ユリゴコロのレビュー・感想・評価
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運命
見応えあった。
何気ない日常から作品は始まる。
なのだが、ファーストシーンから異物感を投入する周到さ。伏線の張り方が巧妙で、その回収の仕方にも得心がいく。
殺人という性癖をもつ主人公に当てられる照明も雰囲気があり、吉高さんの表情とも相まって、彼女が孕む狂気に色を添える。
この作品の吸引力は絶大で、開始早々から物語の世界にがっつり囚われてしまった。
映像作品としての矜持に溢れた作品だった。
抗えない運命というものを感じる内容ではあるが、その背負わされた運命もそれに翻弄される人々もやるせない。
誰しもが「生きる」という業を背負い自らに生きる価値を切実に問う。
誰かを必要としたいのか、誰かに必要とされたいのか…いずれにせよ愛するが故に苦悩する様がヒシヒシと伝わる。
この「愛するが故」の深度が半端ない。
この作品の中の誰とも境遇を分かち合えはしないのだが、ホントに不思議なのだが、共感できたり理解できたりしてしまえるのだ。
まるで、人として生まれてきた時点で、ある種共通の何かを有しているかのように。
哲学的な側面はあるものの、ミステリーとしても秀逸な作品。
俺的、最優秀照明賞。
乱雑に殺害された現場に落ちてたひっつき虫が、ちと不可解ではあった。
血統妄想
リストカットから気分が悪くなった。十分嘘っぽいのだが、凄惨なシーンに目を覆った。逃げ出したくなるくらい恐かった。松山ケンイチが現れてから正視できるようになった。
異常なカタルシスの演技はどれが適当だったのだろうか。清原果耶、佐津川愛美は堂に入っていたが、あっさりとした吉高由里子の演技とどちらがより真の異常心理の表現だったのだろう。
松坂桃李は自分の不可思議な心理を咀嚼できず自らの生い立ちに答を見たとき、己の血を呪ったが、これは唐突な印象を。彼は今まで自らの心理に、スピード違反以外、なにに葛藤を感じていたのだろう。ムカデ殺しだろうか。そんなに遺伝は単純ではない。それでも母親同様、リストカットの清野菜名と接近していくのは血のなせる技なのか。だが、松坂桃李は母の血を嫌悪している。清野菜名の異常性は受けとめられるのか。
木村多江は家族と別れて殺人癖はなくなっていたのだろうか。それともまだ続けていたのだろうか。最後の殺人は息子のためだけだったのか、それとも……。
重い
とても重たい内容の映画でした。
見るに耐えないようなシーンも所々ありましたが、私は好きでした。
主人公の心の闇が上手く描けているなと思いました。
後半はちょっとだらけてしまっていた印象もありましたが、この暗さと重さはなんとなくよかったです。
吉高由里子さんにぜひ主演女優賞を。
原作未読です。でも映画を観て、絶対に読もうと思った。
まず主人公の世界がとても暗くて黒くて、前半はとにかく辛かった。後半は主人公に感情移入させられ、こちらも辛かったがラストは前向きになれた。主題歌も良かった。
キャストの皆さんの演技がより映画を引き立つものにしていた。
美紗子の大人になるまでのキャストも素晴らしいが、メインの吉高由里子さんの演技が際立っていた。内面だけで言えば、蛇にピアスよりハードな役だったのではないだろうか。
清原伽耶さん、松坂桃李さん、松山ケンイチさん、木村多江さん、光子役の方?(名前忘れた)も印象的でした。
上映館少なくなってますが、観て損はない映画です!ぜひ上映中の劇場で!!
いやミスではなかった?
