マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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全編に渡り静の映画
現代アメリカで小津安二郎が撮ったら…
マンチェスターなのに、なんで車は左ハンドルなんだ…と思いながらしばらく見ていた…。
名画座の2本立てで鑑賞。目当てはアカデミー賞作品賞の「ムーンライト」で、本作については事前知識は一切なし。
脚本賞受賞作というのも、見た後に知った。
さて、これは素直にいい映画だ、と言いたい。
さまざまな事情、生きていく上でのやるせなさをみなが背負う。
それについて、見ている人間が感情移入し、「そう、それでいいんだ。泣けよ、暴れろよ」と声をかけたくなる気にさせる。
全体に、そういう空気が流れ、スクリーンを通して、見る者に伝わる。
その意味では、湿っぽい作品かもしれないが、登場人物の感情が丁寧に描かれ、安っぽさがない。
機会があれば見てほしい。
心の繋がりを感じさせる映画
想像を絶する過去
写真的
マンチェスター・バイ・ザ・シーの街を映すカメラの、とにかく美しいショットの連続を、思わず写真として保存してしまいたい欲望に駆られた。それほどに序盤のジョディ・リー・ライプスのカメラは写真的な美的感覚で撮られていると思えた。
ところで、写真とは過去の瞬間を切り取ったもので、そこには断絶があるといってもいいだろう。やがて物語は観客に主人公リーの人生がある出来事によって決定的な断絶がなされたことを告げる。リーの元にある三枚の写真こそがその証左で、マンチェスター・バイ・ザ・シーの街とともに彼は自ら写真の中に閉じ込められている。決して逃れられない過去として。
しかし終盤のあるシーンで止まっていた人生は再び動き出す。この映画におけるケイシー・アフレックの抑制された演技は素晴らしいが、加えてこのシーンのミシェル・ウィリアムズの演技は私たちの心を大きく揺さぶるだろう。
動き出したかに思えたリーだが、この映画は安易なハッピーエンドには着地しない。
「I can’t beat it」
彼の人生はマンチェスター・バイ・ザ・シーの空の色のように曇ったままだ。希望はないかもしれない。ただ絶望ももうない。劇的なショットはもうないかもしれないが、カメラは再び回り始めている。
映像のきれいな映画
表紙の、、ミシェル・ウィリアムズが魅力的。
彼女を最初に好きになった映画は「マリリン 7日間の恋」、そして同じ年の「テイク・ディス・ワルツ」で
決定的になった。バックでながれている音楽もしきになって、まだ耳に残っている。
「グレッチェン・モル」を見てびっくり。
おばさんになったね。
彼女をすきになったのは「ラウンダーズ」(1998)で、いまでも映画の彼女に恋してるのに。
*
きれいなの内海と船の映像。
構図がきまっていて、色彩も落ち着いていて、ひとの人生にゆったりと呼吸に合わせている。
主人公は便利屋で家庭の中途半端な仕事で生活している。元妻ともうまくいかないし、仕事も思うようにいかない。
おまけに自信もない。
妻と女の子と離婚で別れ、あたらしい家で生活力のあるオトコと生活している。
みんなそんなモノだと思うけど、やっぱり境遇に納得いかない。電話がきて、街には雪がふっている日に兄が死んだ。
それから、彼のふつうの生活が流転してゆく。
ひとは保守的な存在だが、兄の死ですこしづつ生活を変えることになってゆく。
そうしたありふれた変化を丹念に、そしてうつくしい映像で描いてゆく。
この手の映画がすきです。
マット・デイモンが演じる予定だったのかもしれないけど、ケイシー・アフレック(ベン・アフレックと兄弟らしい)が演じている。
ディモンとアフレックは親しいのでそうした話もあったのかもしれない。
でも、ケイシーの演技は良い。
映画を、コトバで語るのは無謀だと思うのでこれでおしまい。
移動が受容に繋がる
自閉
自分に絶望して自信を喪失し、周囲を遠ざける者の姿の機微をケイシーアフレックが演じる。俺のようなものに関わるなと、人に対してバリアーをはる。実に表現が細かい。時に事務的であったり、沈黙に落ち着いたり。感情を出すのが人に悪影響を与えないかと常に恐れているようでもある。しかし、一人であれば感情がむき出しになる。甥との交流で少しは立ち直っているように見える。ボールを弄りながら、甥が遊びにくる為の家具を用意しているらしい。その後の台詞「この話、続けるか?」、名台詞だと思う。
現在と過去のシーンが変化なく入り乱れるのは最初は戸惑ったが、そのうちに慣れてきた。足りないピースを徐々に埋まっていくようだ。メインキャスト目線だけによらず、様々な人の目線に切り替えていくことで、主人公を取り巻く社会に深みが出てくる。ドラマーの坊や目線でバンド演奏を見るのには笑ったが。
印象的なシーンは枚挙にいとまがない。見れば見るほど味わいがでる一本である。
落ち着く映画
👏
特別ではない静かな映画
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