンホールの演技力すごい。
彼女に怖いと思わせるくらい実力をつけたことを知らせたい?
そして自分の苦しみも体験してほしいのか。
昔の彼からは想像もつかないような内容の本。
最初に君のおかげで、みたいなメッセージがあったから、彼女との別れが影響してて、ラストのレストランで待ちぼうけの彼女は自分が彼を傷つけて変えたことに罪悪感を感じてる気がした。
衝撃的で悲惨な本を書けるようになった僕は変わったとメッセージが込められてる。
彼女は優しかった彼を変えた自分のしたことを悔やんでるように見えた。
日中の彼女に影響を与えるくらい、恐怖心を感じさせるくらい、彼の本はすごくなってた。目につくものの意味が変わる。
過去の回想で、主人公は不自由のない暮らしを求めてた。
序盤の主人公は退屈そうで、不自由のない暮らしを手に入れだけど、愛がなくなってた。
元々主人公は、愛に重きを置いていたのに、母親の考えが積もっていって、富のある安心感の方が大事になっていった。
お父さんの方のジェイクは最初気弱で娘と妻を守れない、銃で打てなかったけど最後は撃つ。
煽り運転してきた男たちが絡んできて色々いう言葉。現実の方のジェイクが主人公に言われたくなかった言葉かも。
本の中の娘と妻が殺されて、そうなるだろうと思って見てたけど最悪。
現実パートで堕胎の回想があってそれを見た後だと、主人公はならずものの側だと言われてる気がした。
父親がモーテルで自分を責めたり犯人を探してる時苦しんでる姿は、離婚した後苦しんだのかなと後から想像した。離婚後19年らしいし。
19年引きずってる。
インパクトの強い最初のシーンがある意味がわからない。考えてみる。
浮世離れした金持ちの楽しむ芸術?
滑稽さ?
彼女の仕事の意味のなさか?
彼女も手応えを感じてないみたいで、やりたいことではなくて、金になる仕事だからやったみたいなことか。
太ることはジャンクを表してるらしいけど。
欲望のままに食べてふくよかなモデルは金持ちたちを表してる?
エンドロールが流れ始めた時ため息が出た
本当に良い最後でした。
悲しみの種類としては、誰もが一番経験しがちな失恋ではあっても、これほど一人の人間の傷心を深く広く表現出来る映画には感服しました。
現在の彼が小説の中でしか姿を見せなかったラストは、本当に素晴らしかったです。
作中、彼がどれほどの作家になったのかは分かりませんが、これは、ひとえに「復讐の物語」で片付けて欲しくない作品です。
この読後感を忘れたくないため、ほとんど自分用にレビューを書きました。
小説の中のお話
半分以上がジェイク・ギレンホールが書いた小説の中のお話。
終わった時は理解できてなかった。
いつものカッコ良いジェイクじゃなくて情けないジェイク。
最後胸糞悪い終わり方した。
なんか胸糞悪いなぁ
小説って感じでしたが
なんだか全体的に胸糞わるいなぁ。
おとしろいという感情が一度も浮かばずに終わった作品でした。
なんかなぁ、気分がずっと沈む感じ。
合わなかったなぁ。
冒頭のふくよかな女性の全裸シーンもシ
きっと意味のあるシーンなのでしょう、
なにかメッセージがあるのはわかりますが
長すぎて、それどころじゃないです。
最後、彼をレストランで待っているが
あれは現れない、それは彼の復讐だったんですかね。
結局うまくいかないとすぐ他へいく女性でしたね。
小説で彼女の想いを断ち切る
元カレの小説が
贈られて来るところから
…始まる
小説の登場人物は筆者の元カレと
贈られた彼女と娘の三人が出てくる……が