沼田まほかるの原作を熊澤尚人が映画化。
小説と映像の違いを見せつけられることになった。
地方のさらに田舎でちょっと洒落たレストランを経営している亮介(松坂桃李)。彼の婚約者千絵(清野菜名)が突然姿を消す。
そんな中、亮介は実家の父の家で奇妙なノートを見つける。それはある殺人者の記録であった。
この亮介の父を演じているのが貴山侑哉という人でまったく知らない役者である。ただ面影が松山ケンイチに似せてあるのだ。ほくろも丁寧に合わせている。
これはひょっとして松山ケンイチが特殊メイクで演じているのか(松山ケンイチならやりかねない)と思ったほどである。
貴山侑哉の口跡が松山ケンイチに似ていると思ったりもしたし、役者が別人でもそこは吹き替えたかもしれないし。
と、そんなことばかり気になっていた。
小説では亮介の生まれはなかなかわからず、それがどんでん返しのひとつになりえたかもしれないが、そこは映像では難しい。
鋭い人なら木村多江が出てきた時点で見抜いたかもしれない。
ちなみに僕は原作を読んでいない。
亮介があまりかしこそうに見えないのは致命的だが、熊澤尚人の映像美は健在だったので、それはうれしかった。
見る価値あり
いい作品かどうかは賛否両論だとおもうし
ちょっと目を伏せたくなるシーンもありますが
そんなことはおかまいなしに
どんどんストーリに引き込まれていく作品でした
目を背向けたいけど見てしまう作品
見て損はしない
私的には名作でした
人格障害の極端な狂気~愛こそよりどころ~
【人格障害の極端な狂気~愛こそよりどころ~】
by PAPAS
「ユリゴコロ」62点。
「まほかる」のグロくて異常で壮絶な理解できない世界を、普通に淡々と余計な音を消して(?)静かに描きます。
あまりの映像と反対に、前半は寝てしまいそうでした(笑)。
昔も存在したのですが最近になって注目され始めた「生まれついての(反社会性・境界性)人格障害者(最近の理解できない猟奇殺人・犯罪の原因とも考えられています)」としてヒロインを描きますが、男もある意味「人格障害者」でしょうか。だからわかり合いいたわり合えるのでしょうか。
救いようのないサイコ的狂気と愛を「極端」過ぎるように小説・文学は描きます。現実にはあり得ないので文学の中では生き生きして来るのです。そこが文学の魅力でしょうか。
その彼女を救える「ユリゴコロ=よりどころ」は愛しかないのです。「こころ」の異常は寄り添う「こころ」でしか救えません。
そして「愛の代償」として「SEX」が伴います。悲劇が起きます。必然です。周りの人間を巻き添えにして。
やはり原作には敵わないです。
ストーリーとしてはあまりに「違和感(イヤミス)」を覚える世界に溺れます。
それが「まほかる」です。でも大受けする「世界」ではありませんが。
「吉高」はこの役を演じたことは評価していいと思います。
が、果たして「こころの奥底にある自分では抑えられない衝動・さみしさ」を理解できていたのでしょうか?まだまだ「狂気」「グロさ」が足りないような。もっと顔を歪めて汚さねば。
「ケンイチ」は独特の雰囲気を醸し出していいのでは。
「松坂」は己の「アイデンテイテイ」への「狂気」を抑えながらも、細かい部分で出てきてしまってもいいのでは。
あのラストの「どんでん返し」は、敢えて「救い」を求めたのでしょうか。
悪くはないと思いますがムリなような🍀
初めて味わった感覚
怒りのときに味わった感覚とは違い、余韻があるにはあるのだが、なにか釈然としない、なにかを壊したくなるそんな感覚に襲われた。
最初は人殺しの話でそこそこグロい話も出てきて、自傷行為を繰り返す友人との話のときには、失敗したな~つまらないなぁーと思っていたが、松山ケンイチとであってからが俄然面白くなった。
それまでの殺人映画から一転恋愛映画になるのだ(少し例えが極端だが)しかも、その転調を余り観客に考えさせず、その世界に引きずり込んでいく。
そして、吉高由里子の役の幸せを願うようになるのである(殺人鬼なのに)。
さらに、吉高由里子と松山ケンイチの役の接点がただの恋愛映画ではないことを思い出させてくれる。
そしてそこから現代での再開に至るまでがとても感動的であった。
息子に殺人鬼になってほしくないという一心で再び殺人を犯す所が母の愛を描いていて感動。
結局この映画はひとりの女が息子というユリゴコロを手に入れその息子のために殺人から抜け出せないという話なのだろうか?しかし最後の現代パートの殺人と最初の殺人は違う。最後の殺人は息子と嫁を救うために殺した。しかし、人を殺した事は変わらないこの映画は殺人という罪に重い軽いがあるのかというテーマも伝えてくれている。
最後に俳優陣の演技について触れておきたい。吉高由里子と松山ケンイチはいうことなしの演技特に吉高由里子は息子を手に入れた後と最初の演技の差がスゴい。
松阪とうりは批判もあるようだがあのオーバーな演技は舞台みたいでまだ見ぬ殺人鬼の母に右往左往する男の姿を上手く描いていたと思う。
最後にこの映画を表すのにぴったりの四字熟語をお届けしたい。
『因果応報』
グロい!
父の留守中に父の部屋で見つけた「ユリゴコロ」と書かれたノート。
亮介は取り憑かれたように父の留守中にノートを読み進む。
ある女の異常な殺人手記ともとれるがこれは作り話なのか?
