「ビルヌーブ監督らしさ」静かなる叫び kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ビルヌーブ監督らしさ
1989年12月、モノクローム映像が雪降る光景を際立たせて、寒さが伝わってくる。犯人の男はとにかく反フェミニズムの思想を持ち、女子学生ヴァレリーは就職面接官の男女差別を目の当たりにする。ジャンはヴァレリーにノートを借りてコピーしてエントロピーの講義に戻った・・・。その直後、女子学生ばかりを狙った乱射事件が発生する。序盤は犯人、中盤はジャン、後半はヴァレリーの視点で描かれる。
ジャンは何とかヴァレリーを救おうとするが、自分の無力さを知り、実家に戻るも排気ガスで自殺してしまう。一方のヴァレリーは髪の色も変え、恋人と暮らすようになるが悪夢を見続けている。しかし、妊娠が分かった時から子どもには前向きに生きてもらおうと心に誓う。
三者三様のその後といった感じで描かれるのだが、リアルな映像も多角的に捉えてあるため感情移入しやすい。ただ、モノクロ映像がすべてを暗く描いてるような気もするし、ヴァレリーの章での説得力に欠ける気もする。それでも今をときめく監督の初期作品として訴えてるテーマが直に伝わってくる。
【2018年ケーブルテレビで鑑賞】
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