小説が現実に起きたかの様な展開で
読むという感じではなくて
ほぼ小説の世界を映像で見せられているので
元カレのとてつもない悲しみや苦しみが
計り知れないほど伝わってくる
小説の世界にグイグイ惹き込まれていく
彼女も読んでいる途中で涙を流す場面も…
最後は元カレが自殺をはかって
死んでしまう…設定だが
元カレの彼女を好きだった十九年間の想いと
苦しんできた想いを小説を書くことによって
終わりにしたかった…だと思った
…小説を書き終えた時点で
彼女の想いを断ち切ることが出来た
何時まで経っても元カレが来ないレストランで
ドレスアップして
元カレを待っている彼女の姿が印象的です
お互い愛しているのに傷つけあうふたりは
一緒になることは無理なのかも知れません
終わり方が好き
エドワードがスーザンに小説を贈った
それだけの話なのに小説の内容と
自らを重ねていろんな想いを巡らせるという
もっと言えば、元夫や現夫側のストーリーはなく
スーザンただ1人の心情の変化だけで話が進みます
20年ほど連れ添った夫に愛されもせず
沈んでいるところで元夫からの小説
彼はこんなにいい作家になったんだ、、
何年も経つのに私に贈ってくれたのね、、
エドワードごめんなさい、こんな私で、、
もう一度会って話をして謝って、許してもらえたら
ここからもう一度、私の人生やり直せそう
なんて安易な考えが伺えてしまう、あのドレス
私がエドワードだったら
まじか、、どういう気持ちで来たの、、
僕は水に流すつもりだったのに、、
君は僕に何をしたか覚えてる?
なんて思っちゃいますね、女々しいけど
主役のファッションで物語る、、
さすがトム・フォードというべきなのか、、
いい歳になって地位があって
女性としてのプライドもあって
そんな彼女が気合い入れて、鏡に映る自分を見て
ふと我に返り気合いを入れすぎた口紅を少し落として
色んな思いが巡りながら淡い期待を膨らませ
ディナータイムに1人ひたすら待つという屈辱
シンプルにメンタルにくると思います笑
でもここまでも、すべてスーザン側だけの話
エドワードの気持ち的には復讐する気もなかったように思えます
エドワード側のストーリーは語られていないもので、、
ただ、ただ、スーザンがひとり舞い上がっただけの話
バンドデビューしたら元カノから連絡が来て
久しぶり〜!元気だった?曲聞いたよ!
めっちゃいいね!久々に話ししたいな〜
今度ご飯でも行かない?
エドワード側からすれば、それと一緒のような笑
こっちはこっちでもう日々忙しいから
約束、、あ、忘れてた、、みたいな事かもしれない
なんて観た後も色々想像できて楽しい作品でした
愛していた人の子供を黙って
おろす事ができてしまう感覚の彼女は
その後も現れないエドワードに何を思うのか
恥をかかされたと思うのか
己の浅はかさを恥じるのか
全体的にアート推しで印象的だったのが
小説の中の妻娘の痛ましい遺体とスーザンの娘がベッドで美しく横たわるシーンに繋げだことにハッとしました
意味合いが違うのに同じ図であるために対比してしまう観る側ためだけの視覚的な演出
ワンカットだけど、すごいなと思いました
あとはあのラストの対比
華やかに着飾った彼女が惨めな気持ちになっているであろうその顔でエンドロール
(あー、やっぱ洒落てる!)
1発目に出た感想がこれでした。
オープニングが強烈。 あれはアートなの? 理解できない。 ストーリ...
オープニングが強烈。
あれはアートなの?
