「佳作です。」真白の恋 エクさんの映画レビュー(感想・評価)
佳作です。
知的障害があったって、誘拐事件の被害者だったって、恋をする。いや、しなきゃいけないんだ。
登場人物たちは形はさまざまにみんな過去に傷を負っている。そんなこんなを抱えながら支え合って生きている。
なのに、だからか、みんな美しい。
ある者はたおやかに、ある者は凛々しく、ある者は背負い込んで、でもみんな美しい。まるで立山連峰が連なるように、それぞれが立っている。
自分も生き抜きさえすれば、何かしらの美しさを身に付けられるのだと信じたい。
脇の岩井堂聖子、おのれの過去を乗り越えんとする強さとそもそものやさしさを力強く演じて素晴らしい。
福地祐介、青年の好奇心と誠実さをくるんだ、まるで新緑のようなさわやかな風をスクリーンのこちらまで届けてくれる。まだ春が始まった頃のようなヨチヨチ歩きな春風でなく、夏も近い5月の風か。
緊張感が全編を通して保たれ、特に緊迫感、切迫感のほとばしる後半部、素晴らしかった。
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