「映像は見応えあるが…」人類遺産 zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は見応えあるが…
音楽もナレーションも、場所がどこかの説明もなく、カットごとのアングルは完全固定。ひたすら廃墟や無人の町の映像が流れる90分。それぞれの背景がわからないのでなんとも言えないが、意外と生活の痕跡が残る場所も多く、背景がわからないが故に想像を掻き立てられる。雨や雪が荒涼とした雰囲気を醸し出すこともあれば、鳥のさえずりが不思議と明るい気持ちにさせることもある。
ただ、素材だけで勝負するという演出が個人的には割り切りすぎてて、所々退屈さを感じてしまう。たまたま観たとき疲れていたこともあって、眠気を抑えきれなかった。個々のロケーションが持つ力はあるし、色々と出てくるので何かしら引っ掛かるとは思うが、それでも人を選ぶし、正直挑戦的過ぎたかなとも思う。
とりあえず巨大な科学施設、宗教建築、兵器の三つは朽ちてて絵になるのは間違いないとへ思った。
あとこれは映画そのものの出来には無関係な、仕方ない部分なのだが、最初に出てくるのが浪江町の映像だったのが個人的には惜しいなと感じた。徹底的に情報を排したこの映画の楽しみ方は、「想像を巡らせる」ことにあると思うので、その点浪江町はどうしても「知っている」ので、この映画に少し不安を抱くはじまりになってしまった。別に製作陣は悪くなく、鑑賞者の属性に振られるところなのだが(例えばラストの「鎌とハンマー」のマークがついたドームが雪に埋もれてゆくのを見て思うところある人も大勢いるだろう)。
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