何故父がノートを持っているのか?
誰が書いたのか?
謎だらけのノートに感化されて行く亮介。
コソコソと盗み見るドキドキ感とその内容のゾクゾク感が重なり見ているこちらも映画にのめり込み血の気が引く思いでした。
ラストに待ち受ける衝撃の事実。
容赦のない愛とは。
こんな展開になるのか!
予告編も見ずに行きました。
松坂桃季と吉高由美子が好きだから見たかった。
松山ケンイチは「珍遊記」が最低だったのであまり好きではなかった。でもこの映画を見ていいなと思いました。役者だなあと。
最初はホラーぽくって見るんじゃなかったと思いました。特に佐津川愛美さんと吉高さんのシーンは目をつむってその場面が終わるのを待ちました。
でもホラーじゃなかった。設定はありえないかもしれないけど、その中で交差する登場人物の心の動きに胸を打たれました。
感動しました。
吉高さん、きれいでした。こんなにきれいだったんだ。
佐津川さん、ヒメアノールのときは魅力的でした。もう少し場面を与えてあげてほしかった。
でもあの設定ではしょうがないか。
松坂さん、良かったと思います。
松山さん、良かった。声に迫力もあり、演技にも心を打たれました。
吉高由里子はキレイ
公開後2週目の平日、丸の内TOEIの最終回を観ましたが、空いていました。前半はちょっと目を開けられないシーンが多過ぎました。後半、松山ケンイチが出てくる頃から救われます。吉高由里子は綺麗だなと思います。松坂桃李は、ちょっとイメージと違う役をさせられて可哀想。
原作と違って、木村多江の登場があまりにも偶然過ぎて気になりました。また、最後にヤクザを何人も殺すことが出来る??と疑問。東映の映画を観るのは久し振りですが、昔観たホラー系の大林宣彦作品の映像を思い出しました。
共感できない恐怖は蜜の味。
開けてはいけないパンドラの箱。
でも、開けてはいけないと思えば思うほど、開けたくなるのが人間の業なのでしょう。
この映画のパンドラの箱は「一冊のノート」。
そこに書かれている禁断の真実に、耐えることができるかどうか。
そこが運命の分かれ道となっています。
人の優しさに触れながらも、生きることの厳しさを感じている一人の少女。
そんな板挟みの感情の中で、ふと芽生えてしまうのが「人を殺すことの快楽」。
殺せば殺すほど心が満たされて行き、擦り切れた感情も豊かになって行く。
それは、まさに負のスパイラル。
自分ではどうにもならない感情、衝動を、押しとどめながら行き続ける姿は、苦しみで満ち溢れています。
そんな彼女の拠り所となるのが、一人の青年。
容赦のない優しさによって、彼女の心は徐々に溶かされ幸福が芽生えるのです。
今回、吉高由里子さんの消えてしまいそうな、華奢で脆い演技に引き込まれました。
誰かのそばにいないと生きていけないような、寄生虫のような柔い姿は見るものを夢中にさせてくれます。
また、彼女のそばに寄り添い続けた松山ケンイチさんの存在。
昭和の世界観とマッチした黒髪に魅了され続けました。
ドロドロとした濃厚な恐怖が続いているはずなのに、どこか繊細で不透明な安定感も感じられる。
不協和音を奏でているような、独特の世界観に引き込まれ、あっという間の2時間10分でした。
「恐怖=快感」を味わいたい人にはお勧めです。
この感覚は病みつきになりそうです…。
思ってた以上に楽しめた。
湊かなえ的なからくりだと思った…原作未読なもので。
切ないラブサスペンスだ。
吉高由里子と松坂桃李のキャスティングは、はまっている。
少々変態的な描写が気になったが、全体的にきれいな絵作り。
ひっつき虫の使い方は詩的だが、吉高由里子の全身に纏わせるのは、やり過ぎかな。
吉高由里子が、やや強ばってるように見えたけれど。
松坂桃李は、自分にも“ユリゴコロ”がある…と言っていたが、
吉高由里子は、“ユリゴコロ”を持っていないから探し求めていたのでは?
殺人鬼といっても、超人的な殺人技術をもっている訳ではない筈だが、
ヤクザ者3〜4人を木村多江がどうやって血の海に沈めたのか?
ここだけは看過できないな。
演技力のたまもの
病気?や性癖?のことはいっさいふれず、ひたすら殺して行くので退屈していく。
そこに演者の演技力が光って魅力を加えて行く。
吉高さんと松山さんの演技に魅了 されてしまった。
二人のシーンはたまらない。
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