マンチェスター・バイ・ザ・シーのレビュー・感想・評価
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壊れた心は、そう簡単に治らない
兄を亡くした弟と、父を亡くした息子。つまり叔父と甥の二人。
「葬儀はいったいどうすれば」の話が進む中、いろんな箇所で回想シーンが挿入されているのが。最初はわかりにくかったんです。
故郷に帰ってきたリーの事を、人々は「あの、リーか?!」と呼ぶところが引っ掛かりました。え、いったい何があったんだろうって。
冒頭から、リーはお客からちょっと言われるとFワードでやり返す、けんかっ早い性格が出ていて。いつものケーシー・アフレックらしいなあと思っていたら。
いくつもの回想シーンで、徐々にその過去が明らかになっていく様が切なかったなあ。心のケアもできぬまま、孤独に生きていたリー。立ち直れるはずもないわ。
甥っ子は微妙な16歳。結構ドライなキャラが今風か。まだ微妙に大人じゃない。リーと一緒に住むのかどうかなど、最後に決めるのは大人。リーの「後は自分で決めろ」のセリフが、決まってました。
タイトル名にもなった場所は、米国のマサチューセッツ州にある町の名前。人口5,000人ほどの小さな港町。港を見るたびに自暴自棄になったリーの気持ちそして、人々の記憶から消えないリーの過去。
ぴったりのロケーションです。
特に悲しい場面で流れるアダージョ?がいい仕事してました。こういう映画音楽も好きです。
そして、最初はマッド・デイモン主演予定がケーシーになったのは。吉だったでしょう。それくらい役がはまっていて、オスカー主演男優賞も納得でした。
辛いことがたくさん起こるがそれぞの悲しみを胸に秘めて過ごすそれぞれ...
辛いことがたくさん起こるがそれぞの悲しみを胸に秘めて過ごすそれぞれの人の日々が静かに胸を打つ。泣いているつもりはないのに目が潤んでしまう美しい映画だった。
しんどい過去や現在のできごと周りのアレコレはもちろん素晴らしいんだ...
しんどい過去や現在のできごと周りのアレコレはもちろん素晴らしいんだけど、それにも増して、大人と子供、叔父と甥という距離感の絶妙さが良かった。
どうしようもないこともある
棚に1本置いておきたい映画。
人生って、どうにもならないことってあるよね。心の強さや、周囲の助けがあっても、なんともならないこともある。なんとかなるさ、なんて言える状況じゃない。
ララランドと、ムーンライトのアカデミー賞ラッシュの間に、ポンと主演男優賞を取っていたので、とても気になっていた。
ケイシー・アフレックは、バットマン(ベン・アフレック)の実弟。彼の静かに、言葉少なに語る演技で、最初から最後まで、魅了され続けた。納得の受賞だ。
過去に傷をもち、心を閉ざした主人公のリーが、兄の死をきっかけに街に戻る。唯一の肉親である、兄の息子のパトリックと、葬式などの手続きをしながら交流していくが…。
パトリックのために、自分の過去との葛藤と闘いながら、ひたすらなんとかしようとする姿が、痛々しくてたまらない。自分の生活を壊したくない我儘なパトリックに傷つけられても、唯一の血の繋がりがある甥は、決して捨てられない。
これは、かわいそうとか、そういう域を超えている。
観終わった後に、じんわりと余韻を楽しみたい、久々の良作です。
女性の描き方が不自然
ちょっと思わせぶりな演出が多い。船に乗っているシーンや、便利屋のお客さんの世間話を延々と流しているのは、ドキュメンタリー調で普通の人を演出して、共感を得ようとしているのかもしれないが、くどい。
女の人が主人公を誘ってくるシーンとか、甥っ子がモテモテだという設定も、女の人たちが何を考えているのかがよくわからない。そんなに見ず知らずの男を誘ってくる女性は多くないし、主人公がそんなにモテるほど魅力的だとは思えなかった。なんだか女性の感情を置き去りにして、都合よく主人公と絡ませる飾りにしか見えない。
傷付いた心にそっと寄り添ってくれる映画
生きていると耐えられないような悲しみに心が覆われてしまうことがある。それでも日々は続いていくし時間は止まらない、傷付いた心を抱え修復することもできずただただそれと共に生きていく。
マンチェスターの街並み、海の深い色、冷たい風、車のエンジンの音、そんな日常の景色が静かに主人公の壊れた心を思い起こさせる。
うまく言葉にできないけれど、私にとって心の支えになるような映画だった。
