「チャイナ・マネーの前に…」グレートウォール bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
チャイナ・マネーの前に…
上映当時は、万里の長城を舞台とした、中国・三国志のような内容と思っていたので、特に注目もしないで見逃していたが、内容は全く違う、戦闘アクション・スペクタクルだった。しかも、敵となるのが、何万というドラゴンと猪を合わせたような魔物の群れ。『スターシップ・トルーパーズ』を、宇宙から昔の中国、万里の長城へと舞台を代えたような内容であった。
舞台となる万里の長城の、壮大なスケールを作り出すために、チャイナ・マネーを惜しげもなく使い、セットも本物と見間違うほどの豪華さ。VFXで迫力ある戦闘シーンや魔物の群れの映像を駆使し、エキストラの数も、もう半端ない。怪物を倒す武器や方法も、なかなか斬新なアイデアに溢れていた。その点では、スペクタクル満点の映像だった。
そして、中国とアメリカの合作ということで、何と主演の盗賊・ウイリアム役に、マット・デイモンを起用し、万里の長城に幽閉されている男には、ウイリアム・デフォーが務めていたのも、米中友好を果たしているのかも…。(笑) しかし、マット・デイモンには悪いが、本作に白人が入ることで違和感が生じてしまい、彼でなくても良かったように思うし、彼の様な俳優は、出演作をもう少し選んで欲しいとも思う。
ストーリーは、人類の欲深さを罰する為に、60年に一度現れる魔物・饕餮(とうてつ)の群れと、万里の長城に築き挙げた当時の最強の中国軍隊との激闘を描いている。その中国軍に捕虜として捕まっていたウイリアムと親友のペロが、中国軍女将軍のリンに加勢して、饕餮の弱点である磁石を使って、饕餮の女王をやっつけるという単純な物語。
とにかく、チャイナ・マネーの前には平伏すばかりで、日本映画としては『キングダム』でも少しばかりは奮闘してはいたが、正直、ここまでのスケールの大きな映像には、未だ届かないのが、残念とも言える。