マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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心に残り続ける作品のひとつ
人生に絶望していた時期に観賞した映画です。
派手な演出や鮮やかな物語ではなく、一人の人間の人生の一部分を切り取ったような映画でした。
兄の死がきっかけで主人公に甥が寄り添うようになり絆が生まれ彼の心を癒してくれる様子がたまらなく大好きです。喧嘩も多いですが。
最後の場面、リーがこの街には残れない、辛すぎると言った場面も大好きなシーンのひとつです。
辛い気持ちを持ったまま生きていこうとする主人公に勇気を貰います。私が最も好きな映画です。
心に残り続ける作品のひとつ
派手な演出や鮮やかな物語ではなく、一人の人間の人生の一部分を切り取ったような映画でした。
兄の死がきっかけで主人公に甥が寄り添うようになり絆が生まれ彼の心を癒してくれる様子がたまらなく大好きです。喧嘩も多いですが。
最後の場面、リーがこの街には残れない、辛すぎると言った場面も大好きなシーンのひとつです。
辛い気持ちを持ったまま生きていこうとする主人公に勇気を貰います。私が最も好きな映画です。
観たかった度○鑑賞後の満足度◎
①一生癒えない傷がある。一生忘れられない後悔がある。一生自分を許せない罪がある。一生背負って行く重荷がある。それらを抱えながらも人は生きていく。
②あんまり良くって映画館で4回鑑賞。
【”乗越えられない、辛すぎるんだ。”過去に哀しき過ちを犯した男と、親類縁者との関係性を静かなトーンで描く。隠者の如く生きる哀しき男の姿を丁寧に描くケネス・ロナーガン監督の眼差しに救われる傑作である。】
ー ケイシー・アフレック演ずる無口な主人公リー・チャンドラーが、後半、嗚咽しながら、血を吐くように口にする
”乗越えられない、辛すぎるんだ・・”
このセリフと彼の表情が未だに忘れられない・・。ー
・曇り空の多い街で過去の自らの過ちで犯してしまった、悪夢のような出来事を拭い去る事ができずに、隠者のように生きる男の姿を丁寧に描いている哀切な作品。
・けれど、その男の周囲には、事件の結果別れた妻ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)、兄ジョー(カイル・チャンドラー)、甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)達が時に寄り添い、時に”遠方”から暖かく見守る姿がある。
・現在、過去を行き来しつつ、物語は哀しいトーンを纏いつつ、静かに進む。
・そして、過去の哀しき場面が後半、劇的に大スクリーンに映し出され、リー・チャンドラーが隠者のように生活する理由が明らかになる・・。
<ケネス・ロナーガン監督が書き下ろした脚本の秀逸さ、
及びそれに応えたケイシー・アフレックを筆頭にした、俳優陣の演技にも魅入られる作品。
傑作である。>
<2017年5月20日 劇場にて鑑賞>
マンチェスターの空はリーの心の色?
ある事がきっかけで心を閉ざした主人公と父親を亡くした甥との物語。
薄曇りのマンチェスターの空がリーの心を表しているようだった。
無表情で口数の少ないリー。でも彼の優しさが垣間見れる。
静かな風景と音楽、そして台詞が続く淡々としたストーリー。
ラストシーン、そしてエンドロールで涙が溢れた。
きっとマンチェスターの雪解けと共にリーの心の扉が開いたに違いない。
壊れた心は、そう簡単に治らない
兄を亡くした弟と、父を亡くした息子。つまり叔父と甥の二人。
「葬儀はいったいどうすれば」の話が進む中、いろんな箇所で回想シーンが挿入されているのが。最初はわかりにくかったんです。
故郷に帰ってきたリーの事を、人々は「あの、リーか?!」と呼ぶところが引っ掛かりました。え、いったい何があったんだろうって。
冒頭から、リーはお客からちょっと言われるとFワードでやり返す、けんかっ早い性格が出ていて。いつものケーシー・アフレックらしいなあと思っていたら。
いくつもの回想シーンで、徐々にその過去が明らかになっていく様が切なかったなあ。心のケアもできぬまま、孤独に生きていたリー。立ち直れるはずもないわ。
甥っ子は微妙な16歳。結構ドライなキャラが今風か。まだ微妙に大人じゃない。リーと一緒に住むのかどうかなど、最後に決めるのは大人。リーの「後は自分で決めろ」のセリフが、決まってました。
タイトル名にもなった場所は、米国のマサチューセッツ州にある町の名前。人口5,000人ほどの小さな港町。港を見るたびに自暴自棄になったリーの気持ちそして、人々の記憶から消えないリーの過去。
ぴったりのロケーションです。
特に悲しい場面で流れるアダージョ?がいい仕事してました。こういう映画音楽も好きです。
そして、最初はマッド・デイモン主演予定がケーシーになったのは。吉だったでしょう。それくらい役がはまっていて、オスカー主演男優賞も納得でした。
辛いことがたくさん起こるがそれぞの悲しみを胸に秘めて過ごすそれぞれ...
辛いことがたくさん起こるがそれぞの悲しみを胸に秘めて過ごすそれぞれの人の日々が静かに胸を打つ。泣いているつもりはないのに目が潤んでしまう美しい映画だった。
しんどい過去や現在のできごと周りのアレコレはもちろん素晴らしいんだ...
