「学術研究?」SYNCHRONIZER いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
学術研究?
以前も篠崎監督の『SHARING』がそうだったように立教大学現代心理学部の研究作品ということだが、今流行りの文科省との天下りの問題も孕んでいるんじゃないかと思ったりして・・・
確かに、一風変わった作品であり、雰囲気がまるで昔の円谷映画のイメージをトレースしているような感じがする。BGMの使い方だったり、タイトルバックの演出方法もオドロオドロしい。その後のストーリー展開を暗示させるような禍々しさを醸し出すイメージ作りはそれ故心理学と繋がるような事なのかな?
初めは『アルジャーノンに花束を』的なロボトミーな事なのかなと思いきや、まぁ、SFと言うよりお伽話的な内容になる。
シンクロ率の表現方法は、簡単なノートパソコンでのエヴァのそれと同じで、同期させることで同じ思考行動を起こさせるということだが、そう、この作品、何だか概視感が強い。どこかで観たことあるような雰囲気がガンガン醸し出されていて、それ自体は嫌悪感を持たないのだが、なんか安っぽく感じるのは自分だけだろうか?
主人公を好きになる助手的な女性のキャラ設定も何だか甘いし、とにかく、俳優達が残念だけど演技力が低いと言わざるを得ない。緊迫感が伝わってこないし、勿論プロの俳優の方々なのだろうけど、もう少し演技力の高い人はいなかったのだろうか?
ケチばかり付けてはいるが、ストーリー自体は興味深いし、その不可思議なサイコスリラー的要素は美味しいので、もう少しブラッシュアップをしていけば希有な作品としてマニア的要素の高い作品になり得たんじゃないかと残念だ。
近親モノや子供還り、そしてマッドドクター的話など、なかなかのテーマが詰まっていて、もっと深く掘っていけるストーリー展開が欲しかったと勿体ない思いである。
まぁ、役所絡み、教育機関絡みだと限界だったのかな?でも、自分の興味あるテーマだっただけにエールを送りたい。