「普通に生きたいと願う主人公と平穏に暮らしたいと願う家族の物語」真白の恋 ソラリスさんの映画レビュー(感想・評価)
普通に生きたいと願う主人公と平穏に暮らしたいと願う家族の物語
地方に暮らす知的障害者を抱える家族と普通に生きたいと願う知的障害者の初恋を描いた映画で、地方で平穏に暮らしたいと願う家族と、そんな両親の気持ちを察しながらも自分の障害を気にしつつ、普通の大人の恋や東京等まだ見ぬ世界への憧れに葛藤し悩む姿を描いている。多くの事を語ろうとした映画ではないと思うが、主人公の無垢なイメージと雪で白くなった新湊の街の情景を重ねて、その地域に暮らしていこうとする家族の日常を自然な感じで描いていると思う。
自分も富山に住んでいる人間なのだが、地方には近所付き合い等、その地域に住む人にしか分からない社会が在り、世間体を気にし、常に人並み以上で在りたいと願う風潮も強い。
毎年、訪れる富山の冬の鉛色の空に閉塞感を感じて来たが、映像の中の冬の美しさに、その地域に営む人々の夢や希望を感じる。普通に生きたい、人並みの人生を掴むという細やかな夢は障害者に限った話ではなく、家族や地域で支え合う事で叶う夢なのかもしれない。
富山の上映初日で、関係者の舞台挨拶が在ったが、自主映画として撮影して、公開出来るようになるまで大変だったと思う。予算をかけられない映画で撮影に苦労したと思うが、映画の中に出てくる新湊の街の冬の情景が美しく、飾らないストーリーとその飾らないストーリーそのものを歌い上げた主題歌が巧く調和していて良かった。
若い世代の映画関係者が大きな映画館で公開出来る事を素直に喜ぶ姿に真白の美しさを感じました。地元に住む自分としても応援したいと思ってます。
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