劇場公開日 2017年8月18日

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「散漫な映画。バルサやマンUにはほど遠い。」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0散漫な映画。バルサやマンUにはほど遠い。

2021年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

この映画には終始なんとも言えない不快感が付きまとう。
それは何故か?各ジャンルに一流の職人が集まっているのだが棟梁がいない。
まず注目すべきはキャラクタデザインが恐らくヒロインだけのデザイナーがいてそのデザイナーの強い指向性によってヒロインは極めてエロティックに演出されていてそこにかなり気がひきつけられる。
次に背景。これはもう背景と言うより表景と言ってもいいほど作品として成立するレベルの光と影、連続した風景画の様な存在感がある。そしてぜったここは多くの人が感じたであろう水を中心としたクリスタルガラスにおけるCG表現の凄さである。ここはまさに見て見て状態でここぞとばかり頻繁にあらゆる箇所で表現される。
更に今度は演出である。紙キャラのようなキャラクタたちを今度はモーションピクチャのような演出の中で動かそうとする。かなりインパクトがあり見る側は画面に張り付けられる。ハンディカメラによる演出に近い効果も生まれている。さらに総合的な演出としてミュージカル仕立てであったかと思えばドタバタギャグ風であったり、いちいち背景ともかみ合わなかったり、CG表現のハイパーリアルともかけ離れる。そこにヒロインなずなの妙なエロティシズムが加味されるので、見ている側はその度に様々なところで気がそぞろにならざる得ない。その為肝心のストリーが入ってきにくい状態なのに、そのストーリーときたらタイムループをテーマとしてますますをけむに巻く結果になる。米津も松田聖子も何とも唐突なのである。僕はこの元となった岩井の作品を見てないので何とも言えないがこう言った一連の混乱がこの作品の評価を下げているのであろう。しかし・・・・
これだけのタレントを揃えていたのだからあとは監督の問題である。
監督は新房昭之と決して役者として不足はない。
この監督能力をここの荒武者たちの能力が超えてしまった結果であろう。今後の日本アニメの大いなる可能性を考えるうえで作品の出来とは別に★4は大いに上げたい作品である。
見る側にもそれなりの覚悟を要す。

mark108hello