劇場公開日 2017年4月29日

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「ジェンダーな昭和の空気感に爆笑必至。」帝一の國 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ジェンダーな昭和の空気感に爆笑必至。

2017年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

これだけ劇場が笑いに包まれる作品はなかなかない。邦画コメディとしては「テルマエ・ロマエ」(2012/2014)並みではないだろうか。突き抜けて笑える、学園の生徒会長選挙を舞台にした同名コミックの実写化映画である。

しかも笑いの対象が、ハリウッドが得意な"下ネタ"(R18+)ではなく、全世代包囲(G)である。学園モノはたいてい世代が限られ、「暗殺教室」(2015/2016)の"殺せんせー"は、やはりティーン向けである。かといって邦画コメディの「超高速!参勤交代」(2014/2016)や「家族はつらいよ」(2016/2017)は申し訳ないが、やはり高齢者向けである。笑いのツボが、人生の経験値に左右されるのは仕方がない。

本作の笑いは"昭和"、そして"男子校"という舞台設定にある。そこに"生徒会長選"という政治の縮図を持ち込むことで、軍閥を揶揄したシニカルな政治コメディになっている。

当然、男子校なのでオトコだらけ。キャスティングは菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大・・・今をときめくイケメンをズラリと並べている。間違いなくカッコいいのだが、2枚目をボケさせるギャップ効果を狙っている。

社会的な性差要求に応えるオトコのやせ我慢。それは初期の「魁!!男塾」だったり、森田健作の「おれは男だ!」だったり。男気の世界をマジメに突き詰めると、滑稽に見えるという逆転の真実。

また"昭和"が今よりジェンダー(gender)が強かったことは明らか。ジェンダーレスな男女が増え、都知事が女性になった今だからこそ笑える、"昭和の空気感"なのである。

もちろん、これだけヒットしたら続編が求められることだろう。

(2017/5/5 / ユナイテッドシネマ豊洲 / シネスコ)

Naguy