「もしもあのとき」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
もしもあのとき
レンタルDVDで鑑賞。
オリジナル版は未見。
公開当時の評判が芳しいものでは無かったので、映画館には観に行きませんでしたが、そのことを激しく後悔しました。やはり何事も自分の目で確かめなければならないなぁ…
同じ1日を繰り返す場面はアニメならではの表現に満ちていて、「もしもあの時こうしていたら…」と云う感情を呼び起こしてくれる、めちゃくちゃエモーショナルな作風でした。
別れが待っていることが前提だからこそ余計に恋は燃え上がると云うもの。なずなを守りたい、手放したくない一心で願いを叶える不思議な球を投げ続ける典道。いやはや切ない。
気持ちは痛いほど分かりますが、世界は決してそれだけじゃない。でもこれは、彼らにとってはキレイごとなのかも。目の前のことに必死になるって経験、私にもありますもの。
もしもを言い出すとキリが無いのは分かっているけれど、それでも考えてしまうのが人情と云うもの。誰しも一度や二度は経験したことがある感情なのではないでしょうか?
そう云う気持ちがあったからこそ今の自分があるわけで、それら全部引っ括めて人生だと言ってしまえばそれまでですが、そんな感傷に浸れるのは成長した証なのかも。
打ち上げ花火を、下から見ても、横から見ても、その形は同じなのと同様に、どの視点、どの選択においても、結局は今の自分に辿り着くと云うことなのかもしれません。
典道となずなの1日も、最後には終わりを迎えたはず。同じ日を繰り返そうと帰結は破局ではないかなと思いました。「今度いつ会えるかな?」は儚い約束で終わりそう。
[余談]
なずなの最強ヒロイン感について。広瀬すずの好演も相まって少し妖艶で不思議と惹かれる魅力を持った女の子に仕上がっているなと感じました。大根仁の脚本の効果も最大限に発揮されているのではないでしょうか。典道や仲間たちの童貞感と云うか、中学生男子っぽさが絶妙で懐かしさを覚えました。
[以降の鑑賞記録]
2020/08/07:金曜ロードSHOW!(地上波初放送)
※修正(2024/03/29)