静かに涙が溢れ、でも悲しさや辛さだけではなく優しさや温かさを感じる。この映画の余韻にずっと浸っていたい。
彼の悲しみに救われる。
全体的に悲壮感漂う映画だけど、その全てを現実世界で受け取るのは不可能だと思った。これからの人生、1度もこの男のような気持ちを味わう出来事はわたしには起こらないと思う。なぜだか分からないけれど、そう思う。そんな風に無縁と思われる出来事だのに、自分もこの男とともに生きているような、男の気持ちがわかってしまう気持ちになるのが、この作品のすごいところだと思った。一人では抱えきれない悩みを背負っているとき、少しばかりの救いになりえる作品だと思った。
悲しみに散りばめられたおかしみ
事実から逃げても、失ったものへの感情から解放なんてされない
逃げることもできないから、抱えたまま引きずって生きていく
でももし、受け止められれば新しい自分を始めることもできるのかもしれない
それまでは、心に新しいものを迎える隙間ができないんだろうな
悲しいことを乗り越えるときのヒントにしよう
かなり気合いを入れて見ないと
かなり気合いを入れて見ないと、最後まで見きれない映画かも。
なぜこの男は、だらしなく野蛮でやさぐれているのか、理解に苦しむ序盤。兄の死もどこか上の空のよう。
その原因は、中盤の回想で明かされるわけで、悲しみと絶望を経て、さらなる悲劇には、溢れるはずの感情も残されていない、といったところか。
甥っ子は自分中心に世界を見る年頃、父の死もめまぐるしい日常の中で流れている。これが現実的な気もする。
全体的に重いし、長々とだるかったりもするわけだが、この映画の主張は強力に響いた。「たえられない」そう言ってしまう、という。乗り越えることができない、という。
生きていくのは辛いけど報われることもある
主人公ケイシー・アフレック演じるリーがどうしてこんなに暗くて抜け殻なのか…
とても仲が良かったお兄さんが亡くなったからだけではなく…
中盤くらいでようやく語られる。
仲間と家で酔っ払い、仲間が帰った後にさらにビールを買いに行く前に暖炉に火をつけ、スクリーンをするのを忘れたことにより、家事になり。
炎が上がる我が家には愛する子ども3人が残っていて助けられず、目の前に泣きじゃくる妻をぼーっと見つめるリー。
それはお兄さんの余命宣告がされた後の出来事だった。
家族を失ったことで抜け殻になっていたところ、お兄さんは大きな支えとなっていた。
そんなお兄さんまで失った中、甥っ子の「後見人」と遺言に残されていて面倒をみることになった。
お兄さんはリーのことを想ってそうしたんだろう。
甥っ子はお父さんの死後なのにどうしてそんな普通にしていられるんだろうか…と思っていたけれど、やはりまだ16歳。冷凍庫から肉の塊がこぼれ落ちてきた時に初めてパニックになる。冷凍されるお父さんとリンクしてしまったのだろう。
それを宥めるリー。
そうやって甥っ子の面倒をみることで、嫌でも人と関わり孤独になることがなくなったことでリーの凍った心も少しずつ溶けていく…かと思いきやそうでもない。
完全に失ってしまった心はもう戻ってこないよう。
でも最後の最後にバッタリ出会った元奥さん。
新しい子どもができて、前に進もうとしている姿を見て少し報われた思いになる。
結局はマンチェスターにいるのは辛すぎて甥っ子の後見人を友人に任せて、街を出てしまう。
お兄さんの死をきっかけに、とある街のアパートの便利屋から抜け出したけれど結局戻ってくる。
前後で何か変わったのかな…少しでも何か変わっていたらいいなと思いながらエンディング。
裁かれないことの苦しみと映画『怒り』で描かれたこと
極めて重大な過失であるが、法で裁かれるべき過失(過失致死罪?)ではないので、刑務所に収監されるという刑法上の『罪』には問われない。3人の幼い命を奪い、母である妻の心を破壊するという『重罪』を犯したにも関わらず。
これほどの咎を負いながら、身の置き所すら与えられない〝仕打ち〟は想像に絶するほどの責め苦だと思う。刑務所に拘束されながら日々のルーティンに従っていることの方がどれだけ楽か。法の定めたところに従って『贖罪』の機会を与えられることがどれだけ救いとなるのか。
2016年の邦画『怒り』では、様々な登場人物により、取り返しのつかないことへの悔恨や慟哭が、最高レベルの演技力と演出で描かれていました。あの中で、広瀬すずさん演ずる泉ちゃんの悲惨な事件について、結果的に見て見ぬ振りをしてしまった辰哉君は別件で逮捕され、泉ちゃんに関する証言をすれば罪は軽くなるのにしなかった。彼が刑務所で償おうとした罪は、逮捕された事件ではなく、泉ちゃんの心を見殺しにしてしまった取り返しのつかない自分の行動だった。
