「.」SYNCHRONIZER 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅(CS放送)にて鑑賞。暴走系マッドサイエンティストもので、先進的な設定とは裏腹にチープなガジェットと(特に後半)日本家屋が舞台となるアンバランスさがユニークだった。タイトル表示時から往年のTVドラマを彷彿させるレトロな雰囲気有。長嶌寛幸の音楽が印書的で特にオープニングから多用される同期実験時等に流れるナンバーが佳かった。画面内の動きが少なく演技にも難有──普段はズレまくっており、たまに合う壊れかけの古時計みたいで心地が悪かった。月並みな展開だし、もっと飛躍的で衝撃的なオチが欲しかった。50/100点。
・文部科学省と監督が教鞭をとる立教大学現代心理学部の研究プロジェクト「新しい映像環境をめぐる映像生態学研究の基盤形成」の一環として製作されたと云う。“長谷川高志”を演じる万田祐介は監督の甥にあたるらしい。
・監督によると後半の舞台となる旧家は前作『イヌミチ('13)』と同じロケ地であり、これは意図したものではなく、予算的な折り合いによるとの事。三角関係を思わせる主要登場人物が三人と革新的な実験が閉鎖・隔離された空間で行われる等、共通点は多いが、製作に当たっては、D.クローネンバーグ『ザ・フライ('86)』を意識したと云う。
・痣の為か、或いは一途な愛情によるのか宮本なつの“木下萌”の献身的な言動の動機付けがいかにもステロ的で微妙だったが、シンクロ後の被験者に噛まれるのは、最初のハムスターからの名残だったのだろうか。古川博巳の“荒川正人”の濃い容姿と大きなネタバレになるが、“長谷川春子”のどこか愛嬌がある美谷和枝と妖艶な中原翔子が印象深かった。
・鑑賞日:2018年2月25日(日)
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