劇場公開日 2017年5月13日

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「「生きる辛さ」を描いた映画」マンチェスター・バイ・ザ・シー showさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「生きる辛さ」を描いた映画

2017年5月27日
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鑑賞方法:映画館

そこそこの話題作にも関わらず、上映館数が少なすぎる!
全国で32館とは、どーゆーことか?!
「美女と野獣」なんて375館で上映してるというのに、この違いはなんなんだ!
と、観る前は日本の映画業界に対して憤慨してました。

さて、本編は。。。

こんなにも「生きる辛さ」をありのままに描いた映画があっただろうか、と思うくらい鑑賞している間中、遣る瀬無さ、不甲斐なさ、さめざめとした感情に襲われたことはありませんでした。

それは、鑑賞中よりも、鑑賞後(つまり、これを書いている今)の方が、より一層胸につっかえて感情を揺すぶっています。

癒えることのない傷。
不感症になることで、避けていた傷。
人と交わないことを蘇生術とするしかない傷。

この映画は、そんな傷を、包み隠さず装飾せずに描いていきます。
そこには、「希望」や「許し」が存在することはなく、ただただそこに存在する登場人物たちの、埋まることのない心の傷を、誠実に容赦なく描いていきます。

観客は、そんな登場人物の姿を傍観することしかできません。
ただ、傍観するうちに、それは彼らであり自分たちだということに気付かされます。
存在すらしない彼らに、自分自身の人生を見つめ直すきっかけを与えられ、彼らとなにも変わらない「生きる辛さ」に気付かされます。

自分はマンチェスターという場所を知りません。
いままでマンチェスターユナイテッドというサッカーチームくらいでしか聞いたことがなく、
その華やかなビッグチームから、おそらく大都市なんだろうと思い込んでいました。

でも、この映画を見るだけで、そこはイギリスでもどん詰まりの田舎だ、と察することができます。
そのどん詰まりは、つまり今の自分のいるこの場所です。

どん詰まりは、どんなに逃れようとも、どん詰まりに行き着くしかありません。

本作には「ボート」のくだりがでてきます。
そのボートこそが、どん詰まりをより効果的に表現されていて、唸らされます。

世界は広く、どこまでも海は広がり、無限の可能性はありますが、結局はどん詰まりから離れることはできないんです。

多くの映画は、「希望」を描きます。
ただ本作は、映画という「希望を観るもの」という根底を覆す作品でした。

今世紀、観ないと後悔する映画のひとつです。

show
シューへーさんのコメント
2017年6月1日

まさに自分と重ねてしまいました。決して癒えることのない傷というのはあるのです。そして、それを見つめて生きる人生はあまり辛い。

シューへー
showさんのコメント
2017年5月29日

お恥ずかしい(ノ_<)ご指摘いただきありがとうございます!勉強になりました!

ただまあ、場所はどうでもよくて(たぶん、米国民も地名を知ってる人は少ないような辺鄙な場所でしょうし)、そこが「どん詰まり」だってことが重要なような気がします。

そうゆう意味では、邦題は「どん詰まりの地で」って意訳でもよかったのかとしれません。(酷くかっこ悪いタイトルですが...)

show
友哉さんのコメント
2017年5月28日

この映画のマンチェスターはイギリスではなくアメリカですよ...

友哉