「エクソシストと悪魔の終わりのなき戦いの日々を見つめるドキュメンタリー」悪魔祓い、聖なる儀式 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
エクソシストと悪魔の終わりのなき戦いの日々を見つめるドキュメンタリー
シチリア島のカタルド神父他悪魔祓いに勤しむ聖職者達と、悪魔に取り憑かれた人々とその家族、友人が織りなす日常を淡々と見つめるドキュメンタリー。現代医療や地域社会に見捨てられたと感じ、怯え、助けを求める人が後を絶たず、神や悪魔の存在を信じずとも実際の生活の中で悪魔に遭ってしまった人々は間違いなく実在することは知っていますし、実際の悪魔祓いの儀式そのものも驚くほどのものでもありませんでしたが、それでも突然白目を剥いて唾を吐きつけ、ありとあらゆる罵詈雑言を口走りながらのたうち回る人々の苦悶には言葉を失います。
悪魔祓いによって悪魔が退散したのか、単に憑依症状が和らいだのかは全く判別がつかないわけですが、笑顔を取り戻した人々がまたすぐに苦悶の表情で神父のもとへと戻ってくる。人々は悪魔に取り憑かれているのではなく己の中で自ら育てているのではないか。その背後に横たわる闇はどこまでも深いが、それを払い除けようとする光もまたどこまでも眩しい。実に味わい深い作品でした。
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