しんどい過去や現在のできごと周りのアレコレはもちろん素晴らしいんだけど、それにも増して、大人と子供、叔父と甥という距離感の絶妙さが良かった。
どうしようもないこともある
棚に1本置いておきたい映画。
人生って、どうにもならないことってあるよね。心の強さや、周囲の助けがあっても、なんともならないこともある。なんとかなるさ、なんて言える状況じゃない。
ララランドと、ムーンライトのアカデミー賞ラッシュの間に、ポンと主演男優賞を取っていたので、とても気になっていた。
ケイシー・アフレックは、バットマン(ベン・アフレック)の実弟。彼の静かに、言葉少なに語る演技で、最初から最後まで、魅了され続けた。納得の受賞だ。
過去に傷をもち、心を閉ざした主人公のリーが、兄の死をきっかけに街に戻る。唯一の肉親である、兄の息子のパトリックと、葬式などの手続きをしながら交流していくが…。
パトリックのために、自分の過去との葛藤と闘いながら、ひたすらなんとかしようとする姿が、痛々しくてたまらない。自分の生活を壊したくない我儘なパトリックに傷つけられても、唯一の血の繋がりがある甥は、決して捨てられない。
これは、かわいそうとか、そういう域を超えている。
観終わった後に、じんわりと余韻を楽しみたい、久々の良作です。
傷付いた心にそっと寄り添ってくれる映画
生きていると耐えられないような悲しみに心が覆われてしまうことがある。それでも日々は続いていくし時間は止まらない、傷付いた心を抱え修復することもできずただただそれと共に生きていく。
マンチェスターの街並み、海の深い色、冷たい風、車のエンジンの音、そんな日常の景色が静かに主人公の壊れた心を思い起こさせる。
うまく言葉にできないけれど、私にとって心の支えになるような映画だった。
静かに涙が溢れ、でも悲しさや辛さだけではなく優しさや温かさを感じる。この映画の余韻にずっと浸っていたい。
彼の悲しみに救われる。
全体的に悲壮感漂う映画だけど、その全てを現実世界で受け取るのは不可能だと思った。これからの人生、1度もこの男のような気持ちを味わう出来事はわたしには起こらないと思う。なぜだか分からないけれど、そう思う。そんな風に無縁と思われる出来事だのに、自分もこの男とともに生きているような、男の気持ちがわかってしまう気持ちになるのが、この作品のすごいところだと思った。一人では抱えきれない悩みを背負っているとき、少しばかりの救いになりえる作品だと思った。
悲しみに散りばめられたおかしみ
事実から逃げても、失ったものへの感情から解放なんてされない
逃げることもできないから、抱えたまま引きずって生きていく
でももし、受け止められれば新しい自分を始めることもできるのかもしれない
それまでは、心に新しいものを迎える隙間ができないんだろうな
悲しいことを乗り越えるときのヒントにしよう
かなり気合いを入れて見ないと
かなり気合いを入れて見ないと、最後まで見きれない映画かも。
なぜこの男は、だらしなく野蛮でやさぐれているのか、理解に苦しむ序盤。兄の死もどこか上の空のよう。
その原因は、中盤の回想で明かされるわけで、悲しみと絶望を経て、さらなる悲劇には、溢れるはずの感情も残されていない、といったところか。
甥っ子は自分中心に世界を見る年頃、父の死もめまぐるしい日常の中で流れている。これが現実的な気もする。
全体的に重いし、長々とだるかったりもするわけだが、この映画の主張は強力に響いた。「たえられない」そう言ってしまう、という。乗り越えることができない、という。
裁かれないことの苦しみと映画『怒り』で描かれたこと
極めて重大な過失であるが、法で裁かれるべき過失(過失致死罪?)ではないので、刑務所に収監されるという刑法上の『罪』には問われない。3人の幼い命を奪い、母である妻の心を破壊するという『重罪』を犯したにも関わらず。
これほどの咎を負いながら、身の置き所すら与えられない〝仕打ち〟は想像に絶するほどの責め苦だと思う。刑務所に拘束されながら日々のルーティンに従っていることの方がどれだけ楽か。法の定めたところに従って『贖罪』の機会を与えられることがどれだけ救いとなるのか。
2016年の邦画『怒り』では、様々な登場人物により、取り返しのつかないことへの悔恨や慟哭が、最高レベルの演技力と演出で描かれていました。あの中で、広瀬すずさん演ずる泉ちゃんの悲惨な事件について、結果的に見て見ぬ振りをしてしまった辰哉君は別件で逮捕され、泉ちゃんに関する証言をすれば罪は軽くなるのにしなかった。彼が刑務所で償おうとした罪は、逮捕された事件ではなく、泉ちゃんの心を見殺しにしてしまった取り返しのつかない自分の行動だった。
裁かれないことの苦しみについて、これほどまでに語ってくれた作品は初めてでした。
悲しいけどホッとするとても良い映画
叔父リーが死んだ兄の息子パトリックの後見人に遺言状で指名される。
自分の不注意で家族を死なす悲しい過去があるリー。いいこそうに見えるけど2股かけてるパトリック。内容はなかなかだけど、出てくる人間に嫌な人はいない。思いやりのある人達が沢山出てきます。
普通にいそうな人たちが、悲しみをしょいながらゆっくりと乗り越えていく、心温ま映画。
担架の車輪がなかなかたためず手間がかかったりする場面や、葬式で携帯バイブが鳴ったりする、普段ありそうな描写が沢山あって、普通感を高めているのかな。
この監督映画、もっと見たくなりました。
面白い。
乗り越えられない辛い過去や心にずっと残ったままのもやもやを抱え込んで、心を閉ざしてしまった主人公の物語。明るいままでも心を閉ざすことは出来るけれど、彼の場合は暗いケース。そういうものを抱えながら社会とどう関わっていくのか、生き方が問われる作品。
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