理解できない。
ストーリーも結構謎めいてて結局ただの復讐なのか、それとももっと深い意味があるのか。
どう解釈すればいいかわからなかった。
タイトルなし
劇中劇。元夫ジェイク・ギレンホールから小説が送られ、作品に引き込まれるうちに元夫を捨てたことを後悔するエイミーアダムス。ラスト会いに行くが結局現れず、復讐劇完結となる。劇中劇に出てくる刑事マイケルシャノンも旨い。構成が素晴らしい。
復讐と醜さを巧みに表現されたスリラー。
「ノクターナル・アニマルズ」字幕版 Amazonプライムで鑑賞。
*概要*
アートギャラリーの成功を収めたスーザンの元夫が書いた過激な小説の世界が交互に描くスリラー。
*主演*
エイミー・アダムス
ジェイク・ギレンホール
*感想*
冒頭ビックリした。。一体何なんだ、あのデブはww 意味分からないけど、見始めていくとドンドン引き込まれた。要は、小説家の元夫が自分を見下して捨てた元妻に対する復讐劇です。
現実世界と小説世界を交互に進行させ、最初はよくわからなかったけど、この小説世界は、元夫エドワードをモデルにした復讐なんだと半分理解しました。不気味なんだけど、始まりから終わりまで、その雰囲気に飲み込まれていった。。
高速で母親と娘がレイプされ殺害されるという悲劇が描かれており、犯人のレイを演じたアーロン・テイラージョンソンの演技が非常に上手い。「GODZILLA ゴジラ」と全然雰囲気が違って、逆に恐ろしかったw
100%理解したわけではないのですが、そんなに堅苦しい映画ではなかったです。見始めると、雰囲気にグイグイ引き込まれて、捨てられた元夫エドワードの恐ろしい復讐が小説の中で、リアルに描かれてて、現実でも、スーザンの性格の醜さ、元夫に対する食い違う意見、後悔、苦悩といった描写が描かれてて、冒頭のデブは、スーザンの醜さを表してるのだろうか…?(^^;
あと、エイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールの迫真の演技が素晴らしかった。
ラストを見終わったあと、暫く放心状態になって、物語を頭の中で整理して、あ、これは元夫からの復讐劇なんだと、改めて実感しました。
雰囲気は恐ろしいけど、そんなにめちゃめちゃ難しい話ではなくて、最初は理解するのに苦戦するけど、何度も言いますが、グイグイ引き込まれていきます。復讐と醜さを巧みに表現されたスリラーだった。
見る前はそんなに期待してなかったけど、なかなか面白かったですよ。(^^)
罪の獣たち、復讐の獣たち
トップデザイナー、トム・フォードの映画監督第2作。
監督前作『シングルマン』はあまり自分の好みに合わず。
今回はサスペンス。話も面白そう。
実はレンタルして来て、初見は途中で寝てしまった。疲れもあって。
もう一度見てみたら、まあつまらなくはなかったけど…
まずはやはり、トム・フォードのアート・センスが目を引く。
洗練された衣装の数々、白を強調したヒロインのオフィスやギャラリー、それと対照的な美しいナイト・シーン。
とりわけ強烈インパクトを放つのが、OP。もう何て言ったらいいやら…。是非ご自身の目で。
エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホールら実力派のアンサンブルは極上。
中でも、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー・ジョンソンが巧演。
本作も美的センスと才気が充分発揮された一作と言える。
が、話の方は人それぞれ見方、感じ方、解釈が分かれるだろう。
ギャラリーのオーナーとして成功を収めるも、夫婦仲は冷え切り、裕福だが空虚な生活を送るスーザン。
そんな彼女の元へ、20年前に離婚した元夫が書いた小説が届けられる。
その内容は非常に暴力的だったが、どんどん没頭していく…。
スーザンの現在と過去、小説の中の話が交錯。
劇中のスーザンさながら小説の中の話に引き込まれる。
ハイウェイを移動中、暴漢に走行を邪魔された挙げ句妻子を殺された男の話。
乾いた荒地の映像も相まって、劇中劇なのに犯罪×バイオレンスとして見応えある。
地元保安官の協力も得て、復讐を誓う小説の主人公。
これがスーザンのパートにどう意図しているのか。
“復讐”や“暴力”がじわじわと現実世界のスーザンに侵食していく。
スーザンは金持ちでイケメンの現夫に乗り換え、元夫を棄てた過去がある。元夫の地位の無さに落胆し、才能の無さも批判した。ある種の一方的で残酷な暴力とも言える。
昔は元夫の小説を批判したのに、今はその才能に没頭。過去にスーザンが元夫へした罪の意識をさいなまれながら、再び彼への想いが…。
しかしこれがあの痛烈なラストと共に、彼女へしてやった復讐だとしたら…。
あのラストも間違いなく、レストランの外から見ていたのだろう。
彼女はまんまと元夫の復讐劇にハマったのだ。
…と、自分は解釈。
実際のところ、その解釈が当たってるかどうか分からない。
きっとまだまだ汲み取れなかった意味合いや話の深みが込められているのだろう。
凡人の私はスーザン同様、暴力的な小説にのめり込み、表面上のサスペンスだけ楽しみ、天才の仕掛けた世界観や物語に敗北を喫したのかもしれない。
おデブのダンス
冒頭シーンが
気色悪かった
小説の中の
車のシーン怖かった...
