「殺人鬼に許しは必要か?」君のまなざし TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)
殺人鬼に許しは必要か?
クリックして本文を読む
夏休みにペンションのバイトに来た若者たちに起こるミステリーを描く。
神社とか結界とか鬼とか陰陽師的な要素が強く、新興宗教が描く世界観としては特殊である。現代と過去の二つの世界を描きつつ、それらの世界が倒錯するのも、この映画の見どころ。
スピリチュアルな描写も他の映画とは明らかに違い、はっきりとした霊的描写がいくつもある。このあたりは宗教映画ならではか。
終盤の悪霊封印後、鬼だったはずのアサヒという人物が突然善人になり、感情移入が出来なくなる。ここにも宗教ならではの飛躍があり、理解に苦しんだ。殺そうとした父を一瞬で許してしまうアサヒの心情の描き方はあまりにも雑なのではないか。アサヒはどう考えてもサイコパスなので、鬼として封印されるか、改心までの心情変化のシーンを入れるべきだった。
神は殺人鬼をそんな簡単に許しはしないでしょう?アサヒがちょっと涙を流して神に許されるなら、悪人正機説と何が違うのか分からない。はっきり言って思想自体が恐怖。
概ね、ストーリーが纏まっているだけに、信者にしか分からない宗教観で躓くのは残念である。荒けずりではあるが、なんとか一つの世界観にはまとめている。
コメントする
Mizukiさんのコメント
2017年5月24日
ごめんなさい、もう一つ。
許す、ということでは、やった悪事を全てチャラにしてもらう。ということではありません。
自分でやったことは、良いことも悪いことも、自分に戻ってくるので。
神の許しについては、セリフの中にありましたね。
Mizukiさんのコメント
2017年5月23日
アサヒと平安時代のドウエンは、大まかにいうと、同じ魂でしょ?ドウエンの納得がアサヒをも変えた、ということだと解釈しました。ドウエンの改心が最大の見所だと個人的には思いました。