裁かれないことの苦しみについて、これほどまでに語ってくれた作品は初めてでした。
悲しいけどホッとするとても良い映画
叔父リーが死んだ兄の息子パトリックの後見人に遺言状で指名される。
自分の不注意で家族を死なす悲しい過去があるリー。いいこそうに見えるけど2股かけてるパトリック。内容はなかなかだけど、出てくる人間に嫌な人はいない。思いやりのある人達が沢山出てきます。
普通にいそうな人たちが、悲しみをしょいながらゆっくりと乗り越えていく、心温ま映画。
担架の車輪がなかなかたためず手間がかかったりする場面や、葬式で携帯バイブが鳴ったりする、普段ありそうな描写が沢山あって、普通感を高めているのかな。
この監督映画、もっと見たくなりました。
静かなる映画
どうにも映画館に見に行って、途中退出したのがシャクでレンタルして見直してみた。
なにしろ、これ以来ただでさえ手間な劇場観賞が、余計面倒になってたしか映画館に行ってないかな。だいたいレンタル
吹き替えでみた。印象がかなり違って感じたのは、主人公がとにかく陰気くさくてどなりちらしてまるで共感出来なかったのが、声優さんの声質だろうか、だいぶマイルドな雰囲気になっている。
でも作品全体の印象はあまり変わらない。好きな人は好きなんだろうけど、こういう淡々とした展開が
自分も、まるで受け付けないわけじゃないんだが、ここまで何も最後までたいした変化もなく、主人公は終盤でまた酒場で乱闘するは、別れた奥さんとヨリを戻すでもないわ、故郷に帰るでもなく、死んだ兄貴の息子は結局引き取らないわ…そもそも見に行かなかったほうがよかったな…
風景が寒そうだが、なんかいいのと
自分の過失で家を全焼させてしまい、一家崩壊という辛い過去を持つ主人公の哀愁漂う雰囲気がいいという感じかなあ。
ジム・ジャームシュやヴィム・ベンダース、小津安二郎とか好きな人は好みそう
おれはこういうのはいいや。最後までみても自分も何があっても生きて行こう、という気分にもまるでならなかった。そういう終わり方じゃないんだもん
面白い。
乗り越えられない辛い過去や心にずっと残ったままのもやもやを抱え込んで、心を閉ざしてしまった主人公の物語。明るいままでも心を閉ざすことは出来るけれど、彼の場合は暗いケース。そういうものを抱えながら社会とどう関わっていくのか、生き方が問われる作品。
静かな中にある繊細な感情がゆっくりと伝わってくる 最初はただの偏屈...
静かな中にある繊細な感情がゆっくりと伝わってくる 最初はただの偏屈な男性かと思っていたら兄の存在を大事に思っていて子供の頃甥と過ごした時間があった
過去があまりにも辛すぎてほんとは友達がたくさんいて楽しい時を過ごしていたのに
救われない過去が彼を変えていた
兄が亡くなり
甥の存在が彼を徐々に救って行くのだろうと微かに明かりが見えてゆく
どんな人にも救いがあるんだと力を与えてくれる映画だ
ケイシーが良かった。
劇場で観そびれて、今更ながら鑑賞して…後半は涙が止まらなかった。
アメリカの、マンチェスター・バイ・ザ・シーと云う小さな町で起きた出来事を通して、主人公の心の葛藤を描いた作品。
ボストンに住んでいた リー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の訃報を知り 生まれ育った町 マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。
しかし、町に戻るということは 自分の過去と向き合うことでもあり、リーは常に苦しむこととなる。
甥である、パトリックの後見人として遺言を預かったリーだが、自身の苦しい過去から逃れられず、もがきながらも パトリックにとって正しいと思う道を模索する…。
とにかく、ケイシーが良かった!
今にも壊れそうで、観ているこちらが何とかして上げたいと思う程、胸が締め付けられ苦しくなりました。
後半も、過去に縛られ動けない姿に涙が止まりませんでした。
でも、パトリックが父の船を守ったことで いつかまた リーが このマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る日が来るかも知れないと思わせるエンドが また良かった。
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