母娘さぞかし怖かっただろう
アーロン
カッコイイんだけど
今回の役は好きじゃないな
ラスト
ジェイクが
現れなかったのは
復讐が終わったって事なのかな
誰だったか思い出せなかった
エイミーのお母さん役
ローラリニーだった‼︎
あんなに老けてたっけ⁇
You didn't sleep at night, did you? 弱い男の強い意志
オープニングから席を立ちたくなるインパクトがありました。何気に観に行ったから、こりゃ大失敗したかなと。あれがアートかぁ。理解できん!
というわけでトム・フォード監督の2作目なのですが、さすがファッション・デザイナーだけあって絵作りは綺麗ですよね。場面転換の繋ぎが絶妙です。
ストーリーは一方的に離婚された男の復讐譚といった所でしょうか?経験者だから語りますが、一方的に離婚されると憎しみは消えないもんなんですよね、これが。棄てた方はとっとと次に進めるんでしょうけどね。でも最後でエドワードはしてやったりだったのではないでしょうか?タイミングもスーザンの家庭が崩壊している時期だったんで復讐するにはバッチリだったですしね。もし、あのタイミングまで20年間エドワードは小説を送る事を待っていたのでは?っと想像すると怖さが増します・・・。そして最後のレストラン。あれは絶対エドワードは陰から観てましたよね!?
エイミー・アダムス、ちょっと影があるキャラクターが似合いますねー。最近のジェイク・ギレンホールが出ている作品にハズレなしです。出演する作品選びが神がかってます。刑事役のマイケル・シャノン、鬼気迫る演技がスゴいです。アーロン・テイラー=ジョンソン、「キック・アス」の面影皆無ですね。
まぁ、何というかこの作品って離婚経験者とそうでない方とでは全く見方が変わるような気がします。公式がどう言ってるのかは知らないんですが、やっぱりこの作品のテーマは「復讐」なのではないでしょうか?とりあえずエドワード、グッジョブ(´∀`)b!
過去からの復讐劇
本作は確かに復讐劇だと思います。でも、個人的な見解では、エドワードからスーザンではなく、過去のスーザン自身からの復讐劇に思えました。
言い換えると、生きてこなかった本当の自分から、偽りに生きてきた現実の自分が復讐される話。ついに20年分のツケが回ってきたスーザンが心理的に破産しかける物語と言えそうです。
マイノリティーの兄やアーティストのエドワードへのシンパシーを持つような、母親とは違うタイプのスーザンがエドワードに惹かれるのは自然だと思います。だが、エドワードとの生活は不安定だし、エドワード自身も不安定。そんな中でスーザンも不安定になっていく。
なのでエドワードに見切りをつけます。しかし、ハッキリと描かれていなかったと思いますが、スーザンは自分を騙して別れたように感じました。
決定的な一件の前からスーザンは言い訳がましく逃げ腰でした。かなり最後の方までエドワードを愛していたが、自分の弱さに負けてベストを尽くさず、自分に対して誠実になれなかった。
つまり流されて見切っただけ。肝心な勝負所でがんばれず、自分を偽ったからエドワードのことがしこりとして残っているです。
しかも、なまじ経済的社会的にいい感じなもんだから、振り返るチャンスもなく20年来てしまった。
その結果、軽蔑していた母親と同じようになってしまった。ダークサイド堕ちってやつですね。
ホドロフスキー師匠流に言えば、自分を生きることができなかった。自分を生きない人間に待っているのは虚無です。
一方、エドワードはダメなりに自分を生きたと思われます。以前はスーザンに作品をダメ出しされてスネるようなダメ男だったけど(ダメばかりだけれど、若き日のエドワードは絵に描いたようなダメ男だ)、小説を諦めなかった。人生諦めが肝心な時もありますが、作品を形にして出版にこぎつけたのは凄い。ここで彼は作家としてのアイデンティティーを確立できたと考えられます。だから過去の重要人物に作品を贈ることができたのです。
なのでエドワードとスーザンの対比は「自分を生きた」vs「自分を生きなかった」かな、と。そんなスーザンの元に、しかも虚無と心理的孤立が顕在化したタイミングで小説が贈られてくるわけですから、恐ろしい復讐ですよ、過去からの。
スーザンとトニーが重なる演出が多用されていたと思いますが、スーザンはトニーに自分を重ねていたのでしょう。
トニーは荒野に取り残された時、妻子を助けに行かずに逃げてしまった。助けに行ったところで結果は変わらないでしょうが、弱さに負けた態度が後悔につながっていったと考えられます。それはすなわち20年前にスーザンがエドワードとの関係で自分にベストを尽くさなかったことと同じですからね。逃れられない苦しみのルーツを突きつけられ、スーザンははじめて自分の弱さと向き合わざるを得なくなりました。自業自得とはいえ地獄の苦しみだと思います。
エドワードがなぜスーザンに小説を捧げたのか。
それは、スーザンとの別れがエドワードの作家としてのスタートだったからです。寝取られですから当然怒りもあったし、恨み辛みもあると思います。しかし、小説ノクターナル・アニマルズの内容から読み取れるのは後悔の念です。
心から愛した女性を大切にできなかった弱い自分自身への後悔。自らの失敗と向き合い、大いなる痛みを抱え続けたことが、彼を作家にしたのだと思います。この作品で彼は後悔を昇華できたのではないでしょうか。
エドワードがスーザンに本を贈ったのは、自分を作家にしてくれた人物に自分の成長を知って欲しかったという、非常にシンプルな理由だと思います。また、付き合っていた頃から自分を受け入れられないスーザンの弱さをエドワードはよく知っていたでしょうから、彼女に対する叱咤激励的なニュアンスもあるかもしれません。実際、彼女は小説を読んではじめて自分と向き合うチャンスを得たのですから。
そして問題のエンディング。
結構ナゾで、最もいろんな解釈ができそうです。エドワードの復讐譚とみれば復讐完了というオチだと思います。個人的にはそうではないと感じているため、唯一モヤるポイントです。公式は解ったが答えが合わないみたいな。
確かに、自分を生きた者と生きなかった者、両者は位相が違うのですれ違う可能性も高いです。が、違うエンディングであったならばスーザン側にマジックが起きるチャンスだったので
(つまり、エドワードに後悔を語れ、再生への一歩が踏み出せるチャンス)
スーザンに対してかなり辛辣で残酷なオチだなぁとの印象です。トム・フォード監督的には、そんな簡単に成長できないよ、再生するなら一度ちゃんと心理的に自己破産しなよ、ってところでしょうか。
しかし、エンディングで着るドレスがあまりにもエロすぎますぜ。個人的には最高としか言いようがないですが、そのタイミングであんなエロい服を着て行くメンタリティーがダメなんだよスーザン!なんて思いました。
とにかく、観ている最中だけではなく、観終わった後もエキサイトしっぱなしで、めちゃくちゃ楽しめた映画でした。考察または妄想が面白くて仕方ない。とても語り合いたくなる作品です。
そして主演のエイミー・アダムスがセクシー。髪の美しさが印象に残ります。もちろん、問題のエロドレスも。
とても面白かった
物語のバランスとしていいのか疑問に思うのだが、劇中劇がちょっとペキンパーのテイストで面白くてぐいぐい引き込まれる。現実の場面がそれに比べるとずいぶん味気なかった。あんな物騒な小説を自分に捧げられる気分はどうなのだろう?嫌がらせに近いように思った。ジェイク・ギレン・ホールの演じ分けがすごかった。
全33件中、1